『ナイル殺人事件』レビューのついでにアガサ映像作品リストも作ってみた


アガサ・クリスティーの主な映像化作品チェック



ここでアガサ・クリスティ―の小説を原作とする映画やドラマをざっとリストアップしてみました。

さすがに戦前から世界中で映像化され続けているアガサ・クリスティー・ワールドゆえに、とても完全版など作成するのは不可能に近いものがありますが、おおまかなものくらいはチェックできるかと思います。

(「●」は小説の邦題。「→」は映像化作品/長期にわたるTVシリーズは別記します)
 

●「秘密機関」


1922年発表。クリスティーの出版第2作目で、おしどり夫婦が活躍するスパイ&探偵「トミーとタペンス」シリーズの第1作。なおこの作品では結婚前のふたりが描かれています。

→『DIE ABENTEUER GMBH.』
28・独/日本劇場未公開/監督:フレッド・サウアー
アガサ・クリスティー原作、初の映画化は何とドイツでした。

→「秘密機関」
83・英TV/日本では「秘密組織」のタイトルで放送。
このときの主演ふたりで、その後「おしどり探偵」シリーズがスタートしました。

●「クィン氏登場」


1924年発表/クィン氏とは、職業も経歴も一切不明の謎めいた探偵ハーレ・クィンのこと。
1930年に刊行されたクリスティー3冊目の短編集「謎のクィン氏」内に収録されています。

→『THE PASSING OF MR.QUINN』
28・英/未公開/監督:ジュリアス・ヘイゲン/脚本:レスリー・S・ヒスコット

●「アクロイド殺し」


1926年発表。クリスティー6作目の長編で、ポアロ・シリーズ3作目。犯人像とそのトリックに関してフェアかアンフェアかで論争が起きた作品でもありますが、アガサ・ファン人気も高い作品。

→『ALIBI』
31・英・未公開/監督:レスリー・S・ヒスコット
正式にはクリスティの小説に基づくマイケル・モートンによる1928年の戯曲「ALIBI」から脚色された映画。

監督は『THE PASSING OF MR.QUINN』で脚本を担当していたレスリー・S・ヒスコットで、以後も彼はポアロ役のオースティン・トレヴァーとともにアガサ映画を連打していきます。

→「ポアロの犯した過ち(ロシア語表記)」
02・露・未公開

→「黒井戸殺し」
18・日TV/脚本:三谷幸喜/演出:城宝秀則
ミステリ・ファンの三谷幸喜がアガサ・ワールドを翻案したTVスペシャル第2弾。野村萬斎扮する名探偵ポアロならぬ勝呂武尊が再び登場!

●「ブラックコーヒー」


1930年に発表された、クリスティー自身が執筆した初の戯曲作品。1997年にはチャールズ・オズボーンがこれを小説化しています。

→『BLACK COFFEE』
31・英・未公開/監督:レスリー・S・ヒスコット/ポアロ役はオースティン・トレヴァー

→『LE COFFRET DE LAQUE』
32・仏・未公開/監督:ジャン・ケム/ポアロに相当する人物名はプレヴェで、ルネ・アレクサンドルが演じています。

→「BLACK COFFEE」
73・独TV・未放送

●エッジウエア卿の死


1933年に発表されたポアロ・シリーズ。「E男爵の死」「エッジウェア卿殺人事件」の邦題で出版されているものもあります。

→『LORD EDGWARE DIES』
34・英・未公開/監督:レスリー・・ヒスコット
『ALIBI』『BLACK COFFEE』そして本作の3本でポアロを演じたオースティン・トレヴァーは、1965年の『THE ALPHABET MURDERS』にも助演しています。

→「名探偵ポアロ/エッジウエア卿殺人事件」
85・英TV/監督:ルー・アントニオ/ピーター・ユスティノフが映画『ナイル殺人事件』『地中海殺人事件』に続いて、TVムービーでポアロを演じた第1弾。

なおジャップ警部に扮しているのは、後に「名探偵ポワロ」シリーズでポアロを演じることになるデヴィッド・スーシェ。
 

●「ナイチンゲール荘」


1933年に発行された「リスタデール卿の謎」内に収録された1924年発表の短編小説。「うぐいす荘」と表記されることもあります。

→『血に笑ふ男』
37・英/監督:ローランド・V・リー/正式には「ナイチンゲール荘」を原作とするフランク・ヴォスパーの戯曲「LOVE FROM A STRANGER」の映画化。

