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2022年07月12日

<解説>『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』モキュメンタリーの魅力|『 ソー:ラブ&サンダー』公開記念

<解説>『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』モキュメンタリーの魅力|『 ソー:ラブ&サンダー』公開記念



2022年7月8日(金)より、映画『ソー:ラブ&サンダー』が公開された。

マーベル最新作にして「マイティ・ソー」シリーズの第4弾。

コメディタッチの作風で高く評価された前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』に引き続き、本作でもタイカ・ワイティティ監督がメガホンを担当している。

彼が注目されるきっかけとなった作品が『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』だ。

「ヴァンパイアたちの生活をのぞき見できたら……」というアイデアで、彼らのユルい日常をドキュメンタリータッチで描いた本作は、突飛な設定が話題を呼んだ。

今回の記事では、監督の出世作ともいえる本作の魅力を徹底解説!「ソー」シリーズとの意外な繫がりについても紹介する。

ヴァンパイア映画への愛



本作は『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を思わせる邦題が印象的だが、それもそのはず、様々なヴァンパイア映画のオマージュやパロディで彩られた作品になっている。

日光に弱い、人の血を吸うなどの基本設計は幾度も映画化されている小説「吸血鬼ドラキュラ」を彷彿とさせつつ、『吸血鬼ノスフェラトゥ』のビジュアルにそっくりな古株のドラキュラが登場するなど、その範囲は多岐に渡る。

特に ロバート・パティンソンがドラキュラ役を演じ、当時のティーンを中心に話題になった「トワイライト」シリーズからの影響は顕著と言える。

劇中で本作についても言及されているほか、敵対する種族として狼男のグループが登場するなど、ファンであれば、クスリとする場面は多いだろう。

ドキュメンタリー風コメディ

本作の見どころは、ドキュメンタリー形式で撮影されたフィクション(これはモキュメンタリーとも呼ばれる)という点だろう。

ヴァンパイア映画史でも類を見ない作風を用いたことで、彼らを親しみやすい存在として描いているのだ。

ちなみに、このテイストは『マイティ・ソー バトルロイヤル』公開に先駆けて発表されたスピンオフ短編「Team Thor: Part 1」(日本版タイトル:「“チーム・ソー”結成」)にも共通している。



唯一無二のユルい世界観がファンの間でも話題を呼び、のちに2作の続編が作られることとなった(本作の日本語字幕付き本編はディズニープラスから鑑賞可能)。

>>>【関連記事】幻のスピンオフシリーズ「マーベル・ワンショット」の魅力

愛おしいアドリブ演出



本作は、監督が2005年に制作したショートフィルムを基に約8年の構想を練り上げて作り上げた力作だ。

実は過去にシェアハウス生活を体験していた監督は、ショートフィルム版からハウスメイトであるスチューを出演させており、本作で本人役を務めた彼が物語の重要なカギとなっている。

このように本作では現実を反映した演出がなされており、その筆頭がほぼアドリブでの撮影だろう。

125時間の収録を経て制作された本作では、おおよその流れは決まっていながらも、演者の自然な演技を重視しており、これはのちのタイカ・ワイティティ監督作品にも繋がる要素と言えるだろう。

最新作『ソー:ラブ&サンダー』の上映時間は約2時間だが、即興的に撮影されたシーンも多数あり、本編尺の倍である4時間版が存在していることも監督は明かしている。

作品を彩る独特なゆるいユーモアは、まさしく監督のアドリブ演出あってこそと言えるのだ。

役者 タイカ・ワイティティの魅力

本作では、実質、主役ともいえるヴァンパイアのヴィアゴを監督自身が演じているのもポイント。

実は学生時代からコメディグループに所属していた監督は、自身の作品でかならずといっていいほど、何らかの役で出演を果たしている。

その多くがコメディリリーフとしての役割であり、作品のユーモアを支える重要な要素となっているのだ。

ちなみに「マイティ・ソー」シリーズではコーグ役を担当し、脇役ながらも圧倒的な存在感を放った。

ファンからも根強い人気を誇るコーグは、のちに映画『フリーガイ』の宣伝映像で「X-MEN」シリーズを代表するキャラクター・デッドプールとの共演も果たしている。



『ロード・オブ・ザ・リング』との思わぬ接点



衣装や小道具などで独特の世界観を実現した『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』。

そんな本作には『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズとの思わぬ繋がりがある。

実は劇中の小道具には『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや前日譚シリーズ『ホビット』の廃品が使用されているのだ。

