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2022年08月27日

「雪女と蟹を食う」:涙ながらに思いをぶつけ合う北(重岡大毅)とマリア(久保田紗友)の熱演光る第8話

「雪女と蟹を食う」:涙ながらに思いをぶつけ合う北(重岡大毅)とマリア(久保田紗友)の熱演光る第8話

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

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重岡大毅が主演を務めるドラマ「雪女と蟹を食う」が2022年7月8日より放送を開始した。

冤罪により人生を狂わされた男・北(重岡)が死ぬ前に蟹を食べようと思い立ち、図書館で出会ったセレブ妻・彩女(入山法子)を襲おうと家に押し入る。そこで彼女は思いもよらぬ行動をとり、謎の旅がはじまっていくというラブサスペンスドラマだ。

本記事では、第8話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

「雪女と蟹を食う」第8話レビュー

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

一夜を共にしたかに見えた彩女(入山法子)と巡(淵上泰史)だったが、彩女はうっすら微笑み「やっぱり凡庸ね」と言い放ち、起き上がる。まだ巡がどんな人なのか見えてこないが、「あなたのことが何一つわからない」と発するあたり、1番視聴者に近い気がした。だからこそ“凡庸”なのかもしれないが。

「じゃああなたは、わたしのために死ねる?」と言った黒いワンピース姿の彩女が、一段と綺麗で妖艶で、何かへの入り口がぽっかり開いているみたいだった。入山法子という役者の佇まいの底知れなさを感じて怖くなる。

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

札幌から稚内へ向かうことを決意した彩女。その前に、マリア(久保田紗友)に会うべく教会へ向かった。

コタローのことを話すマリア。秘密主義だし、働きたくない宣言するけど、根はいい奴、放っとけない、必要。
それに応じるように、彩女も北(重岡大毅)のことを話す。ごく普通に見えるけど実はそうではなかったり、頑固で強引なのに気が弱くてよく迷ったり、純粋で誰より優しい。

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

コタローと北の共通点は“名前すら明かしてくれない”こと。マリアはコタローこそが彩女の探している北だと勘づいただろう。そしてたぶん彩女も、マリアが勘づいたことに気づいてる。同じ男を必要としている2人。

その頃、マリアの家で物思いにふける北。マリアとの未来を想像していた。子どもを膝に乗せ、食卓を囲む幸せそうな画だ。そんな人生もある、そう考えられるようになっただけ、北は随分と変わった。

マリアに呼び出され、マリアの店の面々とジンギスカンランチを楽しむ北。彼らはもう、北のことをマリアの彼氏として扱っていた。まだ迷いがある北にとっては、この場所はさぞ居心地が悪かったことだろう。彼らがいい人たちで、マリアの純粋な想いを感じているからこそ、なおさら。

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

マリアを手伝うように言われ北が店へ行くと、そこにはドレスアップしたマリアがいた。命の恩人だからともてなしたかったらしい。ちょっと唐突だけど、こういう行動もマリアのかわいさの理由のひとつ。

改めて「ここで一緒に働かないか」と誘うマリア。しかし、北の顔はどんどん暗くなる。コタローをヒーローだと言い、これからの話をしようとしたマリアを「違う」と遮った。「俺はヒーローじゃない、俺は……」と言いかけた北の手を握り、ススキノに残ってほしいと明言するマリア。しかしそれを北は拒む。

そしてついに、自分の過去を打ち明ける。冤罪から土砂崩れのように失った“普通の日常”、周りの目が北を犯罪者だと追い詰めていく、あの忌まわしい光景。言葉を詰まらせながら、人妻を襲ったことまでを告白していく。自分への嫌悪が止まらないというように、涙とともに気持ち悪さがせり上がってきているようだった。

しかし、それでもマリアは「過去のことはいい」と北を引き留める。それでも心中するのだという北に「コタローは今、死にたいほど苦しいの?」と食い下がるマリア。北は核心を突かれたはずだ。今の北は、死など本心からは願っていない。

マリアも、子どもをおろして何度も何度も死のうとした過去を告白する。「あのときここにいたことをわたしが覚えてなきゃ。忘れてないよって伝え続けなきゃ。この子はわたしの光なの」。

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

「一緒に心中しようって誓った人を1人で死なせるような男はヒーローじゃない」と言った北。それってあまりにも悲しすぎるヒーローじゃないかと思った矢先、北は「彼女の死を止める」と明確に宣言した。これまで散々迷いながらも、どうしても死へいざなわれてしまっていた北が、生きることに前向きな言葉を口に出してくれた。安堵した。

マリアは、教会で会った彩女のことを話す。彼女がずっと“北さん”という人を待っていたことも。「早く行って」と言えるマリアの強さは、コタローを本当に好きになっていたからこその強さだった。強くて優しくてたくましくて愛嬌があって、そして人のことを心から思えるマリアの幸せを願いたい。

彩女からマリアへ、マリアから北へと繋がった「斜陽」を持って教会へと走る北。果たして、そこに彩女はいるのだろうか……?

今回、北とマリアが思いをぶつけ合うシーンに強く胸を打たれた。それはありのままの思いを、包み隠すことのない本心を、ちゃんと見せた上で言葉を投げかけていたからだろう。北と彩女も、そんな風になれるといいのだが。まずは2人が教会で出会えていることを願いつつ、第9話の放送を待ちたい。

(文:あまのさき)

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