→『LOVE FROM A STRANGER』
47・米・未公開/監督:リチャード・ウォルフ/こちらも上記と同様に、戯曲の映画化。

●「そして誰もいなくなった」


アガサ・クリスティー・ワールドの代表作。小説は1939年に記され、1946年には彼女自身の脚本で戯曲化。その内容は結末などが異なります。

→『そして誰もいなくなった』
45・米/監督:ルネ・クレール
戯曲版に沿った内容で、ルネ・クレール監督は舞台劇風な演出を試みています。脚本は『駅馬車』の名手ダドリー・ニコルズ。日本では1976年8月7日に岩波ホールにて初公開。

→「TEN LITTLE NIGGERS」
49・英TV・未放送

→「TEN LITTLE NIGGERS」
59・英TV・未放送

→「TEN LITTLE INDIANS」
59・米TV・未放送

→『姿なき殺人者』
65・英/監督:ジョージ・ポロック
舞台をロープウェイでしか辿り着けない山小屋に設定。製作のハリー・アラン・タワーズは1974年版もプロデュース。

→『GUMNAAM』
65・印・未公開/監督:ラジャ・ナワセ

→「ZEHN KLEINE NEGERLEIN」
69・西独TV・未放送

→『そして誰もいなくなった』
74・西独&仏&西&英/監督:ピーター・コリンソン
舞台をイランの砂漠に設定。オリバー・リードやリチャード・アッテンボローなど、渋めながらも国際的オールスター・キャストの布陣。

→「ACHRA ABID ZGHAR」
74・レバノンTV・未公開

→『TEN LITTLE INDIANS』
81・比・未公開/監督:トニー・パスクア

→『DESYAT NEGRITYAT』
87・露・未公開/監督:スタニスラフ・ゴヴォルーキン

→『サファリ殺人事件』
89・米/監督:アラン・バーキンショー
クリスティー生誕100周年記念として、舞台をアフリカの村に設定して作られたキャノン・フィルムズ作品。74年版にも出ていたハーバート・ロムが別役で出演しています。

→『サボタージュ』
14・米/監督:デヴィッド・エアー/主演:アーノルド・シュワルツェネッガー
「そして誰もいなくなった」をベースにしたアクション映画というフレコミでしたが、内容も設定もほぼ別物で、クレジットもなし。ちょっとインスパイアされた、くらいに留めておいたほうが賢明でしょう。

→「ACHRA ABID ZGHAR」
14・レバノンTV

→「そして誰もいなくなった」
15・英TV/監督:クレイグ・ビベイロス/脚本:サラ・フェルプス
アガサ・クリスティ生誕125周年記念作品。全3話。サラ・フェルプスは本作以外にもクリスティ―原作ドラマの脚本を多数執筆しています。

→「そして誰もいなくなった」
17・日TV/監督:和泉聖治/脚本:長坂秀佳
人気刑事ドラマ「相棒」シリーズの生みの親・和泉聖治監督による翻案ドラマ第1弾。渡瀬恒彦の遺作ドラマにもなりました。

→「そして誰もいなくなった」
20・仏TV/監督:パスカル・ロジェ/全6話
 

●「オリエント急行の殺人」


1934年発表されたポアロ・シリーズ第8弾。「そして誰もいなくなった」同様、アガサ・クリスティーの代表作。日本では1935年に「十二の刺傷」のタイトルで初版されました。

→「HERCURE POIROT KLART DEN MORD IM ORIENT-EXPRESS AUF」
55・独TV/未・ドラマシリーズ「偉大なる探偵たち」の1編

→『オリエント急行殺人事件』
74・英/監督:シドニー・ルメット
アルバート・フィニーが本人とわからないほどのメイクでポアロを演じています。錚々たるオールスター・キャストの中で、イングリット・バーグマンがアカデミー賞助演女優賞を受賞。

もしアガサ映画の人気投票が行われたら、間違いなく本作が1位になることでしょう。アガサ自身、1976年に亡くなるまでの自作の映画化で評価したのは、本作と『情婦』のみだったとのことです。

→「オリエント急行殺人事件 死の片道切符」
01・TV/監督:カール・シェンケル
ポアロにはアルフレッド・モリーナが扮しています。

→「オリエント急行殺人事件」
15・日TV脚本:三谷幸喜/監督:河野圭太
ミステリ・ファンの三谷幸喜がアガサ・ワールドを翻案したTVスペシャル第1弾。野村萬斎扮する名探偵ポアロならぬ勝呂武尊を野村萬斎が独特の風貌で演じ、クリスティー財団に喜ばれたとか。

