毎熊克哉「あの役、毎熊でも良かったよね」と言われる存在が目標『妖怪シェアハウス』インタビュー
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テレビ朝日の土曜ナイトドラマ枠で2020年夏に放送された『妖怪シェアハウス』。2022年4月9日から6月4日にはシーズン2が放送された同作は、お金も仕事も家も奪われたどん底気弱女子・目黒澪(小芝風花)を妖怪たちが奇想天外な方法で救うというホラーコメディだ。
そんな同作の映画版、『映画 妖怪シェアハウス―白馬の王子様じゃないん怪―』が6月17日(金)に公開。今回は大酒飲みの女好き酒呑童子役を演じた毎熊克哉にインタビュー。自然体な会話劇が魅力の同作の魅力や、多彩なキャラクターを演じることについて語ってもらった。
基本は変わらなかった2年越しの撮影。一方、戸惑ったことも…
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――6月4日にシーズン2の最終回を迎えた『妖怪シェアハウス』が早くも映画になって帰ってくるとのことですが、ドラマ版と映画版で区別した点はありますか?
毎熊克哉(以下、毎熊):これが、ないんですよね。というのも、今回はドラマと映画の撮影が同じスケジュールの中で行われていて、かなりハードでした。"映画だから"という特別な意識はなく、ドラマと同じように撮っていきました。映画だけのスケジュールが用意されていれば、また違ったのかもしれませんけどね。
――そうだったんですね。
毎熊:最初は「ドラマと一緒にやって大丈夫かな?」と思ったこともありましたが、作品の全体像に関しては監督を信頼していますし、ドラマと同じ空気感の中で瞬発的にやっていくほうが、この作品には合っているのかもしれないなとポジティブに捉えました。
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――シーズン1の放送から約2年越しのドラマ版シーズン2と映画版の撮影とのことでしたが、特に戸惑うこともなく酒呑童子という役には入れたのでしょうか。
毎熊:そうですね。役の戸惑いはなかったのですが、撮影の流れを止めてみんなで話し合ったことはありました。楽しく作っていくことは大前提なのですが、シーズン1のときに守っていたルールや設定などの筋をちゃんと通せているのか? というのは話し合いで確認していきました。前回から時間が経っているので忘れてしまっていることもあって。
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――たしかに長く愛される作品となると、筋を通すのは難しそうですよね。例えばどんなシーンについて話し合われたのでしょう?
毎熊:映画版でいうと、澪にとっての“白馬の王子様”がシェアハウスに来たときの妖怪たちの反応です。シーズン1で、澪が初めてシェアハウスに来たときの妖怪たちはかなり警戒していました。人間を入れてはいけない設定なので。澪の“白馬の王子様”のことをどう受け入れようかということは、かなり話し合いましたね。ぜひそこは注目してもらえたらなと思います。
視聴者の気持ちを補足する大倉孝二の役割
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――映画版には同作の名物“闇堕ち”シーンもありました。かなり弾けてらっしゃいましたね。
毎熊:今回の映画は澪のラブストーリーとツルツル化がメインの軸で、しっかりと感動できる仕上がりになっています。あの闇堕ちのくだりが唯一のおふざけパートというか、『妖怪シェアハウス』らしいシーンなんですよね。思いっきりやりました。
――どのぐらい弾けるのかということは、どこまで決めてやられているのでしょう?
毎熊:特に決めてはないです。というのも、どんなシーンにするかは現場で言われることが多いので、その場で言われて、その場で自分が面白いと思ったことをやる、みたいなことがほとんどで。一瞬で何をするかを考えて演じています。
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――澪と妖怪たちの食卓での会話シーンは、すごく自然体でどの程度決めているのか気になります。
毎熊:あのシーンは、ほとんど脚本通りなんです。ただ、セリフとセリフの間に、大倉さんがツッコミを入れることが多い。ツッコミたくなるやり取りが多いので、大倉さんが一言足すだけで面白く成立したりするんですよね。お客さんの代弁をしているというか。
――そうだったんですね。
毎熊:大倉さんのツッコミは、視聴者目線なところもあってすごいなと思います。例えば、ツッコミどころ満載の服装で出てきたキャラクターがいたとして、スルーすることもできますが、大倉さんがツッコミを入れることで視聴者の方が「面白いと思っていいんだ」と思う気がするんです。
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――『妖怪シェアハウス』はギャラクシー賞を受賞するほど、作品としての評価も高い作品です。今回の映画版も、私たちが生活の中で感じることへのメッセージを感じました。ずばり、この作品を見た人にどう届いてほしいでしょう。
毎熊:テーマそのものは何十年も前から存在していて、真新しいことではないと思うんですが、その難しいテーマに"妖怪たちと立ち向かう"のが面白いですよね。エンターテイメントとして。この作品はよくお子さんが観てくれていると聞きます。子どもの頃に見ていた『ドラえもん』は、大人になってからも自分の中に根強く教訓として残っていたりするので、それと同じように、『妖怪シェアハウス』も誰かの人生を豊かにしてくれる作品であれば嬉しいです。
「あの役、毎熊でも良かったよね」と言われる存在に
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――『妖怪シェアハウス』で酒呑童子を演じることとなった2020年のインタビューで毎熊さんは「妖怪の役をやれるんだ、最高」とおっしゃっていたと記憶しています。そこから2年、酒呑童子役への思いに変化はありましたか?>>>本記事の画像を全て見る(独占写真11点)
毎熊:変化はないですが、まさか続編と映画までやらせていただくとは思っていなかったので、更に嬉しかったですね。こんな長く付き合う役になるとは思っていなかった。せっかくなので、また酒呑童子として作品の続きをやれたら楽しそうです。
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――人間以外の役はもちろん、人間役の中でも役幅が広いイメージがあります。それぞれの役を演じる際に意識していることはありますか?
毎熊:作品に入る前に1つテーマをつけるようにはしています。例えば酒呑童子でいうと、人間の役じゃないことを生かして、人間の役のときにはやらない違うやり方を実験をしてみたり。新しい役と出会うたびに、役者として新しいトライをして、1つ負荷をかけるようにしているんです。
――それぞれのトライというのは、役ごとに決めているのでしょうか?
毎熊:そうですね。役としてのトライというものもあれば、役者としてトライすることもあります。例えば「この役はめちゃくちゃ読み込んでやってみよう」と思うときもあれば、「あえて読み込まずにやってみよう」と挑むこともあって、いろんな方法を試しています。
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――なるほど。そのようなトライを経て、これからやりたいこと、目指す像があれば教えてください。
毎熊:とにかくいろんな役をできたら良いなと思います。見渡してみれば、映画やドラマ、配信……たくさんの作品があるじゃないですか。それは、日本に限らず世界中に。自分が関わらなかった作品を観て「やりたかったな」と思う役に出会ったとき、もし自分にオファーがきていたとしても"やれる"自信を持っていたいですね。あるいは「あの役、毎熊でもよかったよね」って他者に言われたら嬉しいです。そのために準備しておかなきゃいけないことは多いですし、自分自身が出会う役や作品と共に成長していきたいです。
(撮影=Marco Perboni/取材・文=於ありさ)
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