「PICU」最終回:「どうか、生きて。」奇跡のラスト。出演者の見事な演技力にやっぱり最後も涙だった。
27歳の小児科医、志子田武四郎(吉沢)が、子どもたちの生死を分ける過酷な「PICU」で奮闘する。共演は、安田顕、木村文乃、高杉真宙、大竹しのぶら。
本記事では、最終話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「PICU 小児集中治療室」最終回レビュー
吉沢亮主演のドラマ「PICU 小児集中治療室」が最終回を迎えた。1話の冒頭から大きなショックを受けた物語だっただけに、どんな風に最終回を迎えるか気になっていた。
録画してあった第1話を改めて観てみると、主人公の志子田武四郎(吉沢亮)の成長は明らか。
どこか卑屈でデリカシーのない若い医師は、植野元(安田顕)という偉大な医師や難病で苦しむ子ども達と出会い、大きく成長した。
このドラマに強く惹かれた理由を考えてみた。
ドラマにありがちな無茶苦茶で派手な展開はなく、むしろ淡々と小児医療に向き合う無骨さが良かったように思う。
一言でいうならば“緩急のバランス”が最高だった。
若くて不器用な医師が必死に生きる姿、その姿を支える母や仲間、先輩医師たちの言葉に毎回ぐっとくるものがあった。
メッセージ性がある作りも視聴者の胸に刺さったのかもしれない。
主演の吉沢は、大河ドラマ「青天を衝け」の渋沢栄一役を経て、すでに演技力はお墨付きではあったが、さらにもう一段上のステージに上がったように感じた。
1人の視聴者がなにを上から目線で…と怒られてしまうかもしれないが、今は吉沢亮という役者が筆者にとっては尊くて仕方がない。
武四郎の周りの医師たち、幼なじみの悠太(高杉真宙)、同僚の綿貫(木村文乃)らもそれぞれが抱えていた闇を開放し、最後は生き生きと職に精を出していた。
北海道出身の安田顕もこのドラマには絶対に必要だった。
彼の口から発せられる北海道の小児医療の現状は、常に重みがあり、リアリティーがあった。
また、脇を固めた今成(甲本雅裕)や浮田(正名僕蔵)、東条(中尾明慶)、看護師の羽生(高梨臨)らの存在もドラマに重厚感を与えてくれていた。
彼らを見て、医療とはチームワークあってこそだとよくわかった。
最終回の中で今成がPICUを辞めると言い出した植野に対して
「植ちゃんはさ、いつも自分で抱えちゃうけど、分け合ってよ。その荷物をさ」
というセリフがあったが、まさにその通り。
医師であっても一人の人間。苦悩もあるとは思うが、困った時は周りの人に助けを求めてほしい。
瀕死の女児に悠太がかけた「生きてるとね、絶対にいいことあるから」という言葉も、まさに今、生きることに未来が見いだせない人の胸に届くといいな……。
武四郎が懸命に治療に当たっていた圭吾(柊木陽太)が奇跡的な回復をみせ、元気な姿で武四郎と夢を語るシーンはジーンときた。
派手に視聴者を泣かす演出もできたかもしれない。
しかし、笑顔の二人が静かに夢を語り合う姿がこのドラマの醍醐味なのだと思う。
ラストは、武四郎の家で悠太、桃子(生田絵梨花)と舞(菅野莉央)が鍋を囲むシーン。
両親を亡くした武四郎だが、いつまでも大事な仲間に囲まれ、北海道中の子ども達のことを助け続けていくことが想像できた。
たった4人のスタッフから始まったPICUだが、これからも定期的に武四郎の成長や、その時代の医療の問題点を取り上げ、紡ぎ続けて欲しい。
本当に素敵なドラマをありがとうございました。
出演者や制作陣に多くの学びと感動を与えてくれたことに、心から感謝をしたい。
(完)
(文:駒子)
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