前後編仕立てで第1夜は原作通りに、第2夜は犯人側の視線で事件を描くという構成が採られていました。

→『オリエント急行殺人事件』
17・英/監督・主演:ケネス・ブラナー
久々に名探偵ポアロが銀幕に登場! シドニー・ルメット監督版とは異なるポアロ主体のアプローチを貫きながら、事件の全貌を描いていきます。
 

●「検察側の証人」


1925年に発表され、1933年に短編集「死の猟犬」内に収められた短編小説。後にクリスティー自身が戯曲化し、1953年に初演。小説とはラストが異なります。

→『情婦』
58・米/監督:ビリー・ワイルダー
戯曲寄りの作りで、名匠ワイルダー監督ならではの演出が光る名作。エルザ・マンチェスターがゴールデングローブ賞助演女優賞を受賞しましたが、チャールズ・ロートンやマレーネ・ディートリッヒらの個性も輝いています。タイロン・パワーの実質的な遺作にもなりました。

→「検察側の証人」
82・米TV/監督:アラン・ギブソン
ラルフ・リチャードソンを始め実力派キャストでおくるTVムービー。『情婦』のリメイク的側面もあります。

→「アガサ・クリスティー 検察側の証人」
16・英TV/脚本:サラ・フェルプス/前後編

●「蜘蛛の巣」


クリスティーの戯曲。コミカルな推理劇で1954年に初演され、上演回数774回のロングランになりました。

→『THE SPIDER'S WEB』
60・英・未公開/監督:ゴッドフリー・グレイソン

→「SPIDER'S WEB」
20・米TV・未放送/監督:カスティ・パトリック・ウォード/主演:デレク・ジャコビ
 

●「ミスタ・ダヴンハイム氏の失踪」


1923年発表の短編小説。1924年発行の短編集「ポアロ登場」内に収められています。

→「THE DISAPPEARANCE OF MR DAVENHEIM」
61・米TV・未放送/ポアロにはホセ・フェラー

→「THE DISAPPEARANCE OF MR DAVENHEIM」
62・米TV・未放送/ポアロにはマーティン・ガンベル

●「パディントン発4時50分」


ポアロと並ぶアガサ・ワールドの人気キャラクター、ミス・マープルが登場するシリーズの長編7作目。

→『ミス・マープル/夜行特急の殺人』
61・英・未公開/監督:ジョージ・ポロック 主演:マーガレット・ラザフォード
ミス・マープル・シリーズ初の映画化。

→『アガサ・クリスティー 奥さまは名探偵~パディントン発4時50分~』
08・仏/監督:パスカル・トマ
カトリーヌ・フロ主演のシリーズ第2作。前作は「トミーとタペンス」シリーズを原作にしていましたが、今回はミス・マープル・シリーズから採用。

→「嘘をつく死体」
06・日TV/岸惠子がミス・マープルにあたる馬淵淳子を演じた「ミス・マープル・シリーズ」第1弾。

→「パディントン発4時50分~寝台特急殺人事件~」
18・日TV/監督:和泉聖治/脚本:竹山洋/人気刑事ドラマ「相棒」シリーズの生みの親・和泉聖治監督による翻案ドラマ第2弾。ヒロインには天海祐希が扮し、この翻案シリーズのためのオリジナルキャラクターともいえる、沢村一樹扮する相国時竜也もノンクレジットで特別出演。

●「葬儀を終えて」


1953年発表。ポアロ・シリーズ長篇第25作で、日本でのアガサ・ファン人気が高い1作。

→『ミス・マープル/寄宿舎の殺人』
63・英・未公開/監督:ジョージ・ポロック/主演:マーガレット・ラザフォード
原作の探偵はポアロなのを、ミス・マープルに改変。

●「マギンティ夫人は死んだ」


1952年発表のポアロ・シリーズ長篇第24作目。

→『ミス・マープル/最も卑劣な殺人』
64・英・未公開/監督:ジョージ・ポロック/主演:マーガレット・ラザフォード
原作の探偵はポアロなのを、ミス・マーブルに変更。

●原作なし!?


