ディーン・フジオカの魅力|『バスカヴィル家の犬劇場版シャーロック』公開!



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2019年に月9枠で放映された「シャーロック アントールドストリーズ」が約2年の時を経て『バスカヴィル家の犬 劇場版シャーロック』として映画化され、いよいよ公開です。

原作に当たるコナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズの中でも人気・知名度が高い「バスカヴィル家の犬」を、日本を舞台に置き換えて翻案、映画化しました。

アニメから女性版、人形劇など様々な和製シャーロックが登場してきた日本ですが、「バスカヴィル家の犬」の映画化は日本初、シャーロック・ホームズの日本での実写映画化自体も今作が初めてかもしれません。

主演のシャーロック=誉獅子雄を演じるのはもちろん、ディーン・フジオカ

ワトソン役=若宮の岩田剛典、佐々木蔵之介などが引き続き登場するほか、新木優子、広末涼子、村上虹郎、小泉孝太郎、稲森いずみ、椎名桔平などがゲストとして登場します。

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 “ディーン・フジオカ”という人



「ディーン・フジオカ」と聞いて、皆さんはどのようなイメージを抱かれるでしょうか?

2010年代半ばに突然日本ドラマ・映画シーンに登場し、あっという間に主演やメインキャストを務めるようになったイメージがあるのではないでしょうか。

ディーン・フジオカ(本名:藤岡竜雄)は1980年に福島県で生まれの今年で42歳になる男性俳優です。

もともとは1997年のジュノン・スーパーボーイ・コンテストの最終選考まで残ったという経歴を持っています。その後、2000年代に入ると香港でモデル業をはじめ、台湾に移ると連続ドラマや映画に出演して人気を得るようになります。

もともと、アメリカ留学の経験もあるなど語学に堪能で、日本語、英語、中国語、インドネシア語などを操るマルチリンガルです。

そんなこともあって香港から、台湾、さらに北米での芸能活動を行うことに言葉の壁もなく、活躍の幅を拡げます。

英語圏での仕事をするにはいわゆるイングリッシュネームが必要になり、そこでディーン・フジオカという芸名を名乗るようになります。

 日本逆上陸は、異色低予算実録犯罪映画


(C)2013「I am ICHIHASHI 逮捕されるまで」製作委員会

映画自体が決して大きなものではなかったもあるのと、その内容の突飛さもあって、彼の芸歴の中でも異端と言っていい2013年の映画『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』でディーン・フジオカは逆輸入の形で日本にやってきます。

タイトルから想像できる人もいるかもしれませんが、実際に日本で起きた殺人事件を取り扱ったもので、物語は犯人の視点で進みます。ディーン・フジオカはその犯人役を主演として演じたほか、監督・主題歌も務めていました。

筆者個人としてはこの時、ディーン・フジオカの名前を覚えたのですが、殺人を犯した逃亡犯というキャラクターということもあって綺麗なビジュアルでもなく、後々、日本でブレイクし颯爽と現れた時の容姿を見たときには、そのギャップに驚いたものです。

ディーン・フジオカが世間一般に一気に認知されたのは2015年の連続テレビ小説「あさが来た」の五代友厚役でしょう。

明治初期に活躍した実業家を演じたディーン・フジオカはそのどこか浮世離れした雰囲気が大いにウケ、“五代様”として大ブレイクします。

ちなみに、同じ時代を描いた2021年の大河ドラマ「青天を衝け」でも再び五代友厚を演じています。

ディーン・フジオカの魅力を味わえる3作品



ディーン・フジオカはキャリア、日本でのメジャーシーンの登場の仕方や整った容姿など、様々な要素によって独特の雰囲気を纏っています。

「ダメな私に恋してください」「危険なビーナス」「推しの王子様」や映画『空飛ぶタイヤ』などなど比較的“普通の人”を演じることもありますが現在放映中でシーズン2もHuluで配信されることが決まっている「パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~」なども含めて、どこか浮世離れしたキャラクターの方が見ていてしっくりきます。

そんな彼の魅力がはっきりとわかるのがこれからご紹介する3作のドラマです。どれも海外の名作文学を日本を舞台に翻案したものです。

「モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐-」


このドラマは古くは「巌窟王」のタイトルでも知られたアレクサンドル・デュマの小説「モンテ・クリスト伯」を翻案したもので、主な舞台は日本ですが、東南アジアや香港でのエピソードも登場すら大作感のある復讐劇。

平均視聴率は6.2%とお世辞もヒットしたドラマとは言い難いのですが、原作もモンテ・クリスト伯=エドモン・ダンテスにあたる柴門暖=モンテ・クリスト・真海をディーン・フジオカが演じます。

「グランメゾン東京」「TOKYO MER~走る緊急救命室~」「マイファミリー」の脚本で知られる黒岩勉が原作小説を巧みに翻案、もともと原作ものドラマ化、映画化の巧みさで知られている黒岩脚本ということで、1844年に発表された小説「モンテ・クリスト伯」を現代の日本に巧く置換して見せました。

山本美月、大倉忠義、田中泯、桜井ユキ、稲森いずみ、山口紗弥加、岸井ゆきの、高杉真宙、高橋克典と暖=真海の復讐に関わっていく人々の隅々まで豪華キャストが揃っています。

