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『光を追いかけて』レビュー:ミステリーサークルが導く少年少女たちの思春期の邂逅



■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

少子高齢化などに伴う地方過疎の問題は、今や日本全国共通のものと化して久しいものがありますが、本作は秋田県の架空の町を舞台に、そんな状況下で思春期を過ごす少年少女たちの忸怩たる想いが巧みに、そして潤い豊かに綴られていきます。

まもなく閉校となる中学に、東京から転校してきた主人公・彰(中川翼)と、登校拒否し続けている少女・真希(長澤樹)。



ふたりの孤独と違和感、そして焦燥は、突然田んぼの中に出現したミステリーサークルによって邂逅します。



秋田県井川町の田んぼに緑の光とミステリーサークルが現われたという1991年の怪事件をモチーフにしたファンタジックな設定ではありますが、あくまでもメインは思春期の悩みを抱える者同士の不可思議な交流であり、それこそが繊細でリアルに映画の中で映えわたっていきます。



こうしたリアルは、過疎だろうが閉校間際であろうが教室内でのクラス・カーストみたいなものが当たり前のように発生している現実とも対峙しており、そこに甘んじる者もいれば、反発する者もいれば……。

忸怩たる状況は大人たちも同様で、特に担任教師(生駒里奈)や彰の父(駿河太郎)といった東京からの帰省組ならではの地元に対する違和感と、それを肌で察知する地元の人々との些細な確執なども、さりげなくもきちんと描出されています。



担任教師に関しては、その自信なさげな風情を生徒たちに見抜かれては“それなり”の対応を受けてしまっているあたり、大人と子どもの断絶の縮図まで象徴されているみたいです。

もっとも、そんな双方の関係性を大らかに緩和させていく役割として真希の伯父(柳葉敏郎)の存在があり、クライマックスではクラス内でのもろもろの確執がいかなる決着を示すのか?が大きなポイントとなっていきます。



中川翼&長澤樹をはじめとする中学生役ひとりひとりの存在感がきちんと醸し出され、また生駒里奈、柳葉敏郎といった秋田県出身俳優たちの、それぞれの「大人」の演技が好印象(駿河太郎は兵庫県出身ですが、やはり良い味出してます)。

監督の成田洋一も1960年の秋田県生まれで、これまでCMディレクターとして600本もの作品を手掛けてきた映像界ではベテラン的ながらも、映画デビュー作となる本作においてはまさに「新人」監督の名にふさわしい初々しさと瑞々しさが自然に発露されているのが驚くほどでした。

撮影のJam Eh Iが捉えた風景の美しさも、UFOが現れようが現れまいが映画そのものをファンタスティックに映えわたらせてくれています。



(文:増當竜也)

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