「科捜研の女」第1話レビュー:21年目もブレないマリコ!「科捜研の仕事は私の天職」(ストーリーネタバレあり)
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木曜ドラマ「科捜研の女 season21」が、2021年10月14日(木)より放送スタート。沢口靖子主演の大人気サスペンスシリーズが、木曜の夜に帰ってくる。
画像分析やDNA鑑定などの科学技術を駆使し、難解な犯罪捜査に立ち向かう様を描いた本シリーズ。榊マリコ(沢口靖子)の活躍もさることながら、ともに捜査に精を出す刑事・土門薫(内藤剛志)の熱血ぶりも魅力だ。
本記事では、その第1話をcinemas PLUSのライターが紐解いていく。
「科捜研の女 season21」第1話レビュー
京都府警科学捜査研究所の法医研究員・榊マリコが科学の力で事件を解決していく「科捜研の女」。2021年に初の劇場版も公開されたテレビ朝日の人気長寿シリーズのseason21がついにスタートした。
京都府警に来たマリコの元夫・倉橋は、二つのことを持ちかける。一つはマリコの警察庁への異動。もう一つは事件の捜査依頼。倉橋の同僚・立岡が京都出張中に転落死したが、警察庁はなぜかこの事件に箝口令を敷いているらしい。元夫の願いを快諾したマリコは、日野所長が止めるのも聞かずに早速捜査を始める。やると決めたらなんとしてもやる。彼女はいつでもそうだ。
なお、マリコにはもう一つ特徴がある。それは、必要ならば上司でも誰でも平気でこき使うこと。今回その標的となったのは土門の部下・蒲原。マリコと一緒に現場で科学捜査をする羽目になり、「スパルタ教師だよ…」とぼやく姿には思わず笑ってしまった。思えばシーズン15で登場したときは土門らと対立していた彼。いつの間にやらずいぶん丸くなったものだ。
捜査の甲斐あってマリコと蒲原は現場で繊維片を発見。ごく小さなものだが、こうした些細な証拠こそ大切だというのが本作の定石だ。そして、事件当日に立石が訪れていたガールズバーが実は闇カジノだと判明。箝口令の理由はこれだった。
宇佐見が鑑定した結果、繊維片は男物のリュックのもの。立岡の所持品らしいが現場では見つかっていない。リュックが盗まれたのではないか…というマリコと土門の主張で藤倉刑事部長も捜査を認め、ようやくいつもの科捜研の鑑定がスタートした。
防犯カメラを解析する亜美に転落シミュレーションを試みる呂太。事件を通報した電話の音声を解析する宇佐見とマリコ。テーマ音楽にのって捜査員たちが科学技術を駆使するお約束の流れはいつ見ても心が躍る。筆者がこのドラマで一番好きなシーンだ。もちろん、土門と蒲原も捜査に動く。立岡は京都で民間の職業訓練センターを訪れ、警察の退職者向けの研修計画を進めていたのがわかった。
その後、立岡のスマホをたどっていった結果、立岡が闇カジノの用心棒・桑名と会っていたことが判明。桑名は元刑事。懲戒免職になった警察官のための研修を進めていた立岡に世話になっていたという。彼の証言によると、立岡は自身が管理していた懲戒免職者リストが暴力団の手に渡ってしまったのを取り戻そうとしていたらしい。そして、桑名は事件当日立岡の転落死を目撃。自身が疑われるのを恐れて立岡のリュックを持ち去ったのだった。事故を通報した音声が彼のものだったことをマリコが明らかにする。
桑名がカジノに隠していたリュックを鑑定する科捜研。結果、立岡を殺したのは職業訓練センターを主催する女性・奥沢だとわかった。リュックに彼女の腕時計のベルトと一致する繊維とチョークの成分が付着していたのだ(職業訓練センターには黒板とチョークがある)。立岡のリストを暴力団に流していた奥沢。それを知って告発しようとした立岡と揉めた末に突き落としてしまったのだった。
この第1話には人気声優・沢城みゆきがゲストで登場。立岡の元妻で数学者の和穂を演じたが、滑舌のよさとのびやかで艶のある声が聞いていて非常に気持ちがよかった。瞳の奥に影を宿して語る姿に学者らしい知性がそこはかとなく感じられ、非常に心に残る演技だったと思う。
なお、結果的に警察庁の面子を潰したため、マリコの異動は白紙になる。ただ、物語を見ていたかぎり、彼女の心の奥底にある答えはとうに決まっていたように思えた。劇中でごく自然に次のような言葉を口にしていたからだ。
「科捜研の仕事は私の天職だと思っています」
「私と土門さんで調べてみる」
科捜研の仕事をする。土門とともに捜査をする。結局はこれらがマリコの中にある揺るがない理念なのだろう。実際彼女はこの使命をずっと全うしてきて、これからもやり続けるに違いないのだから。
科学の力を信じ、周りの者たちを容赦なく巻き込んで事件に挑む榊マリコ。21年目のシーズンも初回から彼女はまったくブレていなかった。今後の活躍が楽しみだ。
「科捜研の女 season21」第1話ストーリー
榊マリコ(沢口靖子)に思いがけず“異動話”が舞い込んだ。警察庁で“刑事指導連絡室”室長を務める元夫・倉橋拓也(渡辺いっけい)が、刑事講習で科学捜査を教える専門指導官に、マリコを推薦したのだ。もし選ばれたら警察庁、つまり東京に出向となる…。科捜研の仕事を天職と思う一方、20年以上培ってきた科学捜査の経験を若い世代に伝えることにも価値があると考え、マリコは迷う。その倉橋が突然、マリコに相談を持ちかけてきた。実は数日前、倉橋の同僚が京都出張中に雑居ビルの非常階段から転落死。事故として処理されたにもかかわらず、庁内には箝口令が敷かれたという。不審を抱いた倉橋は友人の死の真相を明らかにしたいと願うものの立場上、動くこともできず、マリコに捜査を頼みたいと話す。
科捜研所長・日野和正(斉藤暁)は正式な要請がない以上、協力できないと釘をさすが、マリコはさっそく土門薫(内藤剛志)刑事や蒲原勇樹(石井一彰)刑事を巻き込んで捜査を開始。
蒲原が所轄署から入手した調書によると、倉橋の同僚は雑居ビル内にあるガールズバーを訪れ、トイレと間違えて非常階段のドアを開け、そのまま足を滑らせて転落したとされていた。また、遺体の所持品からスマートフォンが消えていたことが判明。正体不明の目撃者が公衆電話から119番通報していたこともわかった。
土門とマリコは被害者の元妻で、大学の准教授を務める水城和穂(沢城みゆき)のもとを訪れるが、和穂は元夫との関係を「ねじれの関係」と一蹴し、マリコ達を突き放す…。
一方、蒲原とともに転落現場を訪ねたマリコ。手がかりを求めて非常階段を調べたところ、わずかな繊維片を見つける。ところがその直後、マリコは怪しげな男たちに拉致されてしまい――!? はたして、マリコは警察庁キャリア官僚の死に潜む真相を暴くことができるのか!? そしてマリコは元夫・倉橋の誘いに乗って東京行きを決断するのか――!?
(文:田下愛)
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