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2022年04月21日

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」第2話レビュー:今田美桜×石田ひかり、新旧“マリリン”が立ち向かう男性優位社会(※ストーリーネタバレあり)

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」第2話レビュー:今田美桜×石田ひかり、新旧“マリリン”が立ち向かう男性優位社会(※ストーリーネタバレあり)


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深見じゅん原作の人気コミック「悪女(わる)」が、30年の時を経て再びドラマ化。
今作がドラマ初主演となる今田美桜が三流の大学を四流の成績で卒業した、ポンコツだけどポジティブな新入社員・田中麻理鈴を演じる。共演に江口のりこほか。

本記事では、第2話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

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「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」第2話レビュー

「バリキャリ」と聞いて、どんな女性を想像する?

恋愛や結婚には興味がない仕事に生きる女?
周りを蹴落としてでも会社でのし上がっていこうとするしたたかな女?
自分にも他人にも厳しくて絶対に涙を見せない女?
……おそらく、キリッとした強そうな女性を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。

ドラマや映画で描かれてきたキャリアウーマンがそういう女性として描かれてきたというのもあるが、何より"強くあらねば”男性優位社会で生き残っていけなかったからだ。「悪女(わる)」第2話でフューチャーされた、人事部課長の夏目聡子(石田ひかり)もそう。

新たに人事部に配属となり、持ち前の明るさとやる気で、みんなから“女王蜂”として恐れられている夏目課長の懐にもスッと入り込んだ麻理鈴(今田美桜)。ひょんなことから会社の男性役員たちと一緒に飲むことになった麻理鈴は、そこで夏目が若い頃は飲みの場で誰よりも気を利かせ、翌朝も誰より早く出社し、いつも綺麗な格好でバリバリ働いていたことを知る。

「女が男と肩を並べるにはね。2倍頑張らなきゃいけないの」

それなのに「オウミ初の女性役員は夏目さんかな?」と会社は期待ばかりさせて、結局は課長止まり。ダイバーシティを謳っていながら、男性役員はサラッと「女性がいると場が華やかになる」と役割を押し付けてきたり、少しでも女性同士がぶつかり合うと、「女の敵は女」「女の修羅場(笑)」と勝手に盛り上がったりする。

そんな中で夏目は自分が先頭に立ち、女性も活躍できる職場に変えていこうとしてきたのだ。しかし、それが仇となって周りから“女王蜂症候群”なんて言われてしまう。

女王蜂症候群とは、男性優位社会で成功した女性が、女性の部下の活躍をよく思わず、必要以上に厳しくしてキャリアを妨害することらしい。男性同士の潰し合い、蹴落とし合いなんていくらでもあるのに、女性というだけでその現象に名前までつけられるなんて納得がいかない。

一方で、夏目は女性の活躍の場を積極的に作ろうとはしてきたが、結婚して会社を辞める部下に「今ドキ寿退社?」と嫌味を言ったり、昔対立して袂を分かった峰岸(江口のりこ)に可愛がっていた麻理鈴が自分より懐いているからといって、大事な書類を隠して懲らしめようとしたり、単純に良い上司とは言えないところもある。

職場で泣く女なんか嫌いと言う夏目。そこには、「自分はこんなに頑張ったのに」という自負があるからだろう。でも嫌がらせした自分を100%信じ、「夏目課長が好きなんです」と子どものように泣きじゃくる麻理鈴の姿を見て、初めて夏目は会社で涙を流す。

女の敵は女なんかじゃない。本当の敵は、古い価値観や偏見と戦い、不妊治療・妊娠・出産・育児・介護、その他諸々の事情がある中で仕事との両立を目指す女性たちを側から見て笑ったり、茶化したり、妨害しようとしてくる存在だ。

リストラ候補に挙がっていたカスタマーセンターの三瓶(渡辺江里子/阿佐ヶ谷姉妹)が一見頼りなくも、実は精神的なサポートで派遣社員から慕われる存在だったように、みんなの上に立つ上司は強くて厳しい人ばかりじゃなくていい。

「夏目課長も、三瓶リーダーも、田中の憧れです!」

色んなタイプのキャリアウーマンが伸び伸び活躍できて、正当に評価される日がきたらいい。夏目が「将来的になくなった方がいい」と言いながら女性社員にスポットを当てた“ウーマンビジネス賞”を新設したように、まだまだ一人ひとりが意識を変えていく必要があるのだ。

1992年の「悪女(わる)」で石田ひかりが麻理鈴を演じてから30年。もしも今から30年後に本作が再ドラマ化されて、今度は今田美桜が夏目を演じたとしたらどんな役になるのだろう。その頃にはわざわざ“女性”役員とか、“女性だから”とか言われない時代になっていたらいいなと願わずにはいられない。

(文:苫とり子)

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