→『ミス・マープル/船上の殺人』
64・英・未公開/監督:ジョージ・ポロック/主演・マーガレット・ラスフォード
クリスティの原作がないオリジナル・ストーリー。マーガレット・ラザフォード主演のミス・マープル映画シリーズは「脚色は自由」という契約にされてはいたものの、ここまでされるとさすがにクリスティーも激怒し、契約打ち切りに至ったとのことです。

●「ABC殺人事件」


1935年に発表されたポアロ・シリーズ長篇第11作。ファン投票で常に上位に入る人気作です。

→『THE ALPHABET MURDERS』
65・英・未公開/監督:フランク・タシュリン/ポアロ役はトニー・ランドール

→「名探偵赤富士鷹/ABC殺人事件」
05・日TV/演出:吉川邦夫/ポアロ=赤富士鷹に伊東四朗

→『GRANDMASTER』
12・印・未公開/監督:B・アニクリシュナン

→「ABC殺人事件」
18・/脚本:サラ・フェルプス/全3話/ポアロにジョン・マルコヴィッチ
 

●「終りなき夜に生れつく」


1967年に発表。アガサの孫マシュー・プリチャードの父方の祖母ノラ・プリチャードに捧げられた作品でもあります。

→『ENDLESS NIGHT』
72・英・未公開/監督:シドニー・ギリア

●「招かれざる客」


1958年に発表された戯曲。

→『DHUND』
73・印・未公開/監督:B.R.チョプラ

→「霧降山荘殺人事件」
80・日TV/監督:荻野慶人/栗原小巻、林隆三、高峰三枝子らが出演した翻案TVムービー

→傑作ミステリ―選集Ⅰ「アガサ・クリスティーの『招かれざる客』」「エラリー・クィーンの『三人の未亡人』」
93・日TV/監督:小田切正明
2大ミステリ作家の名作2作をオムニバスでドラマ化。「招かれざる客」の主演は松坂慶子。

→「招かれざる客 富士山麓連続殺人事件」
01・日TV/脚本:橋本以蔵/浅野ゆう子、野際陽子、三田村邦彦らの出演。

●「ナイルに死す」


1937年に発表された代表作の1本。1948年にはアガサ自ら戯曲化もしていますが、そこにはポアロは登場しません。

→『ナイル殺人事件』
78・英/監督:ジョン・ギラーミン
1974年の『オリエント急行殺人事件』に続き、英EMIが放ったオールスター大作。この作品でピーター・ユスティノフのポアロが当たり役となり、以後幾度も彼を演じることに。乗客一人一人に犯行の可能性があったことを画で説明する演出は、この作品が走りと思われます。

日本での初公開時は、エンドタイトル曲を本来のニーノ・ロータの楽曲とは違うサンディー・オニールの歌「ミステリー・ナイル」に差し替えられていたことが後年明るみになり、ファンは騒然となりました。

→『ナイル殺人事件』
20・英/監督:ケネス・ブラナー/ブラナー監督&主演による名探偵ポアロ・シリーズ第2弾

●「ホロー荘の殺人」


1946年に発表したポアロ・シリーズ。アガサは後年、この作品にポアロを登場させたことは失敗だったと述懐。それを裏付けるかのように1951年に戯曲化した際、ポアロを登場させませんでした。

→「LA TANA」
80・伊・未放送/監督:ラッフェーレ・メローニ

→『危険な女たち』
85・日/監督:野村芳太郎
ポアロに相当する人物を演じているのは、市川崑監督版の金田一耕助でもおなじみの石坂浩二。野村監督はエラリー・クィーン「災厄の町」を翻案した『配達されない三通の手紙』も発表しています。そして本作が野村監督の遺作になりました。

→『華麗なるアリバイ』
07・仏/監督:パスカル・ボニゼール
舞台をフランスに変更し、ポアロ的な存在も登場しません。

→「THE HOLLOW」
20・米TV・未放送/監督:チェルシー・ウォーカー/出演:ローラ・ハドック、サイモン・キャロ

●「鏡は横にひび割れて」


1962年に発表された「ミス・マーブル」シリーズの長編第8作。

→『クリスタル殺人事件』
80・英/監督:ガイ・ハミルトン
EMIによるアガサ・クリステイー原作映画第3弾。ミス・マープルには78年版『ナイル殺人事件』にも出演したアンジェラ・ランズベリーが扮しました。エリザベス・テイラーとキム・ノヴァクが繰り広げる大女優同士の悪口雑言シーンも話題になりました。

→『SHUBHO MAHURAT』
03・印・未公開/監督:リツパーノ・ゴーシュ

→「大女優殺人事件」
07・日TV/岸惠子がミス・マープル=馬淵淳子を演じた「ミス・マープル」シリーズ第2弾

→「大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて~」
18・日TV/監督:和泉聖治/脚本:長坂秀佳
和泉誠治監督の翻案シリーズ第3弾。ミス・マープルに相当する女性キャラは登場せず、代わって沢村一樹扮するシリーズの主人公・相国時竜也が事件に挑みました。

