「ボクの殺意が恋をした」第7話レビュー:想像してた最高と最悪が同時に起きた(※ストーリーネタバレあり)
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2021年7月4日放送される日テレ系日曜ドラマ「ボクの殺意が恋をした」。
中川大志&新木優子W主演の本作は、殺そうとしてもどうしても殺せない殺し屋と、命を狙われるも恋に落ちてしまうターゲットが交わる新感覚の恋愛ドラマとなっている。
本記事では、その第7話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「ボクの殺意が恋をした」第7話レビュー
詩織(水野美紀)の前に現れた鳴宮美月は、水瀬千景(田中みな実)だった。一瞬よぎって、でも何度か打ち消した予想のひとつ。だって、第5話でたしかに千景はベッドに向かって、何かを報告してはいなかっただろうか。
柊(中川大志)に殺されそうになっていた葵(新木優子)を救い出したデス・プリンス(鈴木伸之)は、葵から自身は美月ではないこと、本物の鳴宮美月は千景であることを聞かされる。
同じ頃、柊もまた詩織から、同様の事実を知らされる。
千景はかつて、葵の兄・赤坂武尊(小池徹平)と交際していた。彼は、表向きは週刊誌の記者をしていたが、裏ではテロ組織の一員だった。それを理由に、丈一郎が武尊を殺したという。だから千景は武尊の復讐を企て、葵も自分の意志で計画に参加した共犯関係にあるというのだ。バラバラだったものが一気に繋がる。
警察の厄介になり柊のもとへ舞い戻ってきた莉奈(松本穂香)。この子、本当に厄介なんだけど、なんだか憎めない。そんな莉奈は、丈一郎(藤木直人)が許嫁を用意したのは、柊が1人になってしまった時のために頼れる人を作っておきたかったからではないか、と話す。結果的には、莉奈にとってもまた唯一の頼れる存在になっているから、少し思惑とは違ったかもしれない。でも、「丈さんって昔からそういうとこある…」とちょっと呆れているようにも見える柊は、この追い詰められた状況で久しぶりに人の温かさに触れたんじゃないだろうか。そうだとしたら、丈さんの判断は大正解だ。
突如デス・プリンスが柊の家へやって来る。「愛する人を守りたい」と宣戦布告し、さらには「君は葵を殺すんじゃなかったのか?」と挑発。それを受けて、「どんな事情があっても、彼女は俺の大切な人を殺した」と話す柊の目は真っすぐだ。真剣。葵をめぐる、デス・プリンスと柊の立場が入れ替わる。「葵は僕が守る。幸せにする」という言葉を聞いた柊の気持ちは、きっとまた混乱の中に落ちて行ったことだろう。
デス・プリンスと柊の会話を聞いていた葵は、「許してほしいなんて思ってない」と口では言う。自身も兄を殺されているからこそ、許せなくて当然だと思うのだろう。「どうしてこんなことに…」と泣く葵があまりにも切ない。こんな姿を見せられたら、どうにかして守ってあげたいと思ってしまう。「他人の涙がこんなに苦しいものだなんて」とつぶやいたデス・プリンスに完全同意だった。
そして、デス・プリンスは葵に、「守らせてくれ」と志願する。だが、葵の意識は過去へ。彼女がこれまでどれだけ柊に体を張って守ってもらってきたかを思い出す。皮肉なものだ。もはやデス・プリンスの入る隙はない。
やはり揺れ動いていた柊に、莉奈は「葵さんを殺したくなんてないんじゃないですか」と声をかける。柊は、丈さんの守りたかった正義を守るのだというが、そもそもSOSの守っていたものとは何だったのだっけ? テロリストを闇で始末していたというが、こんなにも悲しい復讐の連鎖を生むことに、果たして正義はあるのだろうか? 丈一郎を殺されたことが許せない、兄を殺されたことが許せない…復讐の連鎖は、どこかで止めなければ永遠に終わらないだろう。
憎しみと共感の狭間で「1番好きな人を1番憎まなきゃいけないんだ」と苦しそうに吐露する柊。こんなに悲しくて優しくて切ない涙を、まさかこのドラマで見ることになるとは思ってもみなかった。きっと柊に好意を持っているだろう莉奈。おそらくは自分の気持ちを飲み込んで、「1番手前にある気持ちを尊重してあげてください」と言ってのける。この優しさは、見習いたいと思った。
街中で対峙する詩織と千景。2人の会話はとても興味深い。
「あなたは私を殺せない、今はまだ」という千景は、データが詩織のもとに渡っていないかの確認をしているのだろう。詩織の証拠だというが、彼女は一体何をしたというのだろう?
