2022年06月03日

“水谷マジック”で自分のイメージを覆す役に出会えた|映画『太陽とボレロ』石丸幹二インタビュー

“水谷マジック”で自分のイメージを覆す役に出会えた|映画『太陽とボレロ』石丸幹二インタビュー


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水谷豊が監督を務めた映画『太陽とボレロ』が6月3日に公開される。

新型コロナウイルスの影響で撮影が延期になるなど、大変な状況の中での撮影だったと聞く。しかし、水谷監督を中心に出演者、スタッフが一丸となりまた、ロケ地の長野県・松本市のみなさんの協力が作品を完成に導いた。

財政難に苦しむアマチュア楽団を巡って個性的な役者が魅力を発する本作品。水谷が監督を務める3作目の作品で、檀れいにとっては映画初主演の作品と、公開前から大きな話題となっている。

今回は檀が演じた楽団の主催者、花村理子を支える中古車販売店のオーナー、鶴間芳文を演じた石丸幹二にインタビュー。本作への想いなどを語ってもらった。

「音楽」や「自然」が持つ力にあらためて気付かされた作品


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――まずは完成された作品をご覧になってどんな印象を持たれましたか?


石丸幹二(以下、石丸):感慨深いものがありますね。この作品は音ではじまり、音で終わるのですが、あらためて音楽の持つ力は大きいのだなと感じました。水谷監督の、人間を生き生きと描く腕力、また、大自然を取り込んだ映像が随所にあるので、自然の持つ力も偉大だなということも同時に感じましたね。

――冒頭からラストのシーンまで、目にも耳にも優しくて温かい映画でした。

石丸:そうですね、水谷監督の心の中にある「人の輪」や「自然の温かさ」が映像に表れている作品です。 


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――今回の作品は水谷豊さんが監督ということですが、監督の印象をお聞かせください。

石丸:水谷監督とは、ドラマ「相棒」(テレビ朝日系)でご一緒させていただいたことがあります。そのときに、「撮影現場でなんて楽しく過ごしていらっしゃる方なんだろう」と、水谷さんの人柄に心を打たれました。周りにいる人たちをとても温かい気持ちにさせる、まるで太陽のような存在です。ドラマの撮影が終わったときに「またご一緒したいな」という思いがあったので、その気持ちをストレートにお伝えしたところ、このような形で実現したので嬉しく思います。


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――なるほど、そのような経緯があって今回の作品に出演が決まったのですね。

石丸:ある町の市民オーケストラのお話と聞けば、音楽好きとしては「やりたい」を通り越して、「やるべきだ」と感じましたね。オーケストラの一員として出演できればと思いましたが、私の役はオーケストラの皆さんを支える側の人間だということでした。これまで誰かを後ろから応援する役はやったことがなかったので、俳優として非常に魅力を感じました。

水谷監督と一緒に作っていった鶴間芳文を演じて



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――最初に脚本をご覧になったときに「二枚目役だと思った」とのことですが、どんな風にして鶴間芳文というキャラクターを作っていかれたのでしょうか。

石丸:鶴間という役は台本を読む限りは二枚目に思えました。しかし、監督のアドバイス通り演じていくと、どんどん役のイメージが変わっていきました。きっと監督は台本の文字からは読み取れないような部分をも見せたかったのでしょうね。水谷マジックがかかっていくうちに、鶴間は二枚目ではないんだなと感じました。2.5いや、なんなら三枚目なんですよ(笑)。でもそのほうが確かにチャーミングに見えるし、みんなを支える伸びしろのある人物になったのでよかったなと思います。

――たしかに石丸さんといえば、これまで二枚目できっちりしている役が多いように思います。今回の役は、これまでと違う石丸さんが見られた気がします。

石丸:今回はあえてこれまでのイメージを覆そうという気持ちにもなりました。


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――さきほど“水谷マジック”という言葉が出ましたが、監督は役者さんのいろんな面を引き出すのがお上手なのですね。

石丸:それは感じました。鶴間が檀さん演じる理子に向かって走っていくシーンがあったのですが、そこでも「ただ走るだけではなく、少しジャンプしながら走ってみて」と、その場で具体的なアイデアを出してくれるんです。

また、あるときは原田龍二さんのセリフの語尾を少し変えるように指示されたんですね。その途端に役のイメージがガラッと変わり、良い意味で「含み」のある役に変化しました。

檀さんにも彼女の魅力が最大限に引き出されるようなアドバイスをされていました。監督はとっさの判断で役者さんにマジックをかける……ということが本当にお上手でした。


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――作中、クスっと笑えるシーンも多く楽しませていただきました。個性的な役者さんも大勢出演されていますが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

石丸:オーケストラの役を演じていた皆さんは楽器の練習があるのでとても大変そうでしたが、ストーリーが進むにつれて笑えるシーンがたくさんあるので、朗らかで楽しい現場でしたね。ふとした会話の中にもリアリティーがあり、見ている方々にも「共感」を呼ぶようなシーンが散りばめられているので、音楽をやっていない方にも楽しめる作品になっています。

石丸流、チームワークの築き方とは?


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――作品の中で楽団メンバーが音楽を奏でるという目標に向かってチームワークを発揮していました。石丸さんも劇団四季に17年間在籍されていましたが、チームワークを築くにはどんなことが大切でしょうか。

石丸:チームで何かを成し遂げるときは必ずリーダーシップを取る人が必要だと思います。その上で、全員が同じ方向を向くような話し合いが必要ですし、お互いのパフォーマンスで影響し合うことも大事ですね。
劇団四季では言葉の大切さや、演じることの基礎の基礎を叩き込んでもらいました。仲間と言葉のバトンパスをしながら一緒にゴールに向かっていく。今でもその思いは忘れないようにしています。


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――過去のインタビューで幼い頃からレコードを聴くのが好きだったと話されていましたが、現在はどんな音楽をよく聴かれるのでしょうか。

石丸:そうですね、いろんなジャンルを聴きますが今回の作品『太陽とボレロ』の影響や「題名のない音楽会」(テレビ朝日系)で司会を務めていることから最近はクラシックをよく聴きます。若い頃に聴いていた名曲をあらためて聴き、「ああ、これはこういう意味だったのか」と発見をすることもあるので楽しいです。

――では、最後になります。これから作品をご覧になる方にメッセージをお願いします。

石丸:タイトルの通り、日が差し込んでくるようなとにかく温かい映画です。心にちょっと迷いがあるな、苦しいなと感じている方はぜひこの映画を見て、太陽を浴びてください。絶対に幸せな気持ちになりますよ。

(スタイリスト=土田拓郎<フリー>/ヘアメイク=中島 康平<UNVICIOUS>/撮影=渡会春加/取材・文=駒子)

<衣装:ジャケット64,900円、パンツ29,700円(ともにデザインワークス/デザインワークス 銀座店 Tel.03-3573-6210) 、その他スタイリスト私物>

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