「鎌倉殿の13人」第35話:暴走する時政とりくに、近づく悲劇の予感
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2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。三谷幸喜 脚本×小栗旬 主演で描く北条義時の物語。三谷幸喜曰く「吾妻鏡」を原作としており、そこに記されきれていない部分を想像と創作で補い、唯一無二のエンターテイメント大作に仕上げているという。
本記事では、第35話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「鎌倉殿の13人」第35話レビュー
この苦しみを、誰に向ければいいのか。鎌倉に、実朝(柿澤勇人)の妻となる千世(加藤小夏)が京からやってきた。しかし、本来、千世を連れて帰るはずだった北条政範(中川翼)の姿はない。京で亡くなった。
最愛の息子の死にりく(宮沢りえ)は深い悲しみにふける。そんなりくに、娘婿の平賀朝雅(山中崇)が畠山重忠(中川大志)の息子・重保(杉田雷鱗)が毒を盛ったのでは、と吹き込む。畠山は北条に恨みを持っている、と。しかし、実際に毒を盛ったのは平賀。重保は、平賀が毒を受け取るところを目撃していたのだ。
りくはこれを聞き、怒り狂う。畠山を討つべし、と。畠山家が恨みを晴らしたいのなら、正々堂々と討とうとするだろう。畠山重忠は、「坂東武者の鑑」と言われた人なのだから。
りくの言葉を受けて、北条時政(坂東彌十郎)はいきり立つ。この人は結局、りくが一番なのだ。義時(小栗旬)や時房(瀬戸康史)が必死になって説き伏せようとしても、りくの言葉でコロッとひっくり返る。どうしてそうなってしまったんだ、と拳を握ってしまうが、時政の本質は変わっていない。時代が変わったのだ。
一方、実朝は結婚に良い思いを抱いていなかった。もやもやとしたものを発散するため、泰時(坂口健太郎)を伴って和田義盛(横田栄司)の屋敷に赴く。前回、八田知家(市原隼人)らと訪れたときのことが楽しかったのだろう。
そんな実朝たちを連れて、義盛は歩き巫女(大竹しのぶ)の元へ訪れる。歩き巫女は泰時に向かって「双六が苦手だろ」という。小さいときから双六をすると具合が悪くなる泰時。もしかして、本当に上総広常(佐藤浩市)の生まれ変わりなんだろうか、「武衛」と泣いていたし。
実朝には「雪の日は出歩くな。災いが待っている」という。実朝は雪の日に殺されたというが、果たして。
和田家ですっかり夜更かしをしてしまった実朝。
御所に帰ってきた実朝に時政が近づく。畠山討伐のための文書に花押をもらうためだ。何が書いてあるかを隠し、花押だけを……中身を確認しなきゃダメだよ、実朝……と思うが、実朝にとってはきっといいおじいちゃんなのだろう。それに、夜更かしをして帰ってきて、みんなに心配をかけたばっかりだ。逆らうこともできなかったのだろう。
しかし、もし、自分の花押のせいで、畠山が討たれたとしたら、実朝はどれだけ心に傷を負うことになるか。
賄賂をもらって融通したり、こうやって騙して花押をもらってしまうところが本当に田舎というか、時代遅れというか、執権をやっていていい人ではないことは確かだ。
義時は、どうにか回避できると思っているが、重忠はそう思ってはいないようだ。戦は、起こる。そのときに、義時はどうするのかと問う重忠。
義時は答えられない。時政につくしかないからだ。それでいい、という重忠。が、「本当に鎌倉のためを思うなら、あなたが戦う相手は」と言う。そして、「あなたは分かっている」とも。義時が戦う相手は、重忠ではなく、時政だ。
中川大志が演じる畠山重忠が本当にすごい。柔らかな空気をまといながら、腹を括ったときのすごみ。
そして、美しい。ここに来て、その美しさが際立っている。
頭も良く、きっと未来の鎌倉を義時とともに支える人だったはずだ。そんな未来は、来ない。
次回、「武士の鑑」。
(文:ふくだりょうこ)
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