2021年07月22日

【厳選】今週公開オススメ映画!夏の大作・話題作だけではなく、珠玉の秀作にも光を!

【厳選】今週公開オススメ映画!夏の大作・話題作だけではなく、珠玉の秀作にも光を!


『親愛なる君へ』

性も世代も越えてパートナーの家族を護ろうとする青年の悲劇と、血の繋がりを越えた絆


(C) 2020 FiLMOSA Production All rights

台湾アカデミー賞(金馬奨)で最優秀主演男優賞(モー・ズーイー)、最優秀助演女優賞(ヤオ・チェンヤオ)、最優秀音楽賞を受賞した話題作。

ここでも扱われているモチーフはLGBTQ+に対する周囲の偏見や差別がもたらす悲劇です。

主人公の青年ジエンイー(モー・ズーイー)は今は亡き同性パートナー、ワン・リーウェ(ジャック・ヤオ)の母シウユー(ヤオ・チェンヤオ)と、パートナーの子どもヨウユー(バイ・ルンイン)の面倒を見ながら同居していますが、シウユーの急死に伴う家の権利を巡って、ジエンイーが彼女の死に何らかの関与があったのではないかと警察に疑われていきます。

作劇的に上手く作られていると唸らされるのは(それはドラマそのものの展開として、とてもつらいことでもあるのですが)、主人公がどんどん追い詰められていくサスペンスの素材の多くが、皮肉にも彼および周囲の人々の善意によってもたらされてしまうところで、その意味ではチェン・ヨウジエ監督自身による脚本の良さも特筆しておきたいところ。

自分が愛した人の家族までも愛そうとすることで、愛した人そのものへの想いを繋ぎ止めていこうとする主人公をモー・ズーイーが真摯に演じており、特にワンとの回想シーンや、ヨウユーに「もうひとりのパパ」としてふれあっていく繊細な交流シーンの数々は胸を締め付けられること必至。

同時にやはり台湾では“国民のおばあちゃん”の異名をとるチェン・シューファンの存在感にも圧倒されることでしょう。

性も世代も血縁の有無も、ひいては民族の違いまでも超越したところでの差別も偏見もなき「家族」の成立を願ってやまない、作り手の想いがひしひしと伝わってくる秀作です。

●2021年7月23日よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
配給:エスピーオー、フィルモット
監督:チャン・ヨウジエ
出演:モー・ズーイー、ヤオ・チェンヤオ、チェン・シューファン



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