●「ゼロ時間へ」


1944年発表。アガサが創造したキャラクターの中でも異彩を放つ、ロンドン警視庁のバトル警視が登場。

→「VERSO I'ORA ZERO」
80・伊TV・未放送/監督:ステファノ・ロンコローニ

→『ゼロ時間の謎』
07・仏/監督:パスカル・トマ
『奥様は名探偵』に続いて、トマ監督がクリスティー原作に挑戦。フランソワ・モレルがバトルならぬバタイユ警視に扮しています。
 

●「なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか?」


1934年に発表。

→「なぜエヴァンスに頼まなかったか」
80年・英TV/監督:ジョン・デイヴィス&トニー・ホーンビイ/フランチェスカ・アニス主演

●「7つの時計」


1929年に発表。1925年「チムニーズ館の秘密」に続くバトル警視シリーズ第2作。

→「7つのダイヤル」
81・英TV/監督:トニー・ホーンビイ/シェリル・キャンベル主演
 

●「白昼の悪魔」


1941年に発表したポアロ・シリーズ長編第20作。

→『地中海殺人事件』
82・英/監督:ガイ・ハミルトン
ピーター・ユスティノフが再びポアロに扮したEMIのアガサ・シリーズ第4弾で、舞台をアドリア海のリゾート地に変えたり、キャラクター設定にも変更あり。コール・ポーターの楽曲が効果的に劇中用いられていて、全体的に軽やかな仕上がりです。

●「カリブ海の秘密」


1964年に発表。「ミス・マープル」シリーズの第9作。

→「ミス・マープル/カリブ海の秘密」
(83・米TV/監督:ロバート・マイケル・ルイス
ヘレン・ヘイズがミス・マープルを演じたTVムービー。日本では「アガサ・クリスティー/カリブ海殺人事件」のタイトルでTV放送されました。
 

●「ポケットにライ麦を」


1953年に発表された「ミス・マープル」シリーズ長篇第6作。

→『TAYNA CHYORNYKH DROZDOV』
83・露・未公開/監督ヴァジム・デルベニョフ

●「殺人は容易だ」


1939年に発表。終盤でバトル警視が登場。

→「アガサ・クリスティ/ロンドン殺人事件」
82・TV/監督:クロード・ホワッタム
レスリー・アン・ダウン、ヘレン・ヘイズなどが出演。時代を現代に移し、コンピュータなども登場するも、原作の内容に忠実な作り。「殺人は容易だ」の邦題でビデオ発売。
 

●「無実はさいなむ」


1958年に発表・「ねじれた家」とともに、アガサが自作で最も愛したとされる作品。

→『ドーバー海峡殺人事件』
84・英/監督:デズモンド・デイヴィス
1980年代のアメリカ映画界を席巻したキャノンフィルムズがアガサ・ワールドに参入してのオールスター大作。

→「アガサ・クリスティー 無実はさいなむ」
18・英TV/監督:サンドラ・ゴールドハッカー
日本ではAXNミステリーで放送。ビル・ナイ、アンナ・チャンセラーなどが出演。
 

●「魔術の殺人」


1952年に発表。「ミス・マープル」シリーズ長篇5作。

→「ミス・マープル/魔術の殺人」
85・米TV/監督:ディック・ローリー
ヘレン・ヘイズが再びミス・マープルを演じたTVムービー。日本では「アガサ・クリスティー/魔術の殺人」としてTV放送されました。

●「死者のあやまち」


元々は1955年に執筆しながらも未発表に終わった中編小説を長篇に直して、1956年に発表したもの。ポアロ・シリーズ長篇第27作。

→「名探偵ポアロ/死者のあやまち」
86・英TV/監督:クライヴ・ドナー/TVムービー・シリーズでピーター・ユスティノフがポアロに扮した第2弾。

 

●「三幕の殺人」


1934年に発表。イギリスとアメリカの版で内容に違いがあります。

→「名探偵ポアロ/三幕の殺人」
86・英TV/監督:ゲイリー・ネルソン
TVムービー・シリーズでピーター・ユスティノフがポワロを演じた第3弾にして最終作。
 

●「死との約束」


1938年に発表。ポアロ・シリーズ長篇第16作にして、「メソポタミヤの殺人」「ナイルに死す」に続く中近東シリーズの第3作。

→『死海殺人事件』
88・米/監督:マイケル・ウィナー
ピーター・ユスティノフがポワロを演じた最後の作品。彼は映画3本TV3本と稀代の名探偵を演じ切りました。なお本作は英EMIではなく米キャノンフィルム製作のオールスター作品です。

