映画館で「小さい女の子に近い席」の購入を求められることは「よくある事」なのか?
先日、ツイッターで映画館に関する「ある漫画」が議論になっていました。現在は削除されていますが、これは以下のような内容です。
成人男性が、「周りになるべく女の子が居る所がいいです」と言って女児向けアニメのチケットを対面販売の窓口に購入しにくる。
それを受けて、窓口スタッフがベテランに助けを求めようとしたが、みな手一杯。この人はヤバいと直感したそのスタッフは、機転を利かせて自分が販売したエグザイル系のお父さんの近くの席を販売した、という内容でした。
その漫画の投稿ツイートには、「この時期になると毎年思い出してはモヤつくお話をマンガにしてみました」とあり、ハッシュタグで「#映画館ではよくある事」とつけられていました。
SNS上では、この件は「差別か否か」という点で大きな議論になりましたが、この記事ではその議論はではなく、映画館でこうした対応は実際に「よくある事」なのかを、検証したいと思います。
筆者は、ミニシアターでの勤務経験がありますが、自由席システムの劇場でしたので、シネコンの実際の事情には詳しくありません。そこで、知り合いのシネコン経験者の二人(お二人ともアルバイトではなく社員としてシネコンに勤務していた方)に話を聞いてみました。
映画館に対する疑問は、主に以下の2つでしょう。
①映画館のスタッフは誰がどの席を購入したか把握できるのか
②そもそも「よくある事」なのか
映画館のスタッフは誰がどの席を購入したか把握できるのか
そもそも映画館スタッフは、誰がどこに座っているのか、把握しているものなのでしょうか。筆者の務めた劇場は、自由席のミニシアターで、開場してからお客様が自分で席を選ぶシステムでしたので、こうしたことを悩んだことがありません。
その点をシネコン勤務経験者(仮にAさんとします)の方に伺ってみました。シネコンは、ウェブで予約する際には、個人情報を登録して会員登録をする必要があります。しかし、その情報は「基本的に、どの席にどのような方が座るかは、少なくともチケットBOXの販売用デバイス上ではわからない」とのことでした。
また、別のシネコン経験者(Bさんとします)の方にも話を聞いてみましたが、やはり同じような回答で、「現在はネット予約や券売機での購入が主流なので、そもそもスタッフはどんな人がどの席に座るのか把握できない。どなたがどこに座るかはわかりません、としか答えようがないと思う」だそうです。
Aさんは、「今のご時世はプライバシーや個人情報がどんどん厳しくなっているので、こういうチケットの売り方はできないのではないか」ということです。
まとめると、シネコンでは現在は、対面での販売自体が主流ではないし、ウェブ予約や券売機での購入分は個人情報もわからない。加えて、個人情報保護の厳格化もあって、そういう案内をすることはあまりないのでは、ということのようです。
件の漫画では、自分で販売した分の席を覚えていたから、漫画の内容のような対応をしたとも考えられるのですが、漫画にもあるように窓口は一つではなく、それぞれのスタッフが誰に売ったのかは、おそらく把握できる状態ではないと思いますから、正直に「誰がどの席に座っているかわかりかねます」という対応で良かったのでは、と思います。
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