インタビュー
【来日会見】『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』ジェームズ・キャメロン監督が「I SEE YOU」に込めた意味とは
【来日会見】『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』ジェームズ・キャメロン監督が「I SEE YOU」に込めた意味とは
2022年12月16日(金)公開の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の来日記者会見が行われた。
登壇者は、監督のジェームズ・キャメロン、プロデューサーのジョン・ランドー、出演者であるサム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーバー、スティーヴン・ラング。都市型水族館「マクセル アクアパーク品川」で実施され、イルカのショーも楽しまれていた。
シガーニー・ウィーバーは「私が生涯で見てきたショーの中で一番だと思います」と、ジェームズ・キャメロン監督は「映画のために世界各地を回ってきましたが、イルカのおかげで笑顔になったのは初めてです」とショーを賞賛した。
さらにキャメロン監督はロンドンでのプレミアをはじめ『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』に絶賛の声が続々と届いていることを受けて「1作目のファンが期待されることと、それ以上のことも喜んでいただけたらと思います」と自信を語る。さらに映画の見どころや奥深さを語る場になったので、その中でも特に重要な要素をまとめていこう。
子どもを交えた「家族」の物語に
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は、2009年に公開された『アバター』の13年ぶりの続編。その現実での時間経過に合わせたかのように、劇中でも約10年後の物語が描かれる。惑星パンドラの一員となった元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)は、ナヴィ族の女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と家族を築き子どもと暮らしていたのだが、その地に再び人類が現れ平和が脅かされることになる。つまり、今回は子どもを交えた「家族」の物語が描かれることになる。このことについて、サム・ワーシントンは「若い人たちの目を通したストーリーを体験してほしい」と告げ、ゾーイ・サルダナは自身に子どもが生まれたことを受け「母親になる前は恐れを知らなかったが、今では自分より深く愛する子どもに何があったらどうしようと、とても恐れている」「この映画もそうした親心が描かれていることも含め、とてもエモーショナルな作品になっている」と語った。
シガニー・ウィーバーが「14歳の少女」を演じる
今回の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』では、1949年生まれで現在73歳のシガニー・ウィーバーが「14歳の少女」を演じていたことが報道されている。前作ではウィーバーは人間であるグレイス博士を演じていたが、今回は主人公夫婦の養女である「キリ」という名のナヴィ族の少女として登場するのだ。ウィーバーは「私だけでなく、全ての俳優が、パフォーマンスキャプチャーという素晴らしい技術で、どんな役でもできるようになった」ことを踏まえ「両親にとって頭痛の種になる存在で、自分の14歳の頃を思い出しながら演じた」「キャラクターのエッセンスを演じることに注力した、非常にチャレンジングな役だった」と振り返った。
シガニーはこの役を演じるまで3〜4年ほどの準備時間があったため、14歳くらいの子どもたちを授業の様子も含めて観察し、その声にどれだけ幅があるのかなど、研究を重ねていたらしい。また14歳の少女を演じることに開放感があったため、撮影現場に行くのが楽しくって仕方がなかったのだそうだ。また、自身が演じた少女キリは、先ほどのイルカのショーをきっと大いに楽しんだでしょう、とのこと。
悪役が象徴するのは「暗闇」、注目すべきは「表情」
悪役であるマイルズ大佐を前作から引き続き演じるスティーブン・ラングは、「主人公のジェイクたちが光であるなら、私が演じる役は暗闇を象徴している」「光があるからこそ暗闇があり、暗闇があるからこそ光がある。このふたつがどのように作用していくかということも含め、この冒険を楽しんでほしい」と語った。また、プロデューサーのジョン・ランドーは、今回もっともチャレンジングだったことは、「表情」だったと語った。最高峰のキャスト陣の演技と、最新鋭の技術も組み合わさった、キャラクターの豊かで細かな表情の変化にも注目だ。