→「死との約束」
21/日TV/脚本:三谷幸喜/演出:城宝秀則
ミステリ・ファンの三谷幸喜がアガサ・ワールドを翻案したTVスペシャル第3弾。野村萬斎扮する名探偵ポアロ=勝呂武尊も、すっかり板についてきました。なお三谷幸喜は、アガサ小説の中でこの原作が一番好きとのことです。
 

●「茶色の服の男」


1924年に発表。ポアロの知人でもある英国特務機関員レイス大佐が初登場した作品でもあります。

→「アガサ・クリスティー/殺しのブラウンスーツ」
88・米TV/監督:アラン・グリント
日本ではビデオ発売作品ですが、「茶色の服の男」のタイトルでテレビ放送もされました。

●「邪悪の家」

1932年に発表。ポアロ・シリーズ第6作。

→「ZAGADKA ENDHAUZA」
89・露・未公開/監督:ヴァデイム・デベニョフ/ポアロにアナトリー・ラヴィコヴィッチ

●「ねずみとり」


クリスティーンが1947年にBBCラジオドラマのために執筆した「三匹の盲目のねずみ」を1950年に自ら短編小説化し、さらに1951年にそれを戯曲化し「ねずみとり」と改題したもの。

1952年に初演され、2000年までの上演回数は2000回を越えます。2020年のコロナ禍で中断を余儀なくされるまで、世界で最も長い連続上演をし続けている演劇。日本では「マウストラップ」の題で上演されることも。

→『MYSHELOVKA』
90・露・未公開/監督:サムソン・サムソノフ

→『THE MOUSETRAP』
21・米・未公開/監督:ジョセフ・ハミク/出演:アッシュ・イートン

●「ゴルフ場殺人事件」


1923年に発表。ポアロ・シリーズの長編第2作。

→「名探偵赤富士鷹/愛しのサンドリヨン」
05・日TV/演出:渡辺一貴/ポアロ=赤富士鷹に伊東四朗

●「親指のうずき」


1968年に発表。「トミーとパテンス」シリーズの長編第3作で、老境にさしかかった夫婦の活躍が描かれます。

→『アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵』
05・仏/監督:パスカル・トマ
現代フランスを舞台に翻案。“フランスのパテンス”ともいえるカトリーヌ・フロの好演が話題になりました。
 

●「婦人失踪事件(おしどり探偵)」&「復讐の女神」


前者は1929年に発行された「おしどり探偵」に収録の短編、後者は1971年に発表された長篇です。

→『ASSOCIES CONTRE LE CRIME』
12・仏・未公開/監督:パスカル・トマ
トマ監督&カトリーヌ・フロ&アンドレ・デュソリエの名トリオによる『奥さまは名探偵』シリーズ第3弾。今回は「トミーとタペンス」シリーズの短編に「復讐の女神」を組み合わせての映画化。日本未公開が惜しまれます。
 

●「ひらいたトランプ」


1936年に発表。ポアロだけでなくバトル警視やアリアドニ・オリヴァ夫人、レイス大佐と、アガサ・ワールドのキャラクターが多数登場。

→『CHORABALL』
16・印・未公開/監督:サブラジ・ミラ
 

●「ねじれた家」


1949年に発表。アガサが「無実はさいなむ」とともに自作で最も満足していると語った作品。

→『アガサ・クリスティー ねじれた家』
17・英/監督:ジル・パケ=プランネール/登場人物の設定が原作から一部変更。

●「予告殺人」


1950年に発表されたマープル・シリーズ長篇4作目。シリーズの中でも屈指の傑作と名高い作品です。

→「予告殺人」
(19・日TV/監督:和泉聖治/脚本:長坂秀佳
「相棒」シリーズの和泉監督による翻案ドラマ・シリーズ第4弾。今回もミス・マープルに相当する女性ではなく、沢村一樹扮するシリーズ・オリジナルの主人公・相国時竜也が事件に挑みました。

●「蒼ざめた馬」


1961年に発表。ポアロの知人でもある推理作家アリアドニ・オリヴァ夫人が登場します。

→「アガサ・クリスティー 蒼ざめた馬」
20・TV/脚本:サラ・フェルプス/監督:レオノラ・ロンズデール
設定やキャラクター設定などに大幅な変更が施されています。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

© 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

RANKING

SPONSORD

PICK UP!