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2022年01月22日

【イベントレポート】TVアニメ『風が強く吹いている』コンサート「仲間がいたから実現できた」

【イベントレポート】TVアニメ『風が強く吹いている』コンサート「仲間がいたから実現できた」


仲間がいたから実現できた、3年越しのTVアニメ『風が強く吹いている』とのコンサート

観客の拍手は鳴りやまない。その願いに林は、アンコールで応えてくれた。寛政大学のジャージを羽織り笑顔で再登場すると、「どうだ!見えたか、頂点は!」とずっと言いたかったというハイジのセリフを用いて、ファンに語り掛ける。



このコンサートで終始印象的だったのは、林から出る感謝の言葉だった。約3年の時を経て実現となった本コンサートの裏側には、関係各所の協力がある。たとえば動画配信。今回のコンサートはコロナ禍で参加したくても諦めざるをえなかったファンのために、林のたっての希望でYouTubeでの配信もなされた。この配信の裏にも非常に細かな調整があったそうだ。また同じステージに立つ寛政大学劇伴演奏部ことミュージシャンたちもまた、本当は必要ないにもかかわらず演奏を見たいからと指揮をするくらい、林にとって大きい存在だった。そして今回、このコンサートのためにアニメの映像を前日の夜というギリギリのタイミングまで編集してくれたProduction I.Gの協力と作品愛にも触れ、繰り返し感謝を述べていた。

この感謝の言葉の数々に、駅伝チームとしては無名もいいところな寛政大学を支えてくれた商店街の人々を思い浮かべたファンも多いのではないだろうか。

加えて林は新体操をしていた頃に「無理だ」と言われながらも音楽家の道を志した話を絡めながら、挑戦することの大切さについても語った。「やろう」と言ったからこそ、そこに集う仲間がいて実現にこぎ着けたわけだ。



この支えてくれる仲間の存在とコンサート実現までの過程はまるで、『風が強く吹いている』で描かれた物語のようだった。

そしてこのMCを具現化したのが、アンコールで演奏された『彼方へ』と『We Must Go』。林をはじめ寛政大学劇伴演奏部のミュージシャンたちは、仲間たちとつくりあげたものの先に見える、希望にあふれた世界をファンに魅せてくれた。

次なる葉菜ちゃんへ、タスキをつなぐ



「毎年の恒例行事にしたい」

3年の時を経て実現したTVアニメ『風が強く吹いている』コンサートへの熱い想いを林は口にした。この言葉に、ファンは拍手喝采。あまりにもうれしい夢の共有だった。

『風が強く吹いている』のアニメ14話で、11人目の仲間に襷が託されたシーンがある。アオタケの挑戦をずっとそばで応援し続けてきた商店街の八百屋「八百勝」の娘・葉菜ちゃんが、彼らを見ているだけでは嫌だと、寛政大学への進学を志したシーンだ。

すでに『風が強く吹いている』の魅力を体感しているファンは、葉菜ちゃんがアオタケから襷を託された状況だろう。そしてその襷は次の葉菜ちゃんに託すことで、林が言う『風が強く吹いている』コンサートの恒例行事化や作品に触れる機会へとつながっていくのではないだろうか。

林とアンコールで再び交わした「箱根の山はー?」「天下の険!」のコールアンドレスポンス。これをまたいつの日か、マスクをつけずに大きな声で交わせる日が来ることを心から願いながら作品の魅力も伝え続けていきたい。

TVアニメ『風が強く吹いている』は、U-NEXT、dアニメストア他で配信されている。日本で長年愛されている新年の風物詩「箱根駅伝」がエンタメとしてどう描かれるのか、音楽との融和性も一緒に楽しんでみてはいかがだろうか。

(撮影:野本佳子/文:クリス菜緒)

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©三浦しをん・新潮社/寛政大学陸上競技部後援会

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