2021年12月22日

東京発!光のエンターテインメント「TOKYO LIGHTS」 最高のチームが、最高のパフオーマンスで魅せた4日間!

東京発!光のエンターテインメント「TOKYO LIGHTS」 最高のチームが、最高のパフオーマンスで魅せた4日間!



2021年12月9日から4日間に渡り、明治神宮外苑で開催された「TOKYO LIGHTS 」が盛況のうちに閉幕した。

今回のイベントでもっとも注目されていた「REFLECTION いのりのひかり」では、最先端XR(クロスリアリティ)技術を活用し、いままでにない新しいエンターテイメントで観客を魅了。

今回は、東京2020パラリンピック大会・閉会式を盛り上げてくれたメンバーでもある舞台演出の潤間大仁、コスチュームデザイナーの齋藤ヒロスミ、テキスタイルアーティストのHANYU NATSUKI、振付師のNORI、ダンサー(N'ism)のhanabi、YU-RI、SAYAに独占インタビュー。ショーに関わった方々に貴重なお話を伺うことができた。
 

コンセプトは「光の旅」への誘い


 
――まずは演出家の潤間さんにお伺いいたします。先日、幕を閉じた「TOKYO LIGHTS」とはどんなイベントだったのでしょうか。

潤間大仁(以下、潤間):光の祭典「TOKYO LIGHTS」では、常に光の中で時間を過ごすことができる非日常的な体験ができるように構成されていました。

光のレーザートンネルの「MIRAI SANDO」は、いわゆる神社の「参道」をイメージしました。その不思議な光のトンネルをくぐり、没入型のショー「REFLECTION」を体験した先には光のモニュメント「TOKYO LIGHTS」がイベントのシンボルとして来場者を待っていました。私たち日本人は、神社に行けば絵馬に自分のお願いを書きますが、ここでは自分だけの幸せを祈るわけではなく、自分以外の誰かの幸せを願いましょうという「祈り」コンセプトとのもと、世界中からのメッセージを集めて飾っていました。

「MIRAI SANDO」、「REFLECTION」、イベントシンボルでもある光のモニュメント「TOKYO LIGHTS」という異空間のなかで来場者が「光の旅」を一体化できるようなイベントになっていました。



 ――「REFLECTION いのりのひかり」を観させていただき、まさにその空間にすっぽりと自分が没入し、神秘的で非日常的なアートともいえる美しい世界を体験することができました。今回のショーはどんな思いで演出されたのでしょうか。

潤間:今回ショーのモチーフは、日本の伝統芸能の一つでもある「獅子舞」です。この獅子舞の発祥も諸説ありますが、日本だけではなくアジア全域で無病息災、自然の恵みへの感謝、豊穣への祈りなどの思いがあり、現代まで続いてきた伝統のある儀式です。このセレモニーを現代版にアップデートしようということがコンセプトにありました。

こだわりはダンサーと獅子舞の一体化



――今回のショーのコスチュームデザインを手掛けられた齋藤ヒロスミさんにもお伺いいたします。衣装はどんなところにこだわったのでしょうか。

齋藤ヒロスミ(以下、齋藤):演出家の潤間さんから獅子舞を使ったパフォーマンスのショーをやるとのお話がありました。そこで、東京パラリンピックの閉会式でご一緒させていただいた、テキスタイルアーティストの羽生菜月さんの作品が今回の獅子舞を使ったショーとマッチングするなと思い、ステージ用に対応できるようにアップデートさせていただきました。

現代的にアレンジされた獅子舞と、ダンサーさんをどうやって一体化させようかと考えたときに、人と獣の中間地点を感じさせる巫女のような女性を表現できたらなと思いました。動いたときの躍動感があり極力、人間の要素をなくした雰囲気、そして、若干ファンタジー要素も意識しました。



――今回の衣装が神々しくそして、不思議な雰囲気をまとった衣装だと感じましたがそういうことだったのですね。テキスタイルアーティストのHANYU NATSUKIさんはどんなことを意識されたのでしょうか。

HANYU NATSUKI(以下、HANYU):私はテキスタイルというのは、体の動きを美しく見せることができ、体の動きもテキスタイルをより面白く見せることができるんだ、という思いを根底に持ちながら制作をしています。

今回はこの難しい状況の中でも前を向き、力強い生命力をテキスタイルで表現しようと意識しました。これまで多くのダンサーさんたちとコラボもしてきましたが、アクロバティックな動きをされるダンサーさんたちの作品を制作するのは初めてだったので、(齋藤)ヒロスミさんにアドバスをいただきました。

舞台から発せられるエネルギーのようなものを会場にいるお客様だけではなく、国境を越えて世界に届いてくれるといいなと思い制作しました。



――制作はどれくらいかかったのでしょうか?

