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人生で大切なことを教えてくれた、女の子が主人公のアニメ“5選”
人生で大切なことを教えてくれた、女の子が主人公のアニメ“5選”
友達との関係に悩んだり、夢を追いかけたり。アニメーションに登場する女の子たちは、いつも忙しそうで、キラキラした輝きを持っている。
筆者はその姿にかつての自分の姿を重ねて共感することはもちろん、彼女たちのパワーから勇気をもらえることがある。
さまざまな葛藤や困難を乗り越え、自分たちなりの「答え」を見つけて歩んでいく姿を観ていると、いつの間にか自分も「頑張らなければ」という気持ちが湧いてくるのだ。
本記事では、そんな女の子たちが活躍し、筆者に人生で大切にしたいことを教えてくれたアニメーション5本を紹介する。
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1:ARIA The CREPUSCOLO
ウンディーネ(水先案内人)が、ゴンドラでの観光案内や仲間との関わりを通して成長していく様子を描いたアニメ『ARIA』シリーズ。
中でも『ARIA The CREPUSCOLO』(2021)は、「ARIA The ANIMATION」放送から15年目を迎えたメモリアルイヤーに、新作アニメーションとして登場した作品である。本作は、打ち明けることの大切さを教えてくれる。
一番の見どころは、オレンジぷらねっとで修行するアーニャ、アリス、アテナのそれぞれが「自分の在り方や振る舞い」に悩み、打ち明け、より絆を深めていく姿だ。
アーニャは、アリスやアテナと比べ「ここにいていいのか」と自分の居場所に悩み、アリスは「アテナのような」先輩になれない自分に対して、もどかしさを感じていた。
(C)2020 天野こずえ/マッグガーデン・ARIA カンパニー
そしてアテナは、アリスの飛び級に対し「もっとゆっくり進むべきだ」と心の中で思ってしまった過去の自分に罪悪感を抱いていたのだ。
彼女たちは、それぞれ相手を真剣に想うがゆえに悩んでいて、葛藤している。悩み抜いた結果、相手に自分の言葉で本心を伝え、ゆっくりと話し合っていくのだ。
アリスやアテナの偽りのない真っ直ぐな会話は、観ているこちらまで心があたたかくなるような、温もりがある。
とくにアテナの、アリスが飛び級試験中の回想シーンは、先輩として「アリスを守りたい」気持ちが全面に出ていた。
操舵術だけができて、話術がないと悩んでいたアリスは「私に期待しないでください」とアテナに伝える。アテナは、「大丈夫。つまずいてもいい、ゆっくりでいい。それが、いびつな私たちの歩く速さだもの」と心の中でそっと伝えるのだった。
(C)2020 天野こずえ/マッグガーデン・ARIA カンパニー
本心で相手と向き合っている彼女たちの姿を見て、最後に自分が友達と腹を割って話したのはいつだろうかと考えた。幼い頃は思ったことをそのまま相手に伝えられたのに、大人になるにつれて「それぞれ事情があるのだ」と勝手に解釈し、伝えるのを諦めてしまった。
だが、本作を観て“本音で話すことの大切さ”を思い出したのである。
思ったことを上手く言えなかったり、相手のことを考えすぎたりしてしまう人にこそ観てほしい。彼女たちの会話は、相手に想いを伝える勇気を与えてくれるはずだ。
2:ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン
WIT STUDIOがアニメーション制作を手掛けたNetflixオリジナルアニメーション「ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン」(2022)。本作からは、信じることの難しさが伝わってくる。
舞台は、ヴァンパイアと人間が土地をめぐって争っている世界。人間にとって、自分たちの血を欲するヴァンパイアは敵であり、ヴァンパイアも、自分たちを滅ぼそうと迫ってくる人間は敵なのであった。
