「君の花になる」第8話:弾(髙橋文哉)の不用心な行動がなる(宮世琉弥)の思慮深さを際立てる
本田翼主演のドラマ「君の花になる」が2022年10月18日放送スタート。
本作は挫折した元高校教師の主人公・仲町あす花が、7人組ボーイズグループ“8LOOM(ブルーム)”の寮母となり、一緒に“トップアーティストになる”という夢を追いかけていくオリジナルストーリー。主人公を本田翼、個性豊かなイケメン7人組を高橋文哉、宮世琉弥、綱啓永、八村倫太郎、森愁斗、NOA、山下幸輝が演じる。
本記事では、第8話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
「君の花になる」第8話レビュー
8LOOMの進化が止まらない。
「君の花になる」第8話は、TBSの音楽番組「CDTV ライブ! ライブ!」とコラボした8LOOMのライブシーンからスタート。弾(髙橋文哉)が作った新曲「forever or never」の、もどかしい恋心を歌った大人の世界観を歌とダンスで表現する8LOOMのパフォーマンスは瞬く間に話題となる。
「8LOOMYたちのおかげだな」「8LOOMYあっての8LOOMやな」
楽屋でメンバーたちがファンへの愛を覗かせる中、ひとり浮かない顔をしていたのが、なる(宮世琉弥)だ。
「俺、アンタが好きだ」と弾があす花(本田翼)に告白する場面を目撃してしまった、なる。元々なるは弾のあす花に対する思いに気付いており、それを焚きつける場面もあった。だが、周りの目も気にせずに突っ走る弾を見て、危機感を覚えたのかもしれない。
弾は、あす花と“花丸”を与え合う、つまり励まし合うだけの関係性と主張する。だけど、それが周りも理解してくれるとは限らないのだから、絶対に気づかれないようにしなきゃいけないという、弾へのなるのアドバイスは全くもってその通りだ。
にもかかわらず、弾は自分の行動を顧みることはなく、ついには他のメンバーにもあす花との密会現場を目撃されてしまう。ここでも自分にとっていかにあす花の存在が必要不可欠で、力になっているかを熱弁する弾。
他のメンバーはそれを聞いて納得するが、じゃあ冒頭でその存在のありがたさを実感していた8LOOMYたちはどう思うのだろう。確かにファンからは推しのプライベートは見えない。だけど、推しの頑張りが好きな人への思いによるものだってファンが気づいてしまったら?
まだ、そこにまで思いが及ばず、みんなが弾を応援する光景を、唯一なるだけは複雑な思いで見つめる。その思慮深さはきっとグループの力になる。だけど、本人はどこかで自分だけが役に立っていないと感じていた。
それはメンバーの個人活動が増え、それぞれのキャラクターが際立ち始めたのもある。現役大学生の栄治(八村倫太郎)は積極的なクイズ番組への出演により知的キャラを確立。
天然なところもある有起哉(綱啓永)は対照的に番組を盛り上げるファクターとなりそうだ。巧(NOA)も食レポでお茶の間の人気を集めているようだし、バンド経験が歌の方面でも活かせそう。
宝(山下幸輝)と竜星(森愁斗)はダンスコンテストに出場し、グループの振り付けにも今は携わっている。楽曲制作を一身に請け負っている弾は言わずもがな、みんな何かしらの特技と個性を持っている中で、なるは「自分だけ何もない」と感じていたのだ。
そんな、なるにまずは“好きなこと”を見つけるところから、と的確なアドバイスをするあす花。元高校教師だけあって、進路に悩む若者を導くのがうまい。
おかげで映像編集への興味に気づけたなる。8LOOMのPVをプロデュースことになり、自己否定感から脱却することができたようだ。あす花にも感謝を示し、ずっと自分たちの寮母でいてほしいと願う。弾とあす花のスキャンダルが世間に明るみになるまでは……。
寮内で二人の時間を過ごすまではまだ良かった。でもあろうことか、PVの撮影中に“花丸”を与え合っているところをスクープされてしまった二人。ここまで積み重ねてきた8LOOMと8LOOMYの絆は一気に崩れ去ってしまう。
こうなることが予想できなかったこともあるまいに。なるに注意されて、それでも他のメンバーにバレてしまった時に弾は気づくべきだった。
「これまでのあなたの言動、曲、その全てをこのニュースに絡めて、勝手に解釈され、拡散されていく。8LOOMも仲町さんも貶められていくのよ」
香坂(内田有紀)にそう言われて、ようやく自分の身勝手な行動がメンバーにもあす花にも迷惑をかけたことを実感した弾。だけど、今の時点で弾自身ができることはない。責任を取るのは事務所のスタッフや、あす花たち大人だ。
そんな中で自らあす花に「寮母をやめてほしい」と告げにいったなる。彼がマスコミにリークしたと思わせる場面もあったが、多分それはミスリードだろう。グループのために何ができるかを常に考えている彼のことだ。今は弾にとっても、あす花にとってもそれが最善だと判断したのだと思う。
ここから8LOOMはいかにファンからの信頼を取り戻していくのか。その中で弾の成長が見られたら嬉しい。
(文:苫とり子)
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