「ちむどんどん」第87回:いい迷惑。ニーニーとネーネーが重子相手に大騒ぎ。
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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第87回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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突破されました
どうしたら重子(鈴木保奈美)に結婚を許してもらえるのか、房子(原田美枝子)は披露宴の料理を、あえて「おいしくないもの」を作りましょうと提案する。料理は美味しいだけじゃない。忘れていた思い出を呼び起こすものでもある。(房子)過去、「おしん」でも飽食の時代を反省し、貧しい時代に食べていた「大根めし」を現代人に紹介しブームを起こしました。
戦争のとき、どれだけ食べるものがなくて、どんなものを食べていたのか。戦争を思い出す時期に振り返ることは大事ですね。
なんてことを思わせつつ、第87回は、ニーニー・賢秀(竜星涼)とネーネー・良子(川口春奈)の青柳家訪問がメインです。ドタバタ感がすごい。
玄関先で良子が逡巡していたら、賢秀が現れ、ふたりでわいわい。それを家の中から波子(円城寺あや)が見ています。
波子は暢子(黒島結菜)の弁当ですっかり懐柔されたようで、うっすらアシストしています。
「突破されました」と重子に報告し、中に入れます。
まず、オルゴールを壊すなど、ニーニーは期待を裏切りませんし、良子は過去最高の種類のお土産を持参します。
イチャリバチョーデー 一度会ったらみんなきょうだいという沖縄の言葉を持ち出し、説得を試みますが……
人類みなきょうだい というような寛大な考え方はすてきですが、比嘉きょうだいはがさつ過ぎて、上品な重子には受け入れがたいことでしょう。
第87回で注目したいのは3点
その1:自作のプレゼント
お土産のなかに、歌子(上白石萌歌)のカセットテープ(しかも新品じゃなさそうな)がありました。
親しい間柄なら、心がこもっているという意味で、自分の歌や絵を贈って喜ばれることもあるでしょうけれど、見ず知らずの人にいきなり自作のものは……。まあこれも人によりますね。どんなに親しくても手製のものを欲しがらない人もいますし。
その2:ニーニーは牛飼いじゃない
興信所に頼んだのか、重子は暢子の個人情報を調べ尽くしていました。ところがなぜか、ニーニーの仕事を牛飼いと間違えています。石川家の曾祖母がウシという名前であったことと情報が錯綜したのでしょうか。それはともかく、
ニーニーは「牛飼い」「牛飼い」と言われ、思わず、豚だと明かしてしまいます。
なぜかニーニーは養豚所で働いていることを隠しています。子供のときから豚が好きで豚を育てることだけは得意だった彼ですが、それしかできないと思われることが恥ずかしいのかもしれません。
家族にも誰にも言わないでいたことを、重子にしつこく「牛飼い」と言われることで、つい本音を漏らしてしまう。
中原中也の詩と同じ、意地を張って人に言えないことを吐露させるための方法ですね。
その3:ゴッドファーザー
ニーニーが「ゴッドファーザー」を気取って「ドン賢秀です」と波子に自己紹介。これまで寅さんを気取っているふうでしたがもう飽きたのでしょうか。
イタリア系マフィアの一家を描いた映画『ゴッドファーザー』は72年に公開されています。沖縄が日本に返還された年だったんですね。つまり、2022年時点で、公開から50年記念の年に当たるんですね。パート2は日本では75年に公開されていますから、賢秀は見て、感化されているのでしょう。
血はつながってなくても義理と人情でつながるマフィアの一家に共感するんでしょうね。
重子の説得に失敗して帰るときの劇伴が『ゴッドファーザー』ふうでした。
重子のように「住む世界が違う」と他者を遠ざけず、「みんなきょうだい」という寛容さで、貧しかったり、何かと恵まれなかったりする人たちの受け皿が
必要だし、価値観が違う人達とも手をつないでいかなくてはと思わされました。
(文:木俣冬)
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