本作は、人間のモモとヴァンパイアのフィーネの「お互いを信じ合う強さ」が見どころだ。
本来は敵同士だが、親や争いから離れたかったモモと、死に場所を探していたフィーネは、お互いの目的が一致し、窮屈な世界から抜け出そうと決心。人間とヴァンパイアが共存する「楽園」を目指すうちに心を通わせ、やがて一番の存在になっていくのだった。
Netflixシリーズ「ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン」独占配信中
だが、ヴァンパイアの女王であるフィーネと司令の娘であるモモの2人には、近づけば近づくほど引き離そうと邪魔が入ってしまう。
人間の血を欲しがるヴァンパイアの本能や、かつて人間と共存できなかったフィーネの過去が2人の結びつきを難しくした。「ただ一緒にいたい」だけなのに、2人の願いはいつも絶望的である。
信じることは難しい。なぜなら、裏切られた時の痛みはなかなか治せないから。ましてや、姿や生き方が違ううえに、殺し合ってきた過去を持つ人間とヴァンパイアの間に、共通項はひとつも見当たらなかった。
Netflixシリーズ「ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン」独占配信中
それでも、2人はお互いを信じ、共に生きる未来を目指し続けた。
姿が変わっても、自分を襲おうとしてきても、モモはかつて自分を信じてくれたフィーネを信じた。そしてフィーネもモモを信じ、2人は誰も成し遂げられなかった奇跡を実現させるのだった。その様子に、人間やヴァンパイア同士よりも強い結びつきを感じる。
相手を信じるのは、決して簡単なことではない。だが、信じなければ何も変わらない。
相手を信じ、相手を信じる自分を信じなければ一歩も前に進めない、ということを「ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン」を観て深く胸に刻んだ。
3:宇宙よりも遠い場所
MADHOUSEがアニメーション制作を手掛けたTVアニメ「宇宙よりも遠い場所」(2018)。通称“よりもい”は、飛び出してみることの大切さを教えてくれる。
本作は、女子高生の4人がさまざまな想いを抱えながら南極を目指す物語である。
3年前に南極で行方不明になった母親を探す報瀬(しらせ)、青春がしたいきまり、しがらみのない世界に行きたい日向、仕事のために行かなければならない結月……。動機はそれぞれ違うが、みんな「南極に行く」という目標はハッキリしていた。
誰もが無謀だと思う挑戦を乗り越えたのは、彼女たちの「絶対に南極に上陸する」強い意志だろう。
「宇宙よりも遠い」南極は、一筋縄では辿り着けない。初めての飛行機に乗り、初めての国に上陸し、初めての砕氷船に揺られて、やっと南極に近づける。
そして氷以外に何もない大陸に降り立った時、隠し事は無意味になる。
4人は、長い旅路の中で徐々に自分のことを打ち明け、相手を理解していった。お母さんのこと、中学時代の嫌な思い出のこと、「友達」がどういう存在かわからないこと。相手のことを自分のことのように真剣に考え、人生に巻き込み、巻き込まれていくのだ。
日常からかけ離れた場所に行くのは、少し勇気が必要である。なぜなら、元の世界に戻れなくなってしまうかもしれないから。だが一歩飛び出してみることで、これまで見えなかった世界を見ることができる。新たな自分と出会えるかもしれない。
そして遠くの世界を見たからこそ、当たり前だと思っていた日常を、より愛しく感じられるのだ。
きまり達は、南極から戻ると卒業後の進路や仕事など、現実と向き合わなければならない。これからの人生で、いくつもの困難にぶち当たるだろう。
だが、きっと乗り越えられる。彼女達にはかけがえのない友達と南極という心の拠り所があるからだ。どちらも、遠い場所へ飛び出さなければ、得られなかったものだ。
4:ヒロインたるもの!
