「ちむどんどん」第100回:妊娠中はよくないとされる青パパイアを暢子はなぜわざわざ使うのか
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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第100回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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「ちむどんどん」第100回レビュー
とうとう100回まで来ました、「ちむどんどん」。今日は、井之脇海劇場。彼の表情だけで、ご飯が何杯も食べられる、すばらしい場面がありました。矢作が主人公の朝ドラが見たかったと思うほどです。
食い逃げをゆるされたあと、まだ鶴見でうろついていた矢作を暢子(黒島結菜)が見つけます。
そのあと、銀座のフォンターナへーー
暢子は杉並に引っ越したのに鶴見にいて、そこから銀座へ? 洋食屋の前にしゃがんでいたのでお店が閉まったあとでしょうから、夜も遅いと思うんですが、どういう時間と距離の感覚なのか。
フォンターナで房子(原田美枝子)は矢作に退職金を払います。
そこへ、妻の佳代(藤間爽子)が現れ、やり直そうと励まします。
いい奥さんですね。
それからみんなで沖縄そばを食べ、暢子が店に誘います。
おいしく感じたのは(言葉ではいろいろ言っていたけれどたぶんおいしかったと思う)、矢作がお腹をすかせていたせいもあると思いますけどね。
厨房で待機していたらしき二ツ橋(高嶋政伸 タカハハシゴダカ)が矢作の持ち歩いた包丁を見て、ちゃんと手入れがしてあると褒めます。包丁が和包丁ではないか問題はとくになにもなくスルーでした。
二ツ橋も、ナポリタン作ったり、沖縄そば手伝ったり、イタリア料理シェフなのにねえ……。まあ、いろんな料理の知識を得られて楽しいと思っているかもしれませんけれど。いっそフォンターナは無国籍料理の店だったら良かったのではないかという気がします。
矢作は何かと斜に構えた態度を取りながらも、杉並の店に来て手伝うことに。
暢子が青パパイアのイリチーを手伝ってもらいます。妊娠中は食べないほうがいいとも言われる食材だそうで、なんでわざわざそんな食材を使う……と思いますが、沖縄料理ではたしかによく青パパイアが出てきますから、やむなしということでしょうか。
それにしても油とかじゃんじゃん使う沖縄料理、妊娠してたら気持ち悪くならないのでしょうか。
NHKの「京都人の密かな愉しみ」というドラマではパン職人が妊娠したら、舌の感覚が変わってしまって戸惑うエピソードがありました。沖縄料理は味が濃いし炒めものが多いしそれほど繊細な味付けではない気がするので(失礼だったらすみません)、妊娠しても関係ないのでしょうか。
パパイアを千切りする矢作。ここが見どころです。房子のちょっとイイ話や、夫婦のちょっといいシーンや、二ツ橋のちょっとイイ話などは目じゃありません。
研ぎ澄まされた包丁がまな板にさくっと当たる感触に得も言わぬ喜びを感じ、泣きながら笑顔になる、切る調子がどんどんあがっていき、そのたびに口角が上がっていく。心のなかのくすんだものが包丁によって浄化されていく。いやあ、すばらしい演技にちむどんどんしました。
包丁のいい音をお腹の子供に聞かせる暢子。子供が料理人になりそうですね。
こんなにいい演技をする井之脇さんを、なぜ、ここまでずっと、シンプルな悪役のようにしていたのでしょうか。ギャップを見せたいにしても、もったいなさすぎました。でもきょうも「退職金」「謝る」と房子のセリフを反復させられていてそこはもったいなかったです。
相手のセリフを反復するのは相手と同調するためとも言われますが、物語世界のなかでのそれは、単調な印象を与えますし、会話劇としてのおもしろさに欠けます。俳優もやっていておもしろくないでしょう。いや、楽でいいと思う人もいるかもしれませんが、できる俳優には反復させないでほしい。
さて、今日の和彦(宮沢氷魚)。何もしてないように見えますが、矢作が店に現れたとき、やっぱり警戒心をあらわにして、暢子を守るように立っているのです。暢子はゆるしても僕は油断しないぞという心境を懸命に漂わせる宮沢さん。
渡辺謙さんと舞台で共演したりしているだけあって、なんにもしてないように見えて、伝わる全身表現を行っているのであります。
(文:木俣冬)
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