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2021年07月10日

『竜とそばかすの姫』レビュー:仮想空間の細田守版『美女と野獣』から導かれる現代少女のリアル

『竜とそばかすの姫』レビュー:仮想空間の細田守版『美女と野獣』から導かれる現代少女のリアル


世界中のクリエイターを結集して
形成された作品の世界観

ここまでの大筋やポスターなどのヴィジュアルからも想像つくように、本作はディズニーの長編アニメーション映画『美女と野獣』(91)をかなり意識して作られている節がうかがえます。

(歌姫“ベル”の名前からして、まさに!ですね)

思うに細田作品は『おおかみ子どもの雨と雪』(12)や『バケモノの子』(15)と、獣人を登場させることが往々にしてありますが、その原点は『美女と野獣』なのかもしれません。



それを裏付けるように、今回はウォルト・ディズニー・アニメーションスタジオで『塔の上のラプンツェル』(10)『アナと雪の女王』(13)などのキャラクター・デザインを手掛けるジン・キムに、歌姫ベルのキャラクターデザインを依頼しています。

最近のディズニー・アニメ映画のほとんどは3DCGスタイルで製作されているだけに、今回の2Dキャラは久々に往年の懐かしいディズニー・セル・アニメ映画のタッチをも彷彿させてくれることでしょう。

また『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』(14)『ウルフウォーカー』(20)などで今や世界的に注目されているアイルランドのアニメーション・スタジオ、カートゥーン・サルーンのスタッフも本作に参加しています。
(同社の作品が好きな方なら、どのシーンを手掛けているかもすぐにわかることでしょう!)

〈U〉のコンセプト・アートはロンドン在住の建築デザイナー、エリック・ウォンが担当。こちらも細田監督たっての希望で実現したものとのこと。

こうした世界中の才能が本作に集結したのは、やはり細田作品の世界的な実績と信頼があるからこそで、特に前作『未来のミライ』(18)は国内の評価こそ賛否割れましたが海外では大絶賛で(こうしたお国柄によって評価が異なるのも、映画と接し続けていて興味深いところです)、米アニー賞ではインディペンデント作品賞を日本人初の受賞、アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされました。

本作もまた本年度のカンヌ国際映画祭で2021年7月15日にワールドプレミアが予定されています。
(カンヌでこうした形でアニメ映画が上映されることは非常に稀なのです)

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