続・朝ドライフ

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2022年07月04日

「ちむどんどん」前田公輝インタビュー:暢子への恋心と、奔放な登場人物たちに思うこと

「ちむどんどん」前田公輝インタビュー:暢子への恋心と、奔放な登場人物たちに思うこと


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沖縄・やんばる地域で生まれ育ったヒロイン・暢子(黒島結菜)が、ふるさとの沖縄の食に夢を託し成長する様を描く連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合ほか)。自由奔放な登場人物が多数描かれる中で、“ちむどんどんの良心”と呼ばれることもある智を演じているのが前田公輝です。そんな彼に、動き出しつつある暢子との恋模様と、賢秀(竜星涼)をはじめとするキャラクターたちに思うことについて伺いました。

先輩の言葉を実感する“朝ドラ”の現場


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――半年という長い期間にわたってひとりの人物を演じることをどのように感じていますか。


前田公輝(以下、前田):僕は6歳から芸能のお仕事をやらせてもらっていますが、念願だった朝ドラにはじめて出演して、まだまだ知らないことがあったと実感しました。半年間、2クールにわたって役の成長を演じていると、例えば智の沖縄言葉のイントネーションが最初の頃よりカラダに染み込んで日常の言葉になっていきます。よく役者の先輩が「芝居には終わりがない」というようなことをおっしゃいますが、まさに今それを感じている真っ最中です。たぶん朝ドラでしか味わえない、刺激的で目新しいことがたくさんあって楽みながら演じています。


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――沖縄から東京に来てから智はどのように変化していますか。

前田:沖縄では智は暢子への気持ちに蓋をしていました。彼女が東京に行くとわかったとき、彼女への思いが確信に変わり、解放されたかのように東京に向かった。だから智は東京で変わるというよりはむしろ変わらない思いを貫いていると思います。智のなかで暢子の存在がどんどん大きくなっているところですね。いわゆる恋愛談みたいなことを語る場面で智は将来の人生設計を見据えて考えていて、それだけを聞くと理性的な気もしますが、実際は理性では抑えきれないほど暢子に夢中で、とにかく東京で彼女をサポートしたいのだろうと思います。食品卸の仕事をはじめたのも、暢子がどれだけ夢に向かって邁進できるかというところを軸にしているでしょうし、いかに彼女を幸せにするか、それが智のすべてなんですよ。

“ちむどんどんの良心”は、なぜ暢子に惹かれたのか?


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――智は暢子のどういうところを好きだと思いますか。


前田:好きなところはいろいろあると思いますが、中でも世界一幸せそうにご飯を食べるところに最も惹かれたのではないでしょうか。子どもの頃、恵まれない生活を送っていた智が学校にも行かず家業の手伝いをしていたとき、熱をこめてつくった島豆腐を暢子が食べた、その表情を見たら、智は心が豊かになって、辛く苦しいことを忘れることができた。最初は生意気だなあとも感じていたとは思うのですが、じょじょに恋心に発展していったのではないかと僕は想像しています。

――暢子への気持ちの現れが、会話しているとき彼女をよく見ているところに出ていますよね。意識して演じていますか。

前田:そこは東京に行ってから意識した部分です。沖縄では彼女への感情をあまり出せなかったけれど、東京に来ることで智が自分自身の気持ちと向き合えたので、それからは隠すことなく常に見つめているようにしました。暢子が今どういう状況なのか見逃さないようにしているんです。


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――智はひたすら暢子のことばかり考えている?