齋藤:もともと羽生さんの作品はもう少し大きいものが多いのですが、今回はアクロバティックな動きが多いと聞いていたので、いつもの羽生さんの作品よりは少しコンパクトなサイズに仕上げました。時間がない中ではあったのですが、テーマとマッチングさせることも意識し、その都度相談をしながら制作をしました。

HANYU:ダンサーさんが最初に被っている仮面も一から制作したのですが、早く作らないと彼女たちの練習にも影響が出てくるので必死に作りました。色も衣装にあえてリンクさせず、神秘的なものになるように考えました。



――ダンサーさんのメイクも特徴的ですが、ここにもこだわりがあるのでしょうか?

NORI:そうですね、羽生さんに相談をさせていただきました。衣装と仮面、そして全体の世界観を崩さないように血管を意識した赤い線を入れることは決めていました。

プロフェッショナル同士だから実現できた舞台



――NORIさんが率いる、ダンサーのhanabiさん、YU-RIさん、SAYAさんにも伺います。「TOKYO LIGHTS」に参加してみていかがでしたか?

hanabi:こんな大きな野外イベントでしかも、レーザーを使った最先端技術のなかで踊ることは初めてでした。もちろん、獅子舞とコラボをすることも初めてでしたが、潤間さんをはじめ、制作陣の伝えたいテーマを理解し、私たちは体を使って表現するというに徹底しました。パフォーマンス中もダンサーと獅子舞の心を一つにするために、練習時からコミュニケーションを意識していました。制作側の皆さんの思いも観ている人たちに伝わるといいなと思いながら踊りました。

 

――見ている側も躍動感を全身で感じられる非常にエネルギッシュなショーでした。まるで生きているかのような獅子舞と3名のダンサーさんが見事にコラボされ、感動しました。今回はかなり練習されたのではないでしょうか。

SAYA:練習期間は1か月くらいでした。でも私たちは、何年もNORIさんの元で一緒に踊ってきているので息はぴったりでした。
 
――どういうところが一番難しかったでしょうか。

YU-RI:普段、舞台の上で踊るときは前から照明が当たることが普通ですが、今回は後ろからレーザーの光を浴びて踊るという形だったので、視界がまったく違い、戸惑いました。
また、大きな獅子舞と一緒に踊ることも初めてだったので、私たちがどう立ち回ったら獅子舞との一体感を観客の皆さんに伝えることができるか、ということは考えました。



――今回、金銀2頭の現代獅子を務めたのは沖縄の現代芸能「獅子と仁人」さんですが、どのようにして練習を行っていたのですか?

hanabi:本番の1か月前にお会いして、その日に2時間くらいの追い込み練習をおこないました。そこでの課題をそれぞれが持ち帰り、ブラシュアップをするという形で積み上げていきました。本番3日前にまたお会いし、通しで練習をするというスケジュールでしたね。

潤間:かなり過酷だった思いますが、これは超プロフェッショナル同士だから実現したのだと思います。そして、彼女たちが獅子舞とのコミュニケーションを最大限に意識しているから、獅子舞が生きているかのように見えたと思います。ダンサーと獅子舞とが分離されたものではなく、舞台の上では一体感を意識してくれていたので、観ている側にもその思いは伝わったかと思いますね。



齋藤:私も観させてもらいましたが、異次元に迷い込んだかのような感覚でしたね。最近、エンターテイメントは元気がないと言われていますが、感動できる体験はエネルギーや希望になるので嬉しいです。

HANYU :私の作品は誰かに纏ってもらわないと成立しないので今回、本番でダンサーさんのパフォーマンスを観た時に、やはり感動しましたね。自分で作ったのに非常にインスピレーションを受けました。

***

最先端のファイバービームと、素晴らしいパフォーマーの融合―。
来年の冬も新たな仕掛けで冬の東京を彩り、私たちに感動を与えてくれるだろう。

(撮影=大塚秀美/取材・文=駒子)

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