「若いときより今のマーベラスが好き」『テン・ゴーカイジャー』小澤亮太インタビュー
「若いときより今のマーベラスが好き」『テン・ゴーカイジャー』小澤亮太インタビュー
——TVシリーズが終わった後もマーベラスを何度か演じていらっしゃいますが、小澤さんの中のマーベラス像的なものは都度アップデートされているんですか?
小澤:直近で演じたマーベラスは、レッドを中心に集結したメンバーで坂本浩一監督が撮った『スーパー戦隊最強バトル!!』だったんですが、中澤監督の演出プランはまた全然違う感じで。つながっているような感じもありつつ、中澤監督のマーベラス像があって、どっちがいい悪いではなく、監督によって変わってくるものなんだなと思いましたね。
演じるのは自分なので、僕の中でマーベラス像として持っている強い部分もあるんですけど、中澤さんとやるとまたちょっとだけ違う面が引き出される…みたいなことはありました。間の長さとか、正直、すごく演じづらいと思うところもあったりしましたが、やっぱり中澤監督は自分の中でちゃんと画を持っていらっしゃるので、映像を見たら、すごく納得するというか、さすがだなと思いました。
——マーベラスを演じる上で強く持っていた部分というのは、例えばどんなところでしょう?
小澤:TVシリーズのときから、どうしてキャプテンと呼ばれるのかと考えていましたし、キャプテンと呼ばれるのに相応しい、貫禄のある姿を見せなくてはいけないと思っていました。余計なことはせずに、どしっと座る、どしっと会話をする。その周りでみんながわちゃわちゃしてくれて成立する、という役なので。動かずにしゃべったり、目だけで何かを表現したり、という芝居は今でも難しいなとは思いますね。それこそ、間が怖いタイプなので、脳内でどうしようって考えたりして…。
でも今回、年齢を重ねることで良さがより引き出される役なんだなと、改めて知ることができましたね。劇中でTVシリーズの映像も少し出てきたじゃないですか。当時はさわやかさもあったけど、僕は若いときより今の方が好きなんです。こっちの方が説得力があっていいなって。
——では、10年間振り返ってみて、ご自身が俳優として成長したと思うところを教えてください。
小澤:自分では一番わからないところですよね…。周りからはコミュニケーション能力が高くなったって言われました。そんなつもり全然なかったのに、昔は“近寄るなオーラ”が出てたってすごく言われるんです。今回の撮影中も「こんなにしゃべったの初めてだよ」って当時のスタッフさんに言われて、そうでしたっけ?って(笑)。入学式とかで友達ができないタイプなんですよ。3日後くらいに仲良くなるタイプ。
——話してみたら、いい奴だった的な感じですかね?
小澤:ざっくりいうと。そういうコミュ力的な部分は、大人になって磨かれたという
か、なんか、歳とってかまってちゃんになったのかなって(笑)。
——当時は、放っておかれても別に気にならなかったけど、今は変わってきた?
小澤:はい。あと、自分のことで手いっぱいだったんでしょうね。周りに目を配る余裕がなかったのかな、って。
——昔と比べて気持ちの余裕ができたのが、ひとつの成長かもしれませんね。
小澤:そうですね。やっぱり、いろいろと考えられるようになったことが多くて。この10年、いろんな役をやって、いろんな芝居をしてきたから、周りとコミュニケーションをとる余裕も生まれてきているのかなと思います。
——そんな成長した小澤さんから、当時のゴーカイジャーメンバーに対して何かメッセージをいただきたいです。
小澤:人生っていろいろあるじゃないですか。でも、みんないい意味ですごく変わらず、素敵だなって思いましたね。「大人になっても、みんな素敵ですよ」って言いたいですかね。
——あの頃は10年後集まって…なんて、想像もしていないですよね。それこそ「10 YEARS AFTER」シリーズもなかった頃ですし。
小澤:まったく思ってなかったですね。6人揃ってやれるかっていうのもあるじゃないですか。だから、まず、みんなでやれたのがすごくうれしかったですね。何かが欠けていたらこっちとしても複雑だし。そこは本当に、スタッフさんも含めみんなのおかげですよね。昔現場にいた方も多くて、すごく場に入りやすかったですし、ここがホームだなって思いましたね。
——では、せっかくなので10年後のビジョンについても教えてください。
小澤:渋い大人、余裕のある大人になりたいですね。
——自分の中では、余裕というのはまだ課題ですか?
小澤:まだ、いろいろとチャレンジですね。あと、アクションが好きなので、できる限り動いていきたいなとは思っています。今回もいっぱい動かしてくれってお願いしていたんです。「眼帯め〜!」とは思いましたけど(笑)、いろんなアクションができて、やっぱり楽しかったです。アクションを本職にしたいっていうことではないけど、動くことは昔から好きだったので常に動いていたいなって。10年後も動ける人でいるのが理想ですね。
——最後に、『機界戦隊ゼンカイジャー』に登場する、ゴーカイジャーに似たビジュアルのツーカイザーについてはどう思っていますか?
小澤:最初に見たときに「このキャラはなんだ?うちのクルー増えた?」って思ったんですけど、海賊版だと聞いて。いいんじゃないですか。「ありがとう、パクってくれて!」と思いましたね(笑)。
——そこは、「ありがとう」だったんですね(笑)。
小澤:違う形ではあるけど、蘇らせてくれてうれしかったです。ちょうど、友達の子供が「ゼンカイジャー」を観ている世代なので、「これ、お前?」って結構連絡が来ましたよ(笑)。10年前の作品のことを今、そうやっていじってもらえるのもうれしいですよね。今回の作品のタイミングもちょうどよかったですし。いつか、映画なんかでご一緒できたら楽しそうだなと思います。
(撮影:冨永智子、取材・文:大谷和美)
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