クリエイターユニット「Honey Works」が原作と音楽を手掛けたTVアニメ「ヒロインたるもの!」(2022)。
本作は、人気高校生アイドルユニット「LIP×LIP」の勇次郎と愛蔵のマネージャー見習いをすることになったひよりが、部活に学校生活に奮闘する毎日を描いている。ひよりからは、何事も全力で頑張る大切さが伝わってくるのだ。
大好きな陸上を続けるために地元を離れ、たった1人で上京したひより。高校入学後は陸上を続けながらも、家族の負担を減らすためにマネージャー見習いのアルバイトも始める。
部活、学校生活、アルバイト、全てに対して全力で向き合い、自分ができることを精いっぱい取り組んでいるひよりの姿は、観ているこちらが晴れやかな気持ちになるほど輝いていた。
最初は流行に疎く、アツい性格なひよりに対して嫌悪感を抱いていた勇次郎と愛蔵。だが、ひよりが熱心に陸上に励んでいる姿や、マネージャー見習いとしてファンのことを真剣に考えている姿を見て、徐々に心を開いていく。
本作を観て感じたのは、何かに対して全力で頑張るのは、自分のためになるだけではないということ。誰かが頑張っている姿は、周りに刺激を与え、いい影響をもたらす。
陸上やマネージャー業を頑張るひよりの姿を見て、勇次郎と愛蔵はより熱心にダンスのレッスンを受け、ファンのことを大事にするようになった。そしてその勇次郎と愛蔵の姿を見て、ひよりも更に気合いが入るのだった。
アニメを観るのはもちろん、作中で流れる「LIP×LIP」の楽曲「夢ファンファーレ」の「楽しい事待ってちゃ損じゃん?」「君の一歩君が踏み出せ!夢を楽しめ」というフレーズを聴くと、何事にも全力で打ち込んでいきたいと、より一層思わせてくれる。
5:SHIROBAKO
P.A.WORKSがアニメーション制作を手掛けたTVアニメ「SHIROBAKO」(2014)。
アニメーション業界を舞台にした本作は、アニメ作りの夢や現実がありのまま描かれ、チームで作ることの尊さが伝わってくる。
「いつか一緒にアニメを作ろう」と誓ったあおい、絵麻、しずか、美沙、みどりは、それぞれ制作進行、原画マン、声優、CGクリエイター、脚本家としてアニメ制作に関わっていく。
アニメーターと上手く連携が取れない、オーディションに合格できない、技術が上がらない、会社と方針が合わない……。叶えたい夢があっても、夢とはほど遠い立ち位置にいるのが彼女達の現実だ。
(C)2020劇場版「SHIROBAKO」製作委員
アニメ作りは難しい。それは、自分1人で作れないからだ。誰かに依頼し、依頼されることによって、ようやく現場は回っていく。自分の頑張りが制作チームにいい影響を与えることもあれば、自分のミスであらゆる工程に迷惑をかけてしまうことがある。
絶対にオンエア日を落としたくない制作陣と少しでもクオリティが高いアニメを納品したいアニメーター陣のせめぎ合いやアニメーター同士の確執など、観ているこちらまでドキドキするような波乱な展開が毎話繰り広げられている。「SHIROBAKO」を観ていると、作品が無事にオンエアされることがどんなに大変で、どんなに尊いことなのかが伝わってくるのだ。
(C)2020劇場版「SHIROBAKO」製作委員
観る人に希望や夢を届ける「アニメ」を作る現場には、夢など存在しない。制作進行はアニメーターの間を走り回り、アニメーターたちは寝る間を惜しんで描き続け、全員が命を削って完成へと急ぐ。
だが、彼女達を突き動かしている原動力は、やはりアニメという夢なのだ。いいアニメを観るために、目の前の仕事に情熱を注ぐ。アニメ業界の人々特有の好循環は、他ではなかなか無いはずだ。
だからこそ、アニメ作りは業界の人々含めて「尊い」と感じる。「SHIROBAKO」は、アニメ好きな人に観てもらいたい作品だ。アニメをもっと愛しく感じられるはずだから。
明日を頑張る力をくれるアニメ作品
アニメーションに登場する女の子たちは、誰もが一度は悩み、苦しんでいた。だが、もれなく全員が自分なりの答えを出し、前へ歩んでいく。その姿に何度も心が救われてきたし、生きる活力となった。
これからも、挫けそうになった時は画面の中の彼女達に会いにいく。彼女達と一緒に泣いて、喜んで、また明日も歩き続けていきたい。
(文:きどみ)
■『ARIA The CREPUSCOLO』配信サービス一覧
| 2020年 | 日本 | 60分 | (C)2020 天野こずえ/マッグガーデン・ARIAカンパニー | 監督: 名取孝浩
| 広橋 涼/佐藤利奈/茅野愛衣/渡辺明乃/葉月絵理乃/大原さやか/水橋かおり/西村ちなみ/斎藤千和/皆川純子/中原麻衣/阿澄佳奈/桑島法子/白石涼子/野島裕史/うえだゆうじ/安野希世乃/松尾佳子 |
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