(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会
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2021年10月02日

『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章-TAKE OFF-』レビュー:まさにリブート版の新たなる旅立ち!

『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章-TAKE OFF-』レビュー:まさにリブート版の新たなる旅立ち!


空前のアニメ・ブームを
もたらしたヤマト

ここでざっとシリーズをおらいしていきますと、まず1974年から75年にかけてTVシリーズ「宇宙戦艦ヤマト」が放映され、当時は視聴率が振るわなかったものの(何せ裏番組が「アルプスの少女ハイジ」でしたから)、その後の再放送で人気が高まり、1977年8月に総集編映画『宇宙戦艦ヤマト』が公開されるや、これが少年少女を多数動員する異例のヒットとなって大人たちを驚かせるとともに、ここから一気にアニメーション・ブームが巻き起こっていきます。



それはちょうど海の向こうの『スター・ウォーズ(エピソ-ド4)』(77)が大ヒットとなり、SF映画ブームが到来するのと偶然にも歩調を合わせており、かくしてヤマトも映画シリーズ第2弾『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の制作に踏み切り、翌78年8月5日に公開されるや、これが配収21億円の大ヒットとなり、アニメーション・ブームを決定的なものにまで押し上げていきました。

極論すれば“ヤマト”がなかったら、現在の日本国内のアニメーションの隆盛はもたらされてなかったかもしれません。

ところがこの後、シリーズに異変が生じていきます。

『さらば宇宙戦艦ヤマト』は敵の強大なる白色彗星に対し、最終的にヤマトが特攻するという、究極の自己犠牲の形で決着をつけました。

つまり、ここで“ヤマト”は終わるはずだったのです。

ところがその後の同年10月から放送されたTVシリーズ「宇宙戦艦ヤマト2」(78~79)は『さらば』と基本的に同じストーリー展開ながらも、ラストでヤマトは辛くも生還を果たすという形に変更されていました。



『さらば』の自己犠牲に滂沱の涙を流していた少年少女たちは、ここで戸惑ってしまいます。

一体何が起きたのか? と。

要するに、ここで『宇宙戦艦ヤマト』シリーズはパラレルワールドとして分岐してしまったのです。

(もっともそれ以前に実は劇場版第1作もTVシリーズとは異なり、ヤマトが目的星のイスカンダルに到着したところ、女王スターシャは既に死亡していたという衝撃の設定のものがお披露目されたのですが、これがファンの不評を買ったのか〈私はかなり気に入っていたのですが〉、『さらば』公開直前に本作がTV放映された際、そのシーンがTVシリーズでのスターシャ生存のものに差し替えられていました。そして現在はその『スターシャ生存編』がオリジナルとされ、ソフト化などされています。『スターシャ死亡編』はそのシーンのみがBlu-rayなどの特典映像に収められています)

そして1979年7月31日、「宇宙戦艦ヤマト2」の続編たる「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」がTVでオンエアされました。



もうこの時点で多くのヤマト・ファンは愕然となっていましたが、それでも視聴率は30パーセントを越える大盛況。

「死んだんじゃなかったのかよ?」「俺の涙を返せ!」みたいな激昂の批判もあれば、「またヤマトを見ることが出来て嬉しい!」といった喜びの声まで当時は賛否両論真っ二つで、SNSもない時代によくぞ日本全国あそこまで盛り上がったものと、今にして思うと感心させられます。

パブロフの犬ではありませんが、批判派にしても結局はヤマトの新作が作られると聞かされては黙っていられないという深層心理が働き、その後の映画『ヤマトよ永遠に』(80)も『スター・ウォーズ 帝国の逆襲(エピソード5)』(80)『スター・トレック』(79)『ファイナル・カウントダウン』(80)『復活の日』(80)といったSF超大作がずらり並んだ1980年夏の映画興行の中で配収13億5000万円と大健闘。



もっとも、その直後の同年10月からスタートしたTVシリーズ「宇宙戦艦ヤマトⅢ」は平均視聴率15.4パーセントと低迷し(とはいえ、今のレベルでは十分すぎる数字でしょう)、かくして1983年3月『宇宙戦艦ヤマト完結編』でパラレルワールドとして分岐したシリーズもようやく終結(配収は10億1000万円。ちなみに同時期公開のアニメ映画として『幻魔大戦』『クラッシャージョウ』『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』がありました)。

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