2021年12月16日

<新作レビュー>『雨とあなたの物語』「12月31日に雨が降ったら会いましょう」SNSなき時代、手紙がもたらすラブストーリー。

<新作レビュー>『雨とあなたの物語』「12月31日に雨が降ったら会いましょう」SNSなき時代、手紙がもたらすラブストーリー。




■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT


はるか昔、あるベテラン映画人から「映画は新しいものを描くよりも、むしろ古きものを魅力的に描くのに長けたジャンルなんだよ」と言われたことがありました。
(そんなもんかな?と当時は思ったものでしたが、ある程度トシをとった今は、何となくそのことが理解できるような気がしています)

その伝ではSNS全盛の今の時代、手紙というアナログなアイテムも逆に新鮮な情緒をもたらしてくれるかもしれません。

ケータイこそあれ、まだスマホは存在せず、SNSも発展していなかった2003年の韓国での、1通の手紙がきっかけとなる8年越しのロマンティック・ラブストーリー。



Netflix作品「椿の花咲く頃」(19)で人気のカン・ハヌル、『サニー 永遠の仲間たち』(11)『哭声/コクソン』(16)などの実力派チョン・ウヒが、透明感あふれる愛の交流を披露してくれています。

「質問しない」「会いたいと言わない」「会いに来ない」をルールに始まるふたりの手紙のやりとりは、やがて発展していき、ついには「もしも12月31日に雨が降ったら会おう」の提案にまで至ります。



こうしたロマンティシズム、現実的には面倒臭いものと思う人もいらっしゃるかもしれませんが、映画の中だけに存在し得る魔法のような虚構として捉えてみれば、実に情感豊かなものへと心を転じさせることができることでしょう。

とかく韓国映画はドロドロしたものでもさわやかなものでも徹底的に描出するものが多く、その意味でも(日本の映画やドラマとは違って?)中途半端なことは絶対にやらないという安心と信頼があり、本作も例外ではありません。

さらにはこの作品、主人公のふたりのみならず、周囲のさまざまな人々をもひねりをきかせながら巻き込みつつ、時間軸を錯綜させながら渦を巻くように繰り広げられ、そしてラストでは……!

ヒロインが営む古本屋や革工房なども、映画そのもののノスタルジー性をささやかに引き立てているようで、画面に映し出されるだけで心地よいものがありました。

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(文:増當竜也)

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