続・朝ドライフ

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2022年10月20日

「舞いあがれ!」第14回:もうアカン からが本番 

「舞いあがれ!」第14回:もうアカン からが本番 


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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。

本記事では、第14回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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大人も子供もものづくり


見ていて気持ちがいいのは、飛行機ができていくところを順を追って見せてくれているところ。翼の骨になる竹ひごがゆっくりとカーブして、それを組み合わせて、じょじょに翼になっていく。竹ひごをきれいな弓なりにする方法もお父ちゃん(高橋克典)が示してくれます。省略しがちな部分をちゃんと見せてくれることに安心します。

またいいのが、子供の視点で飛行機を、大人の視点でネジを作る場面が交互に出てきて、子供も大人もものづくりをしていることです。

日本は昭和の頃、技術力で世界に名を馳せていました。なぜ、それができたのか、この丁寧で誠実な取り組みから感じられるような気がします。”ものづくり”というものを打ち出さないといけない大人の事情もあるような気がしますが、不誠実な作り方をすればセリフにものづくりが大切だ、みたいな漠然としたセリフを登場人物に言わせてお茶を濁すところ、「舞いあがれ!」では登場人物たちのものづくりへの情熱にフォーカスします。大人の事情を飲み込んだうえで物語に組み込む、それがものづくりする者の矜持でしょう。

さらにまたいいのが、ものづくりのプロフェッショナルだけど、万能ではないことです。
矜持も腕もあるし、義理と人情も人一倍、でも、納期が足りないと無理。それでもなんとかやろうとする。そういう流れは視る者を勇気づけるのではないでしょうか。少なくとも筆者はそういうのが好きです。

古書店デラシネの壁に、格言みたいなことが書いて貼ってあって、その真ん中に「もうアカン からが本番」とありました。まさにそれ。

子供の世界にも人情があります。舞(浅田芭路)は、望月久留美(大野さき)を秘密基地・古書店デラシネに誘います。「秘密基地」という言葉がいいですね。大人の世界では「たまり場」とも言いますが、子供の世界なら「秘密基地」がいい。望月さんのお父さん・佳晴(松尾諭)の事情を聞いて、望月父を励ますために、一緒に飛行機を作ろうと誘います。

飛行機づくりをしながら、望月さんを久留美ちゃん呼びに変わります。つい気安くなって躊躇する舞と、はにかみながら、その呼び方を受け入れる久留美。この気遣いがたまりません。


【朝ドラ辞典 幼馴染(おさななじみ)】

朝ドラの主人公には幼馴染が不可欠。子供時代から描くことが多いので、子供時代、一緒に過ごした友達が主人公の人格形成に大きな影響を与えていく。大人になってもその友情が続いていくことが多い。視聴者の共感ポイントのひとつ。幼馴染が男の子の場合、ヒロインの相手役になることもあればならないこともある。

【朝ドラ辞典 たまり場(たまりば)】
 
 家族以外の登場人物が一同に介する場として、たまり場が朝ドラには必要不可欠。
喫茶店率が高い。スナック、飲食店等、その都度手を替え品を替えしている。

関連語:お茶の間、秘密基地

(文:木俣冬)

木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中

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