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2021年12月21日

「アバランチ」第10話レビュー:雪崩は突如起きる 圧巻の最終話をどう捉える?(※ストーリーネタバレあり)

「アバランチ」第10話レビュー:雪崩は突如起きる 圧巻の最終話をどう捉える?(※ストーリーネタバレあり)


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綾野剛主演のドラマ「アバランチ」が2021年10月18日に放送開始した。

カンテレ・フジテレビ系で月曜夜10時の新たな連続ドラマ枠がスタート。第1作目となる本作は、破天荒な謎の集団“アバランチ”の活躍を描くピカレスクエンターティンメント。7年ぶりのフジテレビ系連ドラ主演となる綾野剛が主人公・羽生誠一を演じる。共演は福士蒼汰、千葉雄大、高橋メアリージュン、田中要次、利重剛、堀田茜、木村佳乃ら。

本記事では、その第10話をcinemas PLUSのライターが紐解いていく。

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「アバランチ」第10話レビュー



雪崩は、起きた。

藤田と対峙した羽生。藤田は発砲したものの、羽生の命は奪わなかった。二度と姿を現すな、とだけ言い残して。
明らかになったのは、藤田が今に至るまでの経緯。実は大山から偽装テロのことを聞かされていた。犠牲になる部下をただ見送ればいい、と言われていた藤田だったが、共に現場へと向かった。生き残ったのは自分以外には羽生ひとり。本当は、藤田は部下たちと死にたかったのではないか……。生き残った藤田は、部下たちの命が奪われた責任を共に負わされる。きっと、藤田は責任感が強い人間のはずだ。仲間を失った十字架をずっと背負っていくだろうし、裏切ることもできない。だからと言って、羽生を殺すこともできない。中途半端だと言われてたとしても、すごく、人間らしいように思う。

山守はアバランチのメンバーの命を守るため、大山に寝返る。全員に出頭するように求めるが、おとなしく聞き入れるような面々ではない。
まさかここで山守が裏切る? 巻き込んだのは山守なのに、そんなことあり得る? あり得るわけがない。「寝返ったように見せた」のもすべて作戦だった。
そして鍵となったのは西城。極東リサーチに武器を横流ししていた父・尚也に「正義」を突き付ける。尚也に自身の口から真実を明らかにしてほしい。もしそれが叶わないなら、自分が告発する。そう決意していた西城だが、尚也本人の口から語られなければ、もみ消されるだろう。きっと、尚也も分かっていたはずだ。尚也が真実を語る会見から“雪崩”は加速する。

尚也の会見と合わせて遠山が週刊誌で事件を記事化。世間でも話題になり始めるが、大山は歯牙にもかけない。彼にとって、国民の声などどうでもいいのだ。アバランチに全ての罪を着せて、自分は日本版CIAを作る。その野望を果たすまであと一歩。
そこで、梯子を外される。まさかの、総理大臣に。

大山は突如、内閣官房副長官を解任される。総理自身が羽生に話を聞き、下した決断だった。羽生は、藤田と対峙したときに、大山が黒幕であると話させ、その様子を記録していた。それが決定打となっていたのだ。

「国民の話を聞くのが総理の役目だからね」
「やりすぎちゃったね」

アバランチに誘拐され、どこか頼りなく、警察官にも顔を認識されていない総理。ここで大逆転ホームランである。

危機は去った。藤田がいたころの時間には戻らない。けれど、それぞれ前を向けただけでもアバランチの存在意義はある。
ところどころ、「アバランチ詰めが甘いのでは?」「極東リサーチ、非道になりきれないな!?」などと思ったけれど、それもまた人間だからだろう。藤田が羽生を殺せなかったのも、尚也が武器の横流しをごまかしきれなかったのも、人間だから。殺伐としているようで、意外と食事のシーンが多かったのもそんな現れなのかもしれない。
そして、人間の心を忘れると、取返しのつかない大きな過ちを起こしてしまう。
ハードでクールな物語だと思っていたが、実は誰よりも「人間の心」を信じていた作品だったのかもしれない。


「アバランチ」第10話ストーリー


藤田(駿河太郎)は山守(木村佳乃)ではなく、羽生(綾野剛)の前に現れた。
3年前の偽装テロ事件以来の再会を果たした2人だったが、喜びもつかの間、羽生は自らの直感から大山(渡部篤郎)側にはつかないことを宣言する。かつての同志が、それぞれが信じる“正義”の食い違いによって、今は全く別の道を歩んでいることを感じた藤田は、「3年前、俺も含めて全員死んでいれば、お前と敵にならずに済んだのにな」とつぶやき、非情にも羽生に向けて銃弾を放つ。

一方、西城(福士蒼汰)は父・尚也(飯田基祐)の元を訪れていた。息子として、同じ警察官として、父の不正を許せない西城は、週刊誌記者の遠山(田島亮)と共に調べ上げた証拠を使って、尚也を告発しようとするが…。

それぞれが己の“正義”を信じ、最後の戦いへ――。はたして、アバランチが起こした雪崩の結末は?

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(文:ふくだりょうこ)


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