続・朝ドライフ

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2022年06月28日

「ちむどんどん」:哀愁に満ちた中間管理職・田良島が「青春しちゃえよ」と言うけど「わじわじする」恋愛編

「ちむどんどん」:哀愁に満ちた中間管理職・田良島が「青春しちゃえよ」と言うけど「わじわじする」恋愛編


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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第57回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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このままでいいのかいけないのか

「まるで『この完璧な結婚話に対する僕の漠然とした焦燥感の根拠を言い当ててほしい』とでも言いたげだな」(田良島)

すごいです。第12週・恋愛編のすべてを田良島(山中崇)のこのセリフがまとめています。

交際6年ほど、完璧な恋人・愛(飯豊まりえ)との結婚話が和彦(宮沢氷魚)を悩ませます。でも彼は「問題のないことが問題」と悩んでいます。なんじゃそりゃ。

マリッジブルーーーこのままでいいのかいけないのか結婚前に悩むのはフィクションでは女性が多かったですが、男性のマリッジブルーは珍しいです。

このままなんの障害もない人生はつまらない。燃える障害がほしくて、突然、暢子(黒島結菜)を意識しはじめてしまうということなのでしょうか。

突然ではなくもともと子どもの頃、淡い恋心未満のようなものを和彦は暢子に感じていたことは確かです。

優等生だった和彦が人生の泥水を飲むを体験する。それが暢子との恋?ってことになりそうです。なにしろ『ちむどんどん』は”自分らしく生きる”がテーマのようなので、
和彦が30歳を前に、ほんとうの自分に向き合おうとしているわけですね。そのために、愛との穏やかな交際から結婚をぶっ壊す流れになりそうで、物語とはいえ、暢子的に言えば「わじわじ」します。

ただ、愛も、ほんとうは結婚よりも仕事がしたい、やりたい仕事があることを第56回で暢子に漏らしていました。予想としては、和彦も愛も、自分の進む道にこれでいいのかと問いかけて、ほんとうの自分に出会うことになるのでしょう。

田良島は、ラーメンを食べながら、和彦の悩みを無理やり聞き出し、「ちゃんと悶え苦しめ」「青春しちゃえよ」と焚き付けます。

田良島はいつもかっこいいですが、ラーメンを潔くすすらないで弄ぶように箸をつけるだけのことが残念。撮影のつながりがあるから食べられないのでしょうかね。美味しそうに食べるカットがあるドラマが好きです。

暢子は、沖縄の同級生の早苗(高田夏帆)まで結婚(しかも同郷)すると知って、びっくり。その早苗から智(前田公輝)の暢子への恋ごころを聞いてさらにびっくり。
ついに智を意識しはじめます。

智の誘いで、おやすみの日、フォンターナでランチすることになった暢子。智はスーツ、暢子はワンピース。たまにはお客さん目線で店の味を食べたいという理由で知ってる人たちに見守られてのデート。こういうときは「ありえん」を使えばいいでしょうか。

そこへ和彦と愛までランチを食べに来てーー。ふたりの視線を感じながら、智にプロポーズされそうになり「まずい!」と叫んでしまいます。

喜劇の舞台にフォンターナが必須。でも、フォンターナが銀座の高級レストランとは思えない、気軽に立ち寄れるバールみたいな扱いに見えるんですよね。東洋新聞社の人たちがしょっちゅう来ているし。文化人の集まる洒落た社交場という意味合いもあるのかなあとも思いますが、東洋新聞の一部の人しか来ないから、東洋新聞御用達の店という感じでしょうか。

平日も休みもフォンターナ、接待もフォンターナ。他にセットが作れない制作事情はわかります。だからたいてい朝ドラのたまり場は無難な喫茶店なんですよね。今回は、
高級レストランという設定なのが、いろいろ不自然さを醸してしまいます。

暢子と和彦の関係も”自分らしさ”のためという感じで、作り手がやりたいことを貫こうとするあまり、無理にやりたいことに話を寄せていっているように感じてわじわじします(わじわじ感じ過ぎ、もっとちむどんどんしたーい)。

強引ではなく、周囲にも配慮した上で、自分らしさを貫きたいものです。


(文:木俣冬)

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