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『ベイビーわるきゅーれ』レビュー:アクションと日常のギャップが絶妙な殺し屋少女映画の明るく楽しい革命!



■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

殺し屋少女をモチーフにした映画そのものは今や目新しくも何ともありませんが、本作に関しては「まだまだこういう手があったか!」と快哉したくなるほどの革命的な楽しさが満喫しています。

女子高生殺し屋として暗躍してきた少女ちさと(髙石あかり)とまひる(伊澤彩織)。



しかしこのふたり、組織(というよりも事務所感覚ですね)に委託された“お仕事”をバイトするかのように淡々とこなすのみで、そこには人生の闇も他人の命を奪う罪の意識もカケラも何もない、本当に普通の(ある意味怖い?)女の子。

特にまひろはコミュ障なもので、こういった「商売」は結構自分に向いていると思っているような節も感じられます。

さて、そんなふたりが高校卒業して組織からルームシェアを命じられたことから始まる、さまざまな現実(家賃や公共料金、税金はどう払う? とか)の中で育まれていく(でも全体的にダラ~とした)友情と確執。

さらには彼女らに身内を殺されたヤクザ連中との攻防といった、明るく楽しい青春アクション殺し屋映画としての情緒が、他に類を見ない面白さとして発散されていきます。

特筆すべきはアクション・シーンの数々で、主演少女ふたりが熾烈なシーンを真摯に体現しており、実際にスタントウーマンとして活躍中の伊澤彩織による、いかつい男どもをぶちのめしていくアクションはカ・イ・カ・ン!そのもの。



対する髙石あかりの「メンドクサイこと嫌い!」的な殺しのテクニックの数々は、往年の松田優作主演『遊戯』シリーズの軽妙さを彷彿させてもくれます。



とかく「日本映画界はアクション映画が作りにくい」といった現状を嘆く声が多く、たまに有志で作られたものもどこかしら演者が自己陶酔していて観客はゲンナリといったパターンが多く見られますが、そういった中で本作のようなものに出会うと「まだまだ日本もイキなアクション映画が撮れるのだ!」という事実を痛感させられるとともに、これからアクション映画を撮りたいと思っている人たちへの啓蒙にも成り得ているカ・イ・サ・クなのでした。



20代半ばの今の感性を映画的に転換させえたの阪元裕吾監督は新作ヴァイオレンス・ホラー『黄龍の村』もまもなく公開という期待の若手監督。

ダイナミズムあふれる殺し屋アクションの数々とダラ~とした(本当にこの感覚が心地よい!)日常のギャップの愉しさから醸し出される独自の映画的深みを大いに満喫していただきたい!

(文:増當竜也)

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