ちなみに、記者会見では質問へ「YES」「NO」のどちらかで答える場面も。「過酷な水中の撮影のために役を降りたいと思ったことがあるか」という問いに出演者たちは満場一致で「NO」。サム・ワーシントンが演じていて楽しかったことを「YES」のパネルで示す一幕も。大変ではあるだろうが、同時に楽しそうな撮影現場の様子が伝わってきた。
キャメロン監督の海への敬意と愛
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』では、美しい海の光景がいくつも登場する。その他の映画でも「海」や「水」を表現することが多いキャメロン監督は子どもの頃から海が大好きで、17歳の頃からスキューバダイビングを初めてから何千時間も海の中で過ごし、美しい海の中の日の光や、美しい色彩を楽しんでいたことも語った。さらに、潜水艇で深海への有人探査をして海底火山を見たこと、世界最深の場所(マリアナ海溝)まで行ったことについて「私の好奇心の探究は始まったばかり」とまで答えた。
そのように海への敬意と愛を語るキャメロン監督は、こう続けた。「私たちの世界の海は本当に美しいものですが、時としてそこから離れて、そのありがたさや素晴らしさを知ることが大切です。だからこそ、ファンタジーやSF作品として、そのことを考えられるように、伝えることができればと考えています。この映画を観て、どこにあるのかないのかわからない惑星ではない、私たちの住む地球というその場所について考えていただければと思います」と。
前作『アバター』も侵略や破壊行為などの人間の歴史上繰り返された問題が描かれていたが、今回も同様に我々が海の環境問題へさまざま想いを巡らせる内容になっているのだろう。今回の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』では「“地球の海”を守るキャンペーン」が実施されており、キャスト陣が世界に呼びかける特別映像も公開されているので、ぜひ観てみてほしい。
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「I SEE YOU」に込められた意味
キャメロン監督は、「素晴らしい質問をありがとうございます」と感謝を告げた。それは、公式SNSでの1名だけの「質問権」に当選した、一般のファンからのものだった。その模様をお届けしよう。ーー(前作『アバター』の劇中にあり、今回の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の予告編にもある)「I SEE YOU」というセリフが大好きです。英語の「SEE」には、知覚としての「見える」と、「認識または理解する」の両方の意味があるようなので、このセリフには、相手の心、物事の意味、見えない部分も深く見つめるという意味があると私は捉えています。監督はどのような意味を、「I SEE YOU」に込められているでしょうか。
ジェームズ・キャメロン監督 本当に深くご理解していただいていますし、ご指摘いただいた通りのことを描いています。まず、私たちの「つながり」を「I SEE YOU」は表しています。私たちは知的であり、お互いに感情移入、共感できる存在なのですから。
前作『アバター』でネイティリがジェイクに「I SEE YOU」と言ったのは、「今あなたをもっと理解できている」「今まで理解できないことをできていること」を伝えたかったからです。さらに掘り下げると「I LOVE YOU(愛している)」の意味もありますね。
今回の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』では、海や動物たち、別の種族とのつながりも描かれています。「Tulkun」という、非常に知的で感情のある、意思疎通のできる生き物が出てくるのですが、そこでの「I SEE YOU」はシンプルに「あなたの目の前にいる」ことを告げていますし、同時に「おはよう」的なあいさつでもありますし、また「理解する」という意味合いを込めています。
そして人は人生において、特にコミュニティや家族の中で、見られたい、認識されたい。理解してほしいと願う生き物です。だからこそ、私は「I SEE YOU」という言葉であり概念を、ある種のコンセプトとして、異なる状況や場所で使っていきたいですね。
『アバター』シリーズは3・4・5作目の構想がすでにある。ジェームズ・キャメロン監督によると、今回のように前作から13年も待たせることはなく、2年ほどのスパンでさらなる続編を世に送り出していきたいとのことだ。新たな物語の始まりを、ぜひ劇場でご覧になってほしい。
(文:ヒナタカ)
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