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『男の優しさは全部下心なんですって』レビュー:そうなんですって! いや、そんなことはない! いずれにしても恋は諸行無常です!?


■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

このタイトルを聞いただけで、思わず男性諸氏は動揺を隠しきれずに「ごめんなさい!」と謝るか、平静を装って「いや、俺はそんな奴じゃない!」と開き直るかのどちらかに大別できるのではないでしょうか?

まあ、いずれにしましても、男からするとかなりショッキングなタイトルの映画ではありますが、実際に拝見するとちょっと思っていたものとは違い、要はヒロインのダメンズ遍歴をカラフル&ポップで可愛らしく、そしてはかなくも優しい毒をもってシニカルに描いた作品なのでした。



好きになった男には必ず本命がいて、常に「二番手の女」と化してしまう、街の真ん中になぜか建つメリーゴーランド勤務の宇田みこ(辻千恵)24歳、住所不定。

しかし、彼女が好きになる男どもは、揃いも揃ってヘン、もしくはクズ!

(唯一例外なのは、原田大二郎扮する初老の上司でしょうか)

しかし「惚れてしまえばアバタもエクボ」ではありませんが、宇田みこは健気に相手を愛し続けます。

(そのうち、現実と非現実の狭間も曖昧になるほどに!?)

のむらなお監督は、自分と同世代でもあるヒロイン宇田みこを慈しんでいるのか突き放しているのか定かではない、そんな絶妙のスタンスを保ちながら捉えていきます。

同時に、こちらからするとクズにしか見えない男どもや、その彼女たちをも決して否定したり断罪することもありません。

これが本作の最大の美徳であるような気もしています。



きらびやかなメリーゴーランドをバックに、ピンクの着ぐるみを纏って仕事する宇田みこの、どこか寂しげながらも住所不定の風来坊気質が滲み出る不可思議なアウトロー感に、意外と男たちも女たちも、実はどこかで引き寄せられているのかもしれません。

お互い報われることのない恋の諸行無常をメリーゴーランドの優雅な回転に託しつつ、誰も結論を出すことなど不可能な人生の機微を、今の20代女性ならではの感性で捉えた気持ちの良い作品です。

なぜかいつも恋が上手くいかない人たちは、老若男女を問わず必見でしょう。

(文:増當竜也)

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