『機界戦隊ゼンカイジャー』が始まって、篠宮暁が反省した“ある事”
特撮に欠かせないもの、それは迫力のある映像、血湧き肉躍るアクション。
そして、これがなくては絶対に成立しないというのが「音楽」です。
主題歌や挿入歌は勿論のこと、作中に流れてくる劇伴一つとっても必要不可欠で、音楽を一節聴くだけであのシーンやこのシーンが目に浮かぶほど脳に強烈に作用しています。
『機界戦隊ゼンカイジャー』の制作発表のとき、とても驚いた発表がありました。
あの渡辺宙明さんが「ゼンカイジャー」の音楽を担当されると。
現在、御歳95歳。
今まで数々の特撮作品やアニメの主題歌、挿入歌、そして劇伴も担当されている渡辺宙明さん。
他に類を見ない唯一無二の宙明先生にしか出せない独特の哀愁感と、口ずさまずにはいられないリズム感ある音楽は「宙明サウンド」と呼ばれ、多くの特撮、そしてアニメファンから愛されています。
ですが正直、2021年にどこまで新しい宙明サウンドが聴けるか疑ってる部分はありました。
実際に「ゼンカイジャー」が始まってみると、その疑いはただただ失礼なものだったと反省。
画面から、いまだに劣り知らずの宙明サウンドがしっかり聞こえてくるではありませんか。
調べずとも確認せずとも宙明サウンドと認識させるすごさ。
信じられませんが、まだまだ現役バリバリだということを再確認させられました。
僕は今38歳なんですが、ドンピシャで宙明サウンドを浴びて成長してきました。
ちなみに渡辺宙明さんのことを知らないという方でも、全日本国民は何度も宙明サウンドを耳にしていることかと思います。
代表的なところで言うと『マジンガーZ』。
50年経ってもまだまだいろんなところで歌われている、ロボットアニメナンバーの金字塔。
曲中で入る「ゼーット!」のシャウトは今や水木一郎さんの代名詞になるほど、この楽曲の影響力はとてつもなく大きいものでした。
余談ですが漫才師が戦隊ヒーローネタをやるとき(そういえば第七世代はヒーローネタをあんまりやりませんね)、主題歌を勝手に作ってボケの人が歌ったりするんですが、スーパー戦隊の主題歌ではなく大体『マジンガーZ』からインスパイアされてる芸人さんが多いです。
そういったネタを見た時、「戦隊にマジンガーZみたいな曲、ないねんけどなぁ」とよく思います。
一般的に宙明先生の代表作と言われているのが、『マジンガーZ』とこちら。
『秘密戦隊ゴレンジャー』
そうなんです、「ゴレンジャー」もやってらっしゃるんです。
「ゴレンジャー」どころか『ジャッカー電撃隊』、『バトルフィーバーJ』、『電子戦隊デンジマン』、『太陽戦隊サンバルカン』、『大戦隊ゴーグルファイブ』と、スーパー戦隊草創期はすべて宙明先生が手がけてらっしゃるんです。
なので、白倉プロデューサーによってスーパー戦隊の真髄や失ってしまったエキスを「ゼンカイジャー」で浮き彫りにしたり抽出するにあたり、宙明サウンドを劇伴に組み込むのは必須であり必然なんです。
『マジンガーZ』、「ゴレンジャー」で歴史に名を刻まれた宙明先生は、その後もまったく手を緩めることはありません。
1982年『宇宙刑事ギャバン』を担当され、そこから3作続いた宇宙刑事シリーズもすべて担当、宇宙刑事シリーズの後の『巨獣特捜ジャスピオン』、『時空戦士スピルバン』も宙明先生の音楽によって、世界が構築されていきました。
スーパー戦隊だけでなく、メタルヒーローシリーズでも、立ち上げ初期の大事な部分を担われてる事実に、製作陣からの信頼が厚かったことの証明がされています。
僕がリアルタイムで宙明サウンドを浴びたのが、まさしくこの時期。
「ジャスピオン」、「スピルバン」がやっていた2歳、3歳の頃です。
三つ子の魂百までと言うだけあり、宙明サウンドを聴くと、他の曲を聴いてるときには感じられない何か特別な、言語化できない熱いものが込み上げてきます。
特撮以外でも『マシンロボ クロノスの大逆襲』や『超合金魂 GX-96 ゲッターロボ號』のドンピシャ世代なので、特撮を見ていないときでも宙明サウンド丸かぶり。
今「ゼンカイジャー」を見ている子供達にも宙明サウンドを浴びまくっていただいて、この偉大な宙明先生のレガシーを継ぐ人物がいつか現れるところをぜひ見てみたいものです。
(文:篠宮暁)
【オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会】
以前の記事はこちらから
【オジンオズボーン・篠宮暁の特撮辞典】も公開中!
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。