続・朝ドライフ

SPECIAL

2023年06月22日

「らんまん」竹雄(志尊淳)が「あなたをひとりっきりにはせん」と凛々しく告白<第59回>

「らんまん」竹雄(志尊淳)が「あなたをひとりっきりにはせん」と凛々しく告白<第59回>

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第59回を紐解いていく。

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「槙野姉弟が好き過ぎる」

鹿威しがカン!となって、タキ(松坂慶子)寿恵子(浜辺美波)の百人一首勝負がはじまります。読み手は万太郎(神木隆之介)

元気そうに見えて、いざ勝負となると、調子が悪くなってきます。
万太郎は、これまで部屋に花を絶やさなかったことに気づいていました。さすがの注意深さです。花好きでもあるからでしょうか。

タキの「切り花は枯れる」も含蓄あります。野に咲いてる花は、種をつけ、次の命に繋いでいますが、たしかに切って活けてしまうと、その先はありません。ドライフラワーという永遠に残す手もありますが。

そんなタキに、寿恵子は、時々、札をとることを譲ります。タキはその武士の情けに感じいり、万太郎の嫁として認めるのです。

タキは、「お寿恵さん、かわいらしゅうて元気ようてひたむきで」と寿恵子の魅力を端的に語ります。

「末永う、お頼もうします」とタキから託されて、寿恵子が槙野家の嫁を継ぐのです。

晴れて寿恵子が万太郎の嫁と認められ、峰屋の広間で宴会が行われます。いや、甑倒しの行事の宴会に、寿恵子の歓迎会がプラスされたのです。

その夜、ひとり庭先に佇む綾(佐久間由衣)の元へ竹雄(志尊淳)が。
「切り花は枯れる」には死のイメージもあります。
タキがもう長くないと考えて、この先、ひとりでどうしようと悩んでいる綾を竹雄が励まします。

そして、峰屋の従者ではなく、ひとりの井上竹雄として、「あなたをひとりっきりにはせん」告白。
今回の帰郷で、告白しようと思ってビシッとスーツを着てきたのかもしれません。

「草花が好き過ぎる」「酒が好き過ぎすぎる」「槙野姉弟が好き過ぎる」とちょっと令和的なおもしろい言い方をしたあとに、「あなたのことが好きなただの男じゃ」とここだけ「好き過ぎる」ではなく「好き」を使うことで、想いの本気度が伝わります。

長田脚本は明治時代を丁寧に描きながら、時々、令和の現代口調が混ざるのが魅力です。

志尊淳さんは、顔立ちが甘いですが、演技の端々に、骨のある、強さ、たくましさを感じます。内なるゴツゴツしたものに柔らかいベールをかぶっている、そこが不思議な魅力です。

万太郎を寿恵子が、
綾を竹雄が、
支えることになるのです。

綾は、広間に戻って、「酒〜 峰乃月 もってこいや〜」と威勢よく声をあげて、寿恵子と酒を酌み交わしますが、この「もってこいや〜」が
全然、腹から声が出てなくて、無理している感ありました。が、綾は男勝りなわけではなく、ただ酒が好きな女性なのだと思えて、それはそれで個性なのです。

(文:木俣冬)

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