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「ちむどんどん」第93回:もう見ていられない。暢子の200万円が賢秀の違約金に……。


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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第93回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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智はなぜ、暢子を追いかけず店内に

予算より高い家賃の物件を借りることにした暢子(黒島結菜)。
いい物件なのですぐに契約しないとほかの人に借りられてしまう。
ただ、そうするとすぐに家賃が発生するから、なるべく早くフォンターナをやめないとと悩みます。

房子(原田美枝子)
は今月いっぱいで退職していいと許可します。

「辞めていく人間に余計な人件費かけたくないから」とまた裏腹なことを言う房子。
そんなにさみしいなら、早く自分の店を持ちなさいとなぜ焚き付けた……。

「ちむどんどん」の登場人物は、筆者が現実の世界でこれまで出会ってきた、このひとはなんでこういう言動をするのか理解に苦しむという人たちばかりが集まっています。

一番は比嘉家の面々。暢子の無計画に、物件探しだけ先に進めて、借りてからフォンターナを辞める流れも、筆者は独立して店をもった経験がないのでよくわかりません。世の中の若者たちはこんなふうに行き当たりばったりで開業するのでしょうか。

せっかく雪解けした智(前田公輝)が独立の先輩なのですから、もっと前に相談したら良かったのでは……という気もします。智が急に独立時にはいろいろ俺もあった、みたいな話をとってつけたようにします。

懲りない賢秀はマルチ商法に関わって、房子にまで商品を進めにきますが、ピシャリと叱られ、目が覚め、元締めの会社に行くと、我那覇(田久保宗稔)たちもインチキに気づいて文句を言いに来ています。

その頃、和彦(宮沢氷魚)田良島(山中崇)に、賢秀の商売はやばいと聞き、慌ててあまゆへーー。このときの田良島の「ドンピシャー!」が可笑しい。

あまゆでは、暢子が契約金の200万円をびくびくおろしてきたところ(この気持はなんかわかります)、賢秀に違約金が必要だという知らせを受けて、飛び出していきます。

第92回で、和彦が無反応だったのは、第93回で房子が賢秀を叱るためですが、和彦の新聞記者という設定が無視された脚本で、俳優自身も、和彦がここでもうすこし何か見識を述べるセリフを作ってくださいと言いたいのではないかと余計なお世話ですが思います。ただ、手をこまねいていたわけではなく、心配して田良島に聞いていたという流れにはなっているのですが。和彦、自分の知識を使うこともしてほしい。これも、田良島の出番を作るためでしょうけれど。

予定調和にしないことを目標にしているのか、ふつうはこうするだろうということをことごとく外しているのですが、ふつうでいいことはふつうでいいのではないでしょうか。
最たるものが智の行動。暢子があまゆを飛び出していくとき、「暢子!」と追いかけようとしたように見えるのに、追いかけません。そこに、和彦があまゆに来て、暢子が出ていったと聞いて追いかけるときにようやく追いかけるのです。
ふつうなら、暢子を追いかけるけど、そうしないよ〜 ってやる意味は……(和彦が来るからですが)。
当たり前のところを丁寧に積み重ねたすえ、ここぞというところを斬新な展開にするほうが効果的であるというセオリーからもわざと外れていく、果敢な挑戦はいったいなんのためなのでしょうか。

房子、よくぞ叱ってくれた! と視聴者が喜ぶ それがネットニュースになることって、我々の日常生活そのもので、わざわざテレビドラマで観て一喜一憂する意味がありますか。無料の垂れ流しと違って、受信料を集めて多額の制作費でつくったドラマは、お金をかけた分、日常と違うものを見せてほしいです。美しいもの、心が癒やされるもの、学べるもの、心から笑えるもの、ふだん言えないことを代弁してくれるもの……等々。

ほんとうは、日常と違うことがあります。賢秀のような学習能力のない騙されやすい人を、比嘉家や、猪野家の人々はいつでも受け入れてること。その重要性こそ、注目されるべきところなのでしょうけれど、そっちよりも、愚かな行為の連続とそれを糺すことにばかり注目が集まります(そういう描き方をしているから)。

「男手が必要なときに限って」と、年取った寛大(中原丈雄)と娘・清恵(佐津川愛美)がたったふたりで力仕事をしています。賢秀以外に男手は入ってこない。おそらく養豚場はきっと3Kのような仕事と思われて働き手が来ないのではないかと思います。若者がいない過疎の地方の農家のような感じでしょうか。

取り残された場所と貧しい流浪の青年・賢秀の触れ合いを掘り下げると、土曜ドラマみたいになってしまうからあっさりしているのでしょうか。あっさりすると肝心なところが伝わらない。スープ、薄めすぎ。なんです。
「貧しい母親に育てられた哀れな兄妹だ」黒岩(木村了)
ほんとは、ここも強調したい点ではないかと思います。つまり、日本のどこかにいる取り残された人たち。格差社会の実態。そこもはれものに触るように薄味にしているため、なんだか焦点がボケるのです。

それなりのいい具材を使っているのに、間違って化学調味料を大量に入れてしまい、素材の味が消え、ただただ濃い味になったため、水を入れてスープを薄めてしまったというような印象です。料理監修のオカズデザインさんに、こんなとき、どうしたらいいのか聞きたい。


(文:木俣冬)

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