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2022年11月28日

「エルピス」第6話:斎藤(鈴木亮平)が選ぶのは、恵那(長澤まさみ)か、権力か?

「エルピス」第6話:斎藤(鈴木亮平)が選ぶのは、恵那(長澤まさみ)か、権力か?


長澤まさみ主演の“月10”ドラマ「エルピス—希望、あるいは災い—」が2022年10月24日放送スタート。

本作は長澤演じるスキャンダルで落ち目となったアナウンサーと若手ディレクターらが連続殺人事件の冤罪疑惑を追いながら、“自分の価値”を取り戻していく社会派エンターテイメント。共演は鈴木亮平、眞栄田郷敦ら。

本記事では、第6話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「エルピス—希望、あるいは災い—」第6話レビュー

松本(片岡正二郎)を逮捕するきっかけとなった目撃証言は、金のためについたウソだった。

西澤正の元妻による証言が、深夜バラエティ「フライデーボンボン」で特集されるや否や、世間は大混乱。岸本(眞栄田郷敦)が掴んだとっておきの“一発逆転ネタ”が、停滞した状況を一気に動かしたのだ。

村井(岡部たかし)が強行突破したこともあり、いよいよ報道部も黙っちゃいられない状況である。松本が冤罪かもしれない、このネタを扱わないわけにはいかないと、恵那(長澤まさみ)の古巣である「ニュース8」で本格的に取り上げることになった。

しかし、事態は良い方向ばかりには流れない。

これを機に、身の危険を感じた西澤本人は逃亡。彼から新たな証言を取ることは、難しくなってしまった。つまりそれは、松本の冤罪を晴らすための新たな捜査も、厳しくなってしまったことを意味するはず。

「この事実を、いかに正しく広く視聴者に伝えるか」……恵那のポリシーは立派だが、正しいことをする者は常に矢面に立つことになる。社会はそういう風にできていると、痛感させられる。

そして、本格的に権力に盾ついたフライデーボンボンは打ち切りに。村井は子会社へ左遷、岸本は経理部へ異動になってしまった。

せめてもの救いは、恵那がニュース8に返り咲いたことか。

熱愛スキャンダルでニュース8を降板になった恵那としては、どんな流れであれ、報道番組に戻れたことは快挙だろう。「アナウンサー」という枠に逃げ込まず、自身の責任から逃げ出さなかった報いが、しっかり返ってきたとも解釈できる。

しかし、報道畑に戻ったことによって、彼女には時間と気力の余裕がなくなった。

これまでのように、岸本と一緒になって、松本冤罪事件を調べることはできないだろう。彼女もまた忙しさの波にのまれ、斎藤(鈴木亮平)のように「大事なことを忘れ」てしまうのではないか?

そう、厄介なのは斎藤なのである。

銀座の寿司店で、そっと恵那に指輪を渡す斎藤。確か前回くらいで、左手薬指に指輪をしている恵那の姿が見られたので、陰でちゃんとプロポーズしていたのか……と思いきや。

「大事なことを、絶対に言葉にしない」

と、きたもんだ。このシーンを目撃した8割強の方には同意いただけるはずだが、言葉にするのを億劫がる人間をパートナーに選ぶとロクなことがない。

大門副総理と濃いめに繋がっている斎藤は、松本の件が明るみに出るや政治部官邸キャップから退いた。上司からの「大門さんのところに行くのか?」の問いには明確に答えなかったが、その直前に、自ら別れを告げるメッセージを恵那に送っている。

これは、もう、そういうことだと思って間違いないのかもしれない。

大事なことは言葉にしない。それなのに、別れの言葉はしっかり文面にして送りつける斎藤。せめて直接会って、顔を見ながら言ってほしいとも思うが……メッセージだけであれだけ過呼吸気味になってしまう恵那には、それは酷なことなのかもしれない。

斎藤が選ぶのは、恵那か、それとも権力か。

(文:北村有)

「エルピス」インタビュー「CINEMAS+ MAGAZINE」にて掲載中!


「エルピス—希望、あるいは災い—」岸本拓朗役の眞栄田郷敦、脚本・渡辺あやらのインタビュー掲載の「CINEMAS+ MAGAZINE no.01」、現在絶賛発売中です。

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