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「ちむどんどん」第58回:結婚する気、満々の智(前田公輝)の勇み足もちょっとどうかと思う


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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第58回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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「僕はこのまま結婚していいのかな」

房子(原田美枝子)から預かった手土産の最中をさきにふたりで食べてしまう和彦(宮沢氷魚)と暢子(黒島結菜)。

最中といえば、和彦が沖縄の比嘉家にはじめて来たときの手土産です。菊の御紋みたいな最中を和彦のお父さん(戸次重幸)が持ってきて、暢子が目を輝かせましたよね。

第57回で「最中だ!」と和彦が嬉しそうに食べようと暢子に言ったのは、あの頃を思い出したのではないでしょうか。

暢子と和彦が再会したのは10年ぶりでそれから6年、下宿が一緒で友情を育んできました。そして今、急速に子供の頃に深く結びついた思いが再燃してきているところです。

でも、和彦には愛(飯豊まりえ)という婚約者が。暢子には彼女と結婚する気満々の智(前田公輝)が。

暢子は恋とか結婚とか頭にないがなぜか和彦が気になります。和彦のほうはかなり暢子が気になっています。愛がいるのになぜ! という疑問は、亡くなったと思った夫が帰ってきたときにすでに再婚していたという朝ドラで言えば「澪つくし」のような悲劇です。

そういうことはあると思うけれど、和彦の場合、とくに深い事情もなく文通を途切れさせていたわけで。

再会して新たなに暢子が気になりはじめたとしたら、その描写がこれまで全くなくて、下宿で会うのもあまゆの店内のみ。下宿の生活圏内での接触が全くありません。朝ドラでいえば「ひよっこ」は下宿生活(共同キッチン)や中庭などふれあいの場がありました。「ちむどんどん」にはそれがありません。

ふたりの関係を必然にするには、シロート目線だと、折につけ、あの別れのバスのシーンをフラッシュバックさせとけばいいと思うのですが、それは後々にとってあるんでしょうか。

とはいえ、和彦と暢子はじわじわ(わじわじではない)と通わせていきます。

「僕はこのまま結婚していいのかな」とか「デートしてたじゃないか」とか「ドキッとした」とか急に甘えたような口調の和彦は、少年時代の和彦を思わせます。宮沢氷魚さんは巧く子役の演技をなぞっている気がします。

和彦の未熟さは少年性の名残と解釈して観ていられるのですが、智はすっかりへんなテンションで、観ていて辛くなってきました。

すっかり暢子と結婚する気になっていて、休みの日に、差し入れ持って事務所に遊びに来いとか言うのです。「来い」って言い方、すごく気になりました。沖縄の親に挨拶というプランまで勝手に進めようとして……。

暢子は暢子で、はっきり断らず、差し入れ(サータアンダギー)を持って行きます。そこで智は結婚すると誰かに電話で話しているのを聞いてしまいます。このとき、困惑して隠れてしまう暢子の表情。怯えているようにも見えます。ともすれば智は勘違いのストーカー的な人になりかねないですよ。

80年代のドラマで山田太一先生の「想い出づくり。」というのがありまして、なんとなく結婚してしまったら夫が亭主関白過ぎて耐えられなくなるというものなのですが、黒島結菜さんがそのドラマの夫に抑圧される妻みたいに見えて来ました。

6年、暢子の料理研究のためのお店まわりにつきあったことが智の中ではデート=つきあう=結婚みたいになってしまっているのでしょう。この短絡的で世界が自分しかないような感覚は賢秀(竜星涼)と大差なくなってきていませんか。

良子(川口春奈)の夫・博夫(山田裕貴)は石川家の男たちに男尊女卑の極みを突きつけられて追い詰められています。

こんな面倒な一族だったら、結婚する前もひと悶着ありそうですよね。それこそ、ほかの人と結婚話が進んでいた人物を嫁に迎えるなんてといろいろあったでしょう。そういう山も乗り越えてきたと思うと博夫は良子しかいないんだなあと思います。それは麗しいことなのか哀れなことなのか。たぶん両方混ざっていますね。

泣いて電話してくる博夫にほだされてる良子。腐れ縁のような、理屈じゃないところで離れられないふたり。結婚前はあんなに理屈で語り合っていたのに、人間って面白いものですよね。

博夫が祖父・小太郎(小林勝也)に責められていたときチャラララ〜と「渡る世間は鬼ばかり」の劇伴のような曲が流れました。狙っているんじゃないでしょうか。

この曲のおかげで、いまやってるのは昭和のドラマの表面的なパロディであって、あまり深く考えないほうがいいと冷静になれました。ありがとう劇伴。


(文:木俣冬)

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