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2021年07月02日

「孤独のグルメ」新シリーズ記念:グルメ邦画オススメ5選

「孤独のグルメ」新シリーズ記念:グルメ邦画オススメ5選



テレビ東京系列で大人気のドラマ「孤独のグルメ」最新シリーズseason9が7月9日深夜0時12分よりスタートします。

おなじみ輸入雑貨商を営む井之頭五郎(松重豊)が営業先で見つけた食事処にふらり立ち寄り、食べたいものを自由に食すという、実際の名店を紹介しながらの食べ歩きドラマ!(ときどき居酒屋にも入りますが、そこでも下戸ゆえ食事のみ!)

今回は放送開始を記念して、グルメを題材にした映画をいくつかご紹介!

肉にこだわる寺島ジモンが初監督
焼肉映画『フードラック! 食運』



最近の日本映画で新しめのグルメ映画といえば、やはりこれ!

芸能界屈指の食通として知られる「ダチョウ倶楽部」寺島ジモンが、もっとも愛してやまない焼肉を題材に描く人情グルメ映画です。

お笑い芸人の監督作品ということで正直さほど期待してなかった映画マスコミ陣も、いざ見てびっくりの面白さ!

実は寺島ジモン、大の映画マニアで映画を監督するのが夢でもあったそうで、本作はそんな映画愛と焼肉愛が見事に合致!

グルメ情報サイトの新米記者(土屋太鳳)と、ぐうたらながらも舌は確かなグルメライター(EXILE NAOTO)のデコボコ・コンビの妙は、どことなくグルメ漫画の至宝「美味しんぼ」のそれを彷彿させますが、それよりも何よりもふたりの食べっぷりの見事なまでの美味しそうな風情に、見ているこちらも辛抱我慢ならなくなり映画公開時は鑑賞後に焼肉屋に直行する人激出!(マジです)

自宅でソフトやサブスクでご覧になる方、くれぐれも肉と焼き肉プレートを準備の上、ご覧ください(準備しとかないと、本当に後々後悔します!)

TVから映画へ拡大した
劇場版『深夜食堂』2部作



現在のグルメドラマ隆盛のきっかけは、安部夜郎の同名漫画をドラマ化した「深夜食堂」(09~)からではないかと思われます。

営業時間は深夜12時から朝までという、新宿の花園界隈の路地裏にひっそりたたずむ小さな飯屋。

店内に掲げてあるメニューは豚汁定食のみで、あとは「言われたものは何でも作るよ」といった姿勢のマスター(小林薫)と、常連客やいちげんさんたちの心の交流を人情味豊かに描いていきます。

その人気の高さから2015年に『劇場版深夜食堂』、続いて2016年に『続・深夜食堂』の2本が製作されましたが、これらもまたクリーンヒット。

どちらもTV版のメイン監督でもある松岡錠司が監督していますが、劇場版という気負いよりもTV版の雰囲気を銀幕にそのまま移行させようといった心地よさで、TVファンも大満足!

長編の尺ではありますが、無理に1本のストーリー映画に仕立てるのではなく、TV版同様オムニバス的にさまざまなエピソードを盛り込んでいく構成も功を奏し、逆にTV版を見たことのなかった人も魅了させ、そのままTV版も見たいと思わせるほどの優れものとなりました。
 

スイーツ好き垂涎の
『洋菓子店コアンドル』



グルメの中にはスイーツも含まれることでしょうが、ここは洋菓子スイーツのファン垂涎の『洋菓子店コアンドル』なんていかがでしょうか。

鹿児島弁丸出しの若い娘なつめ(蒼井優)が、東京で評判の洋菓子店「パティスリー・コアンドル」でパティシエ修行中という恋人を追って上京したものの、彼は既に店を辞めていて、ところがその店のケーキの味に魅せられたなつめは、オーナー&シェフ・パティシエの依子(戸田恵子)に懇願して何とか雇ってもらおうと大奮闘!

そのうち、かつては「伝説のパティシエ」と謳われていたスイーツ評論家の十村(江口洋介)と出会います……。

もはや言うまでもなく当時も今も若手実力派№1女優の蒼井優の卓抜とした演技力と、そこから巧みに発散される、世間知らずの生意気娘ぶりさ!(ただ鹿児島県人としては、彼女の鹿児島弁はかなり違うものが……)

いつしか深くかかわってしまうことになる江口洋介とのコンビぶりも実に素敵で、インディペンデントの雄から商業映画に移行しても実力を発揮し続け、最近では『そらのレストラン』(19)も手掛けた深川栄洋監督の演出も快調な、ケーキのごとくふわふわ可愛い(でも甘いばかりではない)映画です。

三國親子の共演が話題になった
アンチ?グルメ映画『美味しんぼ』



『フードラック!』の項でも書いた、グルメ漫画の代表格「美味しんぼ」はTVアニメ・シリーズやドラマ化もされていますが、実は1996年に劇場用映画も作られています。

基本ストーリーはライバル新聞社同士のグルメ・メニュー対決と、そこに係る主人公記者・山岡(佐藤浩市)とその父・海原雄山(三國連太郎)との確執を描いたもの。

そう、このキャストを見てお分かりの通り、本作は三國連太郎と佐藤浩市の親子が初共演した作品なのです!

実はこの親子、かつてはなかなかに手ごわい親子関係を保持し続けており、さらには俳優同士としてライバルにもあるという、原作さながらの関係性を反映させたものとして製作時は大いに話題になりました。

この両者が出演する大きな理由のひとつが、喜劇ならぬ「怒劇」の名匠・森﨑東の監督であったことですが、さすがは森﨑監督、そんじょそこらのグルメ対決などどこ吹く風で、クライマックスは何と三國&佐藤に煮豆を作らせ、それをどれだけ売るかという対決を用意するという反骨ぶり!

原作ファンの間では当然ながらに公開時は賛否となりましたが、森﨑映画を熟知した映画ファンはもうニンマリしっぱなし。

そして気がつくと、今では一風変わった(アンチ?)グルメ映画として三國親子の貴重な競演映画として、森﨑映画を語る際に忘れてはならない1本として屹立して久しいのでありました。

 

日本のグルメ映画の元祖!
伊丹十三監督作品『タンポポ』



最後に、やはり日本のグルメ映画を発展差sるきっかけとなった伊丹十三監督の第2作『タンポポ』(85)を。

これは売れないラーメン屋を営む未亡人(宮本信子)を助ける風来坊(山崎努)という、西部劇の名作『シェーン』をお手本にした“ラーメン・ウェスタン”として制作されたものですが、実際の中身はラーメンのみならずさまざまな料理のウンチクが、豪華キャストを以って面白おかしく語られます。

(スパゲティを食べるとき、無理にスプーンを使わなくてもいいということをこの映画で知りました!)

この作品、実は海外で大いに評価され、これまで幾度かハリウッド・リメイクの企画も持ち上がったほどで(残念ながら未だに実現していませんが)、2009年にロバート・アラン・アッカーマン監督が日本ロケで完成させたアメリカ映画『ラーメンガール』では、本作のオマージュとして山崎努も特別出演しています。

また2016年にはニューヨークで本作の4Kデジタル・リマスター・ニュープリント版がリバイバル上映され(NYの初公開は1986年)、主演の宮本信子も出席し、現地の映画ファンを喜ばせてくれました。

 
まだまだ紹介したい作品は山ほどありますが、今回はこの辺で。

まあ、いずれにしましても映画を見るとおなかがすくもの。

楽しい映画を見て、美味しい物を食べたいものですね。

(文:増當竜也)

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