限られた予算内でヴァンパイアたちの生活を表現するため、Wetaワークショップ(特殊メイク、コスチューム、小道具などの制作会社)に出向いた監督は、そこで様々な小道具を調達。

(この裏話は「ディズニー・ギャラリー/スター・ウォーズ:マンダロリアン」シーズン1第1回「制作の舞台裏」から確認できる)

さらには、同時期に制作されていた『ホビット 竜に奪われた王国』のセット解体時に、いくつかの小道具を拝借したのだそうだ。

また、タイカ監督は過去に『ロード・オブ・ザ・リング』の世界観を再現した航空CMも担当。



この映像には、シリーズの主人公・フロドを演じたイライジャ・ウッドからピーター・ジャクソン監督まで、豪華な顔ぶれが勢ぞろいしている。

ピーター・ジャクソン監督とタイカ・ワイティティ監督には、ニュージーランド出身、初期にドキュメンタリー形式の作品(『光と闇の伝説 コリン・マッケンジー』)を手掛けるなど共通点も多く、まるで不思議な師弟関係のような繫がりがあるのだ。

>>>Disney+ (ディズニープラス) で「ディズニー・ギャラリー/スター・ウォーズ:マンダロリアン」を観る

独特な世界観

本作では完成された世界観ゆえに、多くの派生作品が生みだされた。

ひとつは、映画の公開に際して、製作された企業や地域団体とのコラボ映像である。

舞台となったニュージーランドの首都・ウェリントンは、ヴァンパイアのヴィアゴが街を紹介する一風変わった観光CMを発表。



このほかにも、ヴァンパイアたちが出会い系サイトを紹介する映像や、「ウェリントン」の文字看板を「ヴェリントン」に入れ替える航空会社のCMなど、その映像は多岐に渡る。

ドキュメンタリー形式という本編の特性を活かしたプロモーションの数々は、それ独自でショートフィルムとして完成されているのだ。

また、本作の制作後には、スピンオフも作られることとなった。

劇中に登場した警察官たちを主役にした「Wellington Paranormal」では、4シーズンが製作。

さらには、舞台をニュージーランドからアメリカに変え、新たなヴァンパイアたちの生活を送るTVドラマ版「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」も、現在までに4シーズンが製作。

未だ実現には至っていないが、過去には、劇中に登場した狼男たちをメインにした「Werewolves」という作品の構想も発表されていた。

このように、シリーズは現在でも拡張を続けており、多くの人に愛され、監督自身にとっても大切にしている作品であることが分かるだろう。

>>>Disney+ (ディズニープラス) で『シェアハウス・ウィズ・バンパイア』(ドラマ版)を観る



今回はタイカ・ワイティティ監督の原点とも言える『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』を紹介した。


コメディ映画でありながらも、人生の悲哀すら感じさせるブラックユーモアがたっぷりな本作。

ぜひ、『マイティ・ソー』シリーズや『ジョジョ・ラビット』で監督に興味を持った方や、一味違う外国映画を観たい人にオススメしたい一作になっている。

(文:TETSU)

■『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』配信サービス一覧

| 2014年 | ニュージーランド |85 分 | (C)SHADOW Pictures Ltd MMXIV | 監督:タイカ・ワイティティ | タイカ・ワイティティ/ジェマイン・クレメント/ジョナサン・ブロー/コリ・ゴンザレス=マクエル/スチュー・ラザフォード/ジャッキー・ヴァン=ビーク |

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