前田:もちろん自分の仕事への夢もありますから、仕事と恋が智の2大要素ですね。暢子との結婚を夢見ることは、病弱な母親を安心させる材料でもあると思うんですよ。智の中にもいろいろな夢や目標や考えがありながらも、つい暢子への想いが先行してしまう(笑)。気持ちが募り過ぎて仕事をしていてもつい暢子のことを考えてしまう、そういう瞬間をイメージしながらやっています。


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――暢子ファーストとはいえ仕事もしっかりやっている智は、一部で“ちむどんどんの良心”と言われていますが、ご自身ではどう思いますか。

前田:視聴者の方々から「良心」とまで言ってもらえると思わなかったですが(笑)、僕自身も最初に台本を読んだときから、智は好感度の高い人物と感じました。なかなかいないですよね、自分の夢や目標を有言実行し、悩みは決して他者に口にしない精神性の強い人物って。智のような背中で語るような生き方には男性女性にかかわらず少なからず憧れると思います。

前田公輝が紐解く、智と比嘉家の関係性


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――コツコツ働く智と比べてわりと自由な比嘉家の生き方を智はどう感じていると思いますか。


前田:智が比嘉家に好意的な理由は、幼い頃に比嘉家からごちそうをまるごともらっていることがきっかけだと思います。そのとき智は、同級生の家から食べ物を恵んでもらって頭を下げるしかできない自分に悔しさやいろいろ言葉にできない思いが募って、この状況から脱しないといけないと決意したのではないでしょうか。砂川家――とりわけごちそうを砂川家にと提案した優子(仲間由紀恵)さんへの感謝や恩義はすごく感じていて、智のなかで優子さんの存在は大きいはずです。


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――堅実な智と正反対の生き方をしているように見える幼馴染の賢秀についてはどうでしょうか。

前田:智はちょっと心配症というか先々を鑑みながら行動するタイプで、賢秀はとても自由な生き方をしています。正反対ではありますが、智は賢秀と一緒にいて楽しかった思い出が絶対あるんですよ。賢秀はムードメーカーだし、感情に身を任せるというのか動物的な本能に従って行動するというのか、そうやって子ども時代、新たな遊び場を切り開いていたんだと思いますよ。智は暢子だけでなく賢秀にもつらい気持ちを忘れさせてもらった思い出がいくつもあるのではないかな。純粋なまま大人になってしまっただけで決して悪いことをしようと思って生きているわけではないことをわかっているからあたたかい目で見ているのでしょうね。


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――義理と人情で結びついているのでしょうか。

前田:そういうところはあると思います。どんなことがあっても決して見放さないし絶対的な味方である。比嘉家に限ったことでなく、それが“やんばるの絆”なんですよ。とりわけ70年代の沖縄の人たちは、沖縄の言葉『ゆいまーる』に代表されるように助け合い精神が強かったと思います。いまの時代は何かとストレスが溜まるから、この時代の比嘉家のような家族の形もあるということが参考になるといいですよね。 

大人になった幼馴染との共演シーンを振り返って


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――和彦(宮沢氷魚)も含め、智、賢秀の友情はどうなっていくでしょうか。


前田:この間、はじめて3人だけのシーンを撮影しました。幼馴染ではあるけれど、意外と3人揃うことがなかったので嬉しかったです。それほど長い場面ではないですが、子どもの頃を共に過ごした3人が大人になってそれぞれの切なさを抱えているっていうちょっとロマンチックな空気感が出たような気がしました。もっとたくさん3人で演じたいですね。


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――智と前田さんの共通点はありますか。

前田:智の軸になっているのはなんといっても家族で、僕自身もそこは同じです。智の家族への思いはすごく共感できます。家族の支えや理解がないといまの僕はないです。それと、仕事への向き合い方は共感プラス憧れがあります。

――沖縄のいいところをどこに感じていますか。

前田:太陽の印象が強いです。例えば島野菜はビタミンとミネラルが豊富でとても美味しい。それは太陽をたくさん浴びているからでしょうね。僕は役者の仕事はメンタルケアがすごく大事で、太陽を浴びることがケアのひとつになると考えているんです。沖縄の太陽は心にいいと思います。


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(ヘアメイク=松田蓉子/スタイリング=千葉良(AVGVST)/撮影=大塚秀美/取材・文=木俣冬)

<衣装協力=ANEI>

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