「ブギウギ」突然の本上まなみの登場に驚いた<第40回>
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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第40回を紐解いていく。
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ツヤの起こした奇跡
第39回でツヤ(水川あさみ)が星になり、第40回では、そのお別れ会(お通夜?)で梅吉(柳葉敏郎)が「化けて出て、わし蹴飛ばしてくれ〜」と大騒ぎ。
朝ドラにはよく幽霊が出てきますが、「ブギウギ」では今のところツヤの幽霊は出てきません。代わりに、ツヤはすごい奇跡を起こします。
「ツヤちゃんはしみったれたのがすかん」とご近所さんたちの前では明るく振る舞っていた梅吉も、スズ子(趣里)とふたりきりになると、やっぱりしんみり。
これからどうしよう。スズ子は、一緒に東京に行こうと持ちかけます。
このまま、梅吉がひとりではな湯を経営するのは難しい。目下、とても赤字なので、売却するしかない。でも、ツヤとの思い出の場所を失いたくない。
と、そこへ、ゴンベエ(宇野祥平)がやって来て、自分の給金を使ってくれと献身的なことを言い出します。ずっと給金を貯めていて、200円になっていました。でも、200円でははな湯の建て直しには足りなくて……。
あっという間に、はな湯を閉めることになり、しょんぼり、と思ったところへ、今度やって来たのは、謎の女性・三沢光子(本上まなみ)。
ゴンベエこと伊福部玉五郎のことを長年探していたところ、ツヤのばらまいた人相書きを見て、訪ねて来たのです。
ゴンベエは実は、船場の大きな呉服屋の若旦那(ボンクラ若旦那)でした。
ここからがファンタジー。光子も200円貯めていて、ゴンベエに「お嫁さんにしてください」と言い出します。
ゴンベエは、記憶は戻らないけど、美しい女性と200円の持参金の前で「すごくうれしゅうて」と大喜び。結婚して、はな屋を一緒にやってくれと持ちかけます。
20年くらい離れていたけれど、ずっと思っていたなんて、すてき。
ゴンベエと光子の空白の20年をドラマにすることもできるでしょう。会いたい人になかなか会えない話には、すれ違いドラマの元祖のような「君の名は」があります。運命的な出会いをした男女が、なぜか、会えそうで会えない年月を過ごすもどかしいお話。それをぎゅっと布団圧縮袋に入れて掃除機で空気を吸い込んだみたいなものが、今回のゴンベエと光子の話です。
こうして、梅吉は、スズ子と共に東京に向かいます。
「ほなな」と花吹雪をぱーっと巻く手際の良さは、梅吉が実は昔、役者をやっていたからでしょう。舞台だったら花道を通っての退場です。
ツヤちゃんを幸せにしてやりたかったとか言ってましたが、なーんもせずに、ツヤに甘えていただけじゃん、ツヤは苦労ばっかりして病気になっちゃったのでは、という思いも否めなかったですが、あまりに、のほほんとした展開に、そこを真剣に考える気も起きませんでした。
ツヤが亡くなって悲しかったけれど、笑顔で週末が終われてよかった。
タイ子(藤間爽子)は妊娠していて、新たな生命が誕生する喜びも付与されていました。彼女もまた東京に行くようです。
ところで、今回のキーパーソンだった本上まなみさん。「ブギウギ」のガイドブックでもちゃんと紹介されていたんです。「はな湯に来る謎の女性」として。謎と書いてあるとはいえ、まさか、こういう役割とは……。
光子の紹介ページに使用されているスチールに、さりげなくゴンベエとの2ショットがあり、ネタバレはできないけれどギリギリ匂わす、編集さんの工夫を感じます。ツヤの意地ではありませんが、編集者さんにも意地があるような気がして、にやにやしてしまいました。
(文:木俣冬)
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(C)NHK