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2022年05月05日

<解説&考察>「ムーンナイト」第6話:“マルチバース”がもたらした予想外の結末

<解説&考察>「ムーンナイト」第6話:“マルチバース”がもたらした予想外の結末

ついに明かされた第3の人格



エンドクレジット後の映像では、過去のエピソードでも伏線が張られていた別人格の存在が明らかになった。

“ジェイク・ロックリー”と名乗る彼は、マークやスティーヴンに続く第3の人格であり、過去のエピソードでも残虐性が示唆されていた人物であると考えられる。

例えば、第3話では彼による敵集団の虐殺が示唆されていたほか、第4話のクライマックスにおける冥界での場面でも赤い棺桶として彼の存在が匂わされていた。

また精神科医・アーサーのカウンセリング場面でも、主人公の残虐性が時折描かれており、今回のエンドクレジット直前で声を荒げた人格も彼と言えるだろう。

ちなみに原作では、タクシー運転手で裏社会に通じている危険な人物という設定である。エンドクレジット後の映像で描かれた展開には、果たして、続きがあるのだろうか……。

MCU版日本式特撮



最終回では、日本で作られた特撮作品の数々を彷彿とさせる衝撃展開が繰り広げられた。(製作陣が意図していたかはさておき)

巨大化した獣・アメミットの姿は『ゴジラ』、それに立ち向かう二足歩行の邪神・コンスはもはや「ウルトラマン」。

ごく普通の主人公が、超自然的な能力を手に入れたことでヒーローへと変身する展開は「仮面ライダー」、ビジュアルや「月」というキーワードが「月光仮面」にも通ずる本作だったが、まさかここまで日本の特撮を想起させる展開になるとは誰が予想しただろうか。



ヒロインがヒーローに変身するという展開は近年のマーベル映画の傾向とも言えるが、「仮面ライダー」シリーズの女性ヒーローも頭をよぎってしまうところ。

「仮面ライダーストロンガー」の電波人間タックルに始まり、「仮面ライダー龍騎」の仮面ライダーファム、「仮面ライダーリバイス」の仮面ライダージャンヌなど、現在まで続く、日本式特撮作品の女性ヒーローにも通ずる魅力があるといえるのだ。

虚構によって浮かび上がる現実とのギャップ



死体を介した神からのお告げ、死者の復活、ヒーローに変身するヒロイン、キャラクターの巨大化。

最終回は、フィクションゆえに許されるファンタジックな要素が多く、人によってはやりすぎとさえ感じる過剰な展開がてんこ盛りだった。

一方でこのなんでもありな部分も、精神病患者・マークの作り出した世界と考えると納得できるのではないか。

第1話では博物館にやってきた少女が、あたかも第5話の展開を予想するような発言をしているほか、最終話のラストシーンでも、主人公が第1話と同じ様な状況で目覚める場面が繰り返されている。



また製作者の1人・グラント・カーティスは、過去のインタビューにおいて「最終話の最終フレームを見ると、本作がメンタルヘルスを正しく扱っていることが分かる」という旨の発言をしている。

このことからも、本作のラストシーンは「精神病患者が自身の作り出した妄想の世界で生き続ける」と考えるのが一般的といえるだろう。

しかしこのドラマは、そこで終わらないのが凄まじい点である。

ここからは、近年のマーベル作品(フェーズ4と言われている作品群)で描かれた「マルチバース」の概念から、本作が意図しているラストシーンの本当の意味を考察していく。

※以降は、マーベルの配信ドラマ「ロキ」や『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に関するネタバレが含まれています。未鑑賞の方はご注意ください。

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