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『先生、私の隣に座っていただけませんか?』レビュー:どこまで現実か妄想かわからない不倫漫画がもたらす迷宮幻惑世界の妙味



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■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

結婚5年目の漫画家夫婦で、夫(柄本佑)はかつて人気だったものの今は売れっ子の妻(黒木華)の手伝いに甘んじている現状の中、編集者(奈緒)と浮気。



まあ、不倫はよくある話ではありますが(いや、あってはいけないのですが)、それを知ってか知らずか妻は新作漫画のモチーフを「漫画家と自動車教習所の先生(金子大地)との不倫」としながら執筆開始。



その中で繰り広げられていく出来事は「もしかしてホントのこと?」と夫が疑いはじめ、それがいつしか映画を見ている観客にまで伝染し、そのうちどこまでが創作でどこまでが事実かまったくわからなくなっていくという、そんな迷宮世界へ突入していくのが本作の醍醐味です。



黒木華&柄本佑の演者としての上手さは今更ながら言うまでもなく、混乱を招く黒木、混乱される柄本、共にお見事ではありますが、今回はさらにあっけらかんとした現代気質丸出しで事態を興味津々で捉え続ける奈緒が妙味(ちなみに彼女、同月公開の『君は永遠にそいつらより若い』でも好演しています)。

さらには妻の母親役で登場する、ベテラン風吹ジュンの佇まいにもご注目を!



こうしたキャスト陣を見事に捌きながら独自の世界観を構築したのが堀江貴大監督で、若干30代前半ながら瑞々しさと軽やかさ、そして着実さを並立させた手腕には大いに唸らされます。



かつて彼のインディーズ時代の初長編映画『いたくてもいたくても』(16)や『ANIMAを撃て!』(18)を非常に面白く拝見した身としましては、あれから3年にしてこれだけの実力派キャストと共闘しながらメジャー感あふれる快作をモノにしてくれたことが、一映画ファンとして何よりも嬉しい限り。

渡邊琢磨の音楽も実験的かつ挑戦的で、映画音楽とは常にこの意気で臨んでいただきたいものと、久々に唸らされました。

ぜひ、この迷宮世界の中で大いに惑わされてください!

(文:増當竜也)

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