<ホラー映画>『炎の少女チャーリー』ブラムハウス作品の“強さ”


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“ホラー映画”というものは、ジャンル自体にもファンが多く、おそらく年間を通して最も作られている映画のジャンルではないかと思います。

しかも、ベストセラー小説が原作だったり、(リブートを含む)続編やリメイクなどで映画の題材が浸透していたりする場合などは、より製作へのGOサインが出やすくなります。

6月17日(金)日本公開の『炎の少女チャーリー』もそんな1本です。

原作は映像化作品が50作以上もあるホラー小説の巨匠・スティーブン・キング。しかも、1984年に一度映画化されたリメイク作品でもあるという近年のホラー映画の典型例といった1本です。

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スティーブン・キング原作としての『炎の少女チャーリー』

『炎の少女チャーリー』(C)2022 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

『炎の少女チャーリー』
は1980年にスティーブン・キングによって発表された小説をもとにした作品で、1984年に子役時代のドリュー・バリモアの主演作品として一度映画化されました。

波瀾万丈な人生を送ってきたドリュー・バリモアですが、3代続く俳優一族の1人で、1982年・7歳の時にあの『ET』に出演して一気に人気子役となります。

そして初主演作品となったのが1984年版『炎の少女チャーリー』でした。

玉石混交のスティーブン・キング原作映画の中でも質が良いとされる1本で、今でも根強く支持されています。2002年にはあまり関連性のないテレビのミニシリーズ「炎の少女チャーリー:REBORN」も作られています。

ストーリーはパイロキネシス=自然発火の能力を持つ少女チャーリーが、成長するに従って能力が暴走していくようになっていき……というもの。


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1984年版はチャーリーが主役になっていましたが、今回のリメイク版はザック・エフロン演じる父親が主役に変わっています。「ハイスクール・ミュージカル」でアイドル的な人気を得たザック・エフロンも30代半ばとなって、近年は演じる役の幅を広げようとしているのか、様々なジャンルの作品に出演しています。

スティーブン・キングと超能力といえばお馴染みのテーマの1つで、デビュー小説の「キャリー」からして、思い切り超能力ホラーでした。

1974年のこの処女作は1976年に映画化されいきなり大ヒット、以降スティーブン・キングの原作の映画化・映像化が進むことになります。以降、スティーブン・キングは出す小説全てがベストセラーとなることから、書籍化前に映画化権が売れるとまで言われました。

それ以降も『シャイニング』とその続編の『ドクター・スリープ』、『デッドゾーン』など超能力を扱った作品が続いています。感動作品とされている『グリーンマイル』も同じカテゴリ1の一本です。

スティーブン・キング原作映画の凄いところは、出版される新作の映画化に加えて、近年では初期の映画化作品がリメイクされているところでしょう。もうすぐ作家デビューから50年となるキャリアを誇るとそういうことも起きるのかもしれません。

2013年に『キャリー』がリメイクされると、2017年からの二部作の形で『IT/イット』が、2019年には『ペット・セメタリー』がリメイクされています。『デッド・ゾーン』もドラマリメイクされました。今回の『炎の少女チャーリー』もそんな系譜の1本です。

この後も『クジョー』や(シュワちゃん主演)『バトルランナー(原題THE RUNNINGMAN』、『トミーノッカーズ』のリメイク企画が進行中です。

もちろん新作小説も発表し続けていて、こちらの映像化企画の話もあります。 

もともと映画大好きなスティーブン・キングは自分でプロデュースしたり、脚本を書いたり、監督をしたり、時には出演したりしているので、映画化・映像化はまだまだ続くでしょう。

