2021年07月22日

【厳選】今週公開オススメ映画!夏の大作・話題作だけではなく、珠玉の秀作にも光を!

【厳選】今週公開オススメ映画!夏の大作・話題作だけではなく、珠玉の秀作にも光を!


『夕霧花園』

阿部寛出演!マレーシアを舞台に戦争と愛の歴史が妖艶に交錯する国際ミステリ大作


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台湾映画界の名手トム・リン監督と台湾・香港スターのリー・シンジエ&シルヴィア・チャン、日本を代表する阿部寛、さらにはジュリアン・サンズまで出演という国際的布陣でお届けする、マレーシア産のミステリアスな歴史ラブストーリー。

日本軍がマレーシアを占領していた第二次世界大戦時と、戦後間もない1950年代の争乱、そして1980年代という三つの時代を交錯させながら、戦争と時代に翻弄された人々の愛憎が大河ドラマのごとく奏でられていきます。

阿部寛は戦中戦後とマレーシアのキャメロンハイランドに住み続ける日本皇室庭師・中村の役で、日本庭園を愛した亡き妹の夢を受け継ぎ、憎むべき日本人の彼に造園技術を教わろうとするユンリン役がリー・シンジエ。

そして1980年代のユンリンに名優シルヴィア・チャンが扮していますが、彼女は中村が実は戦時中日本軍のスパイだったのではないかという疑惑の解明に乗り出しながら、ふたつの時代の過去が描かれていきます。

本作では日本軍がマレーシアの人々に対して行った非道と日本文化へのリスペクトという相反する要素に、あの「山下財宝」伝説までドラマに組み込んでいくことで、戦争と歴史の悲劇をベースにしたミステリーとジャパネスクな妖艶美の融合を幻想的に描いていきます。

劇中、良くも悪くも日本文化の究極といえる事象がエキゾチックに展開されていくあたりは日本人側としてちょっとこそばゆいところもありますが、総じてバランスは取れているほうではあるでしょう。

1950年代、再びイギリスの植民地統治下に置かれたマレーシアでの熾烈なゲリラ紛争も巧みにドラマに盛り込まれています。

『ライアンの娘』『インドへの道』の巨匠デヴィッド・リーン監督が嫉妬してしまいそうな国際スケール豊かなラブ・ストーリー大作が、アジア人の連帯によってなし得ていることにも感銘を受けてしまいました。

そしてもちろん阿部寛も謎の庭師を好演しています!

●2021年7月24日よりユーロスペースほか全国順次公開
配給:太秦
監督:トム・リン
出演:リー・シンジエ、阿部寛、シルヴィア・チャン、ジュリアン・サンズ



(文:増當竜也)

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