『メインストリーム』レビュー:「いいね」するのが怖くなるほどモンスター化したSNSの闇を描いた衝撃作!



■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

SNSなどをやってますと、どうしても「いいね」の数だったりアクセス数だったりが気になり始めてしまうもので、一度そうなるともうどんどんエスカレートしていき、またそんな自分が時折いやになってしまったりもしてしまいます。

ホント、SNSを含むインターネットの世界は本来もっと自由であったはずなのにと、その黎明期から齧り始めた世代としては、ここまでモンスター化してしまったことに脅威すら感じられてなりません。



本作も、そんなSNSの「いいね」に翻弄されていく若者たちの映画です。

なかなか「いいね」してもらえなかった動画が、急にアクセス数が伸びて人気が出ていったとしたら、そりゃもう誰でも有頂天になってしまうでしょう。

しかし本作は、そうやってどんどん昇り詰めていくことの闇の部分にもスポットを当てていきます。



正直ドラマの流れそのものは割かし先読みが出来たりもしてしまい、またラストのオチのつけ方には個人的に異論もあるのですが、さすがに自分がインフルエンサーになることなどはありえないと最初から諦めてはいても、心のどこかに「もしかしたら」という気持ちがよぎってしまうのもまた人情で、その伝では実に見る側のツボを押さえた、他人事ではない映画に仕上がっています。

(邦題も原題通りではありますが、日本だともっとSNSを想起させられるものにしたほうが良かったかなという気がしないでも……)



キャストではカリスマ・ユーチューバーと化していくアンドリュー・ガーフィールド扮する謎の若者像に現代ならではの不気味さを感じるとともに、個人的にユマ・サーマンのファンであった身としては、その娘で本作のヒロインを務めるマヤ・ホークがお母さんそっくりなのに改めてびっくり!

(思わず彼女主演で『バロン』でも『パルプ・フィクション』でも『キル・ビル』でもリメイクしてもらいたくなるほどの衝撃的なまでの美しさ!)

監督はフランシス・フォード・コッポラ監督の孫ジア・コッポラですが、コッポラ一家は本当に映画の神がついているかのようですね。



(文:増當竜也)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

(C)2020 Eat Art, LLC All rights reserved.

RANKING

SPONSORD

PICK UP!