ブラムハウス・プロダクション作品としての『炎の少女チャーリー』


『炎の少女チャーリー』(C)2022 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

『炎の少女チャーリー』はスティーブン・キング原作小説の映画化作品という一面と共に、もう一つブラムハウス・プロダクション製作作品ということも目を引きます。

ジェイソン・ブラム率いるブラムハウス・プロダクションは近年ホラー映画ファンから最も信頼を集めているプロダクションです。

2000年に設立されたブラムハウス・プロダクションは2007年にあの『パラノーマル・アクティビティ』シリーズをスタートさせて大成功をおさめます。

続いて、2013年(日本公開は2015年)から『パージ』シリーズもスタートさせています。

そのほかにもM・ナイト・シャマランのキャリア復活となった『ヴィジット』『スプリット』『ミスター・ガラス』も手掛け、さらに『ハロウィン』や『透明人間』などのリブート企画も好評を得ています。

また、ジェイソン・ブラムは2014年の『セッション』、2017年の『ゲットアウト』、2018年の『ブラック・クランズマン』などアカデミー賞を賑わす作品も手掛けていて、“ただのホラー屋”だけでは収まらない活躍を見せています。

ジェイソン・ブラムとブラムハウス・プロダクションは1年の間に多くの作品を手掛けています(中にはシリーズ化したものもあります)が、それでいて粗製乱造には陥らないのがすごいところです。そんなクオリティ保証もあってか日本でもコンスタントに新作が公開されています。


『炎の少女チャーリー』(C)2022 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

2022年だけを見ても『フォーエバー・パージ』『炎の少女チャーリー』、『ブラック・フォン』と3本のプロデュース作品が公開されます。

ブラムハウス・プロダクションの特色としては成功を収めた監督、脚本家、俳優とたびたび再タッグを組むことでしょう。

ジェイソン・ブラムと個人的に友人でもあるイーサン・ホークとは彼の劇団の演出をジェイソン・ブラムが務めて以来の30年近い付き合いですし、『パラノーマル・アクティビティ』のクリストファー・B・ランドンなどは多くの作品をブラムハウス・プロダクションとともに作り上げています。

『炎の少女チャーリー』のキース・トーマスも長編監督デビュー作となる『ザ・ヴィジル 夜伽』をブラムハウス・プロダクションとともに撮り上げていて、『炎の少女チャーリー』は長編第2作になります。


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日本では特集上映の一作品だったのであまり馴染がないかもしれませんが『ザ・ヴィジル〜夜伽〜』は死者を弔うヴィジル=夜伽というユダヤ教の儀式をもとにした作品で、ユダヤ教の信仰についてや、あのナチスドイツによるホロコーストを絡めたりと、歴史・人種・宗教(信仰)とかなり盛沢山な映画です。

あらすじはユダヤ教の信仰を捨てた青年ヤコブが、ユダヤ教の慣例である「死人の棺を一晩見守る」という役割=夜伽を、報酬目当てで引き受ける。しかし認知症を患う未亡人は、何かにひどくおびえている様子…。さらにヤコブも、自身が恐るべき存在と対峙していることに気づいて……。

ということで、『ザ・ヴィジル〜夜伽〜』上映時間88分という短い上映時間の間に多種多様な要素を詰め込むだけ詰め込んだ“満載の映画”です。


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日本語で夜伽の意味はややイメージが違ってしまいますが、この辺りはちょっと事情が分からないとついて行けないところもあります。一応冒頭に文字情報として説明がありますので、そこをちゃんと読んでおいたほうが良いです。

キース・トーマス監督は長編映画演出についてはまだ慣れないところもあって、映画としてはギクシャクしているところもありますが、脚本も兼任していて映画全体をちゃんとコントロールできていると感じる部分もあります。

『炎の少女チャーリー』の公開に合わせて『ザ・ヴィジル〜夜伽〜』もチェックしてみてはいかがでしょうか?監督のスキルアップの度合いが見えるのも、楽しみ方の1つです。

(文:村松健太郎)

■『ザ・ヴィジル〜夜伽〜』配信サービス一覧




| 2019年 | 日本 | 88分 | (C) 2019 The Vigil Movie, LLC. All RIGHTS RESERVED. | 監督:キース・トーマス | デイヴ・デイヴィス/メナッシュ・ラスティグ/マルキー・ゴールドマン/リン・コーエン |

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