「柊くんの仇はあなたでしょ?」と言い放つ千景。丈一郎を殺したのは葵ではなく、詩織だった。
こんな身近に、柊の仇がいたとは。たしかに、柊が鳴宮美月を殺すと言った時、たいして止めもしなかったのに違和感を覚えた記憶はある。
ここからは、完全に詩織が悪役に。
彼女は葵を服従させるために、病床の母を人質にとっていた。詩織の正義がますます分からなくなる。母親まで失うわけにはいかない葵は、柊に嘘をつくしかなかったのだ。葵は自分が殺されてもいいから、母のことも柊のことも守ろうとしている。その行動がすべて正しいとは限らない。もっと他の方法もあったかもしれない。でも、大事な人を守ることを優先する、この人はなんと強い人なのか。
そして、すべてを知ったデス・プリンスもその葛藤を理解し、柊に本当のことを打ち明けるよう背中を押してくれた。
「あの真っ直ぐすぎる男」とデス・プリンスが表現した柊は、でも、すでに現実を見てはいない。
詩織にはめられてどこかの工場跡地に呼び出された柊。莉奈に場所を聞いて駆け付けた葵と向き合う柊の目は完全にイっていた。柊のこんな顔は見たくなかった。
「男虎丈一郎さんを殺してない」と言った葵の言葉も届かない。そんな柊の体に、レーザーサイトが当たる。
放たれた弾丸から、葵が身を挺して柊を守った。
詩織が何をしたいのか分からない。なぜ今、このタイミングで柊を殺そうとするのか。
そして、詩織の前に現れたのは、少なくとも筆者が誰よりも見たかった人物。そう、男虎丈一郎、その人だった。もう、完全にヒーローの登場だった。
気になるのは、今後の風岡(中尾明慶)の動向だ。もともと週刊誌の編集部にいたという彼。週刊誌…もしかして武尊の同僚だったのではないか。千景のことも何か知っているかも。葵が武尊から預かっているという万年筆、風岡が持っている可能性もありそうだ。「僕は人生懸けて鳴宮美月の担当編集をしているつもりです!」と言った風岡の必死さが忘れられない。
ここからきっと、本当の復讐が始まるのだろう。それが1人でも多くの人を“不幸にしない”道であることを願う。
「ボクの殺意が恋をした」ストーリー
柊(中川大志)に撃たれそうになった葵(新木優子)は、流星(鈴木伸之)に助けられた。
彼女は、流星を千景(田中みな実)のもとへ連れて行く。
一方の柊は、詩織(水野美紀)から、本物の鳴宮美月の正体を聞かされる。
葵は、兄の武尊(小池徹平)をSOSに殺害され、復讐のために丈一郎(藤木直人)を狙っていたというのだ。葵は、彼女自身の意志でこの計画に加わり、丈一郎を殺していた。
詩織の話を聞いて、ますます混乱する柊。詩織は柊には葵を殺せないと見限り、新しい殺し屋を派遣すると告げる。柊は、今度こそ葵を殺さなければならないと思い詰める。
葵は、京子(榊原郁恵)の手術が明日に迫り、不安な思いを抱えていた。流星は千景に頼まれて、葵に寄り添う。
千景は美月の仕事部屋で、復讐計画のカギとなる、ある物を探していた。すると、風岡(中尾明慶)が部屋に入ってくる。彼は、千景が美月の秘密を知っていると感づいていた。そして、何を隠しているのかと千景に迫る。
一方、莉奈(松本穂香)は、丈一郎が莉奈を柊の許嫁にした理由を柊に語る。そんな中、柊と莉奈の前に、流星が現れる。流星は、自分が葵を守ると宣言。葵を殺す意志は変わらないのかと問われた柊は、葵を許せないと言い切る。
その会話を、流星が仕込んだマイクを通じて聞いていた葵。柊の自分に対しての残酷なまでの殺意を聞いた葵は――!?
(文・あまのさき)
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