連続ドラマ初主演となったディーン・フジオカにも全体としては高評価があつまり、その後の異邦人路線の端緒となった作品と言えるでしょう。

 「レ・ミゼラブル 終わりなき旅路」


この路線を引き継いだと言えるのが2019年の正月に放映されたスペシャルドラマの「レ・ミゼラブル 終わりなき旅路」です。

こちらも映画やミュージカルなどで日本でもお馴染みのヴィクトル・ユゴーが1962年に発表した小説を日本の神戸、東京、福島、長野を舞台に翻案しました。

1991年から物語は始まり、1995年、2004年、2018年の各年代を描く三幕構成で、原作のジャン・ヴァルジャンに当たる役をディーン・フジオカ(若年期は吉沢亮)が演じ、彼を続ける刑事を井浦新が演じています。この2人は「探偵の探偵」では兄弟(?)役で共演していました。

山本美月や伊武雅刀など「モンテ・クリスト伯」から続いてのキャストもいますし、またキャストを見ると清原果耶や松下洸平、モト―ラ世理奈など意外な名前もあって、改めて見ると発見の多いドラマです。

「シャーロック アントールドストリーズ」


ディーン・フジオカの月9枠初主演となったのが「シャーロック アントールドストリーズ」。

ベネディクト・カンバーバッチのドラマ版やロバート・ダウニー・Jrの映画版など“シャーロック・ホームズ”というキャラクターに改めて焦点が集まっていたタイミングで、ホームズ=誉獅子雄をディーン・フジオカ、ワトソン=若宮潤一を岩田剛典、レストレード=江藤礼二を佐々木蔵之介という配役で、シャーロック・ホームズの知られざる活躍=アントールドストリーズを描くというドラマでした。

アントールドストリーズとは言いつつも、ベイカーストリートイレギュラーズやアイリーン・アドラー、モリーアーティ(役名守谷)、兄のマイクロフトにあたるキャラクターも登場して原作ファンを喜ばせました。

「モンテ・クリスト伯」「レ・ミゼラブル」に続いての翻案ものということで、ディーン・フジオカも翻案キャラをすっかり自分のものにしているのが感じられ、変人探偵(=犯罪捜査コンサルタント)を嬉々として演じています。

今、日本人俳優で「巌窟王エドモン・ダンテスです!」「ジャン・ヴァルジャンです!」「シャーロック・ホームズです!」と言い切れる俳優はディーン・フジオカぐらいではないでしょうか?

ディレクターにも「モンテ・クリスト拍」のチームに加えて福山雅治の“ガリレオシリーズ”の西谷弘も演出に加わるなど、サスペンスドラマの匠が集結しています。

西谷弘はそのまま劇場版の『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』の監督もしています。

2022年は連続でスクリーンに登場!!



現在放映中の「パンドラの果実」のシーズン2やWOWOWドラマ「HOTEL-NEXT DOOR-」などのドラマの新作も待機中のディーン・フジオカですが、今年は映画ラッシュです。

年明け早々の1月には主演に加えて、企画・プロデューサーにも名前を連ねた『Pure Japanese』が公開されました。

ディーン・フジオカ演じるトラウマを抱える舞台アクション俳優が地元ヤクザに執拗に嫌がらせを受けている女子高生を助ける中で、抑えていた暴力への狂気が目覚めていくという異色作。

劇中のバイオレンス描写やキャラクター設定などから、「ディーン・フジオカってやっぱり変な人(役)が似合うよね」ということだけは誰しもが共通して感じる事柄ではないでしょうか。

そして、5月17日と6月24日に連続公開されるのがベストセラーコミックを映画化した『鋼の錬金術師 完結篇 復讐者スカー』『最後の錬成』の二部作。



この実写化企画については賛否を呼んでいるのも確かですが、2017年の1作目からディーン・フジオカは人気キャラクター“焔の錬金術師”ロイ・マスタングを演じています。劇中の所属は架空の国家ではありますが、少なくとも“日本国籍の人ではない”役を今回も、違和感なく演じています。

そして、この“ハガレン2部作”に挟まれるようにして公開されるのが『バスカヴィル家の犬 劇場版シャーロック』です。ディーン・フジオカ演じるのはもちろん和製シャーロックこと誉獅子雄。

連続ドラマシリーズでは犯罪組織の首魁で、宿敵でもある守谷と共に海に没して行方不明となりつつ、特別編のラストで突然、若宮たちの前に姿を現して終わりました。



映画はさらにその先の話で、これまでは“アントールドストリーズ”ということで語られてこなかった物語が描かれていましたが、劇場版はホームズのオリジナルの中でも最も人気と知名度がある長編の「バスカヴィル家の犬」を翻案した物語になっています。

映画はドラマシリーズも原典となるコナン・ドイルの「バスカヴィル家の犬」の方のチェックもあまり必要なく、映画単体で楽しめる映画になっています。

監督が前述のとおり『容疑者Xの献身』などの”ガリレオシリーズ”を手掛けて映画新作の『沈黙のパレード』も公開予定の西谷弘監督ということもあって安心して楽しめる2時間のサスペンス映画になっています。

ふらっとシネコンに行って見ても全く問題ない娯楽サスペンスですので、オススメです。

「シャーロック」が映画まで行きましたが、ディーン・フジオカ特有の雰囲気は狙って出せるものではないため、これからも翻案モノには出演し続けてほしいところです。

シェイクスピアものとか似合いそうであり、次の一手も期待です。

(文:村松健太郎)

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(C)2022「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」製作委員会

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