続・朝ドライフ

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2022年12月26日

「舞いあがれ!」年末年始に実家の危機エピソードで視聴者もやもやの<第61回>

「舞いあがれ!」年末年始に実家の危機エピソードで視聴者もやもやの<第61回>

2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。

本記事では、第61回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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【朝ドラ辞典 年末年始(ねんまつねんし)】

年間、毎日、月から金まで(土曜日は総集編)を放送している朝ドラだが、年末年始だけ少し一週間ほど休みになる。「舞いあがれ!」も年末は28日水曜日まで。
通常、週5ないし6回単位で物語が構成されているが、年末だけは回数が減ることがある。「本日も晴天なり」(81 年)のアンコール放送(22年BSプレミアム)ではその週単位感を守り、あえて75回までで一旦休止し、翌週76回を放送するという当時の放送に準拠した区切りで放送した。75回と76回の間に時代が飛ぶからというのもあるだろう。


第13週「向かい風の中で」は浩太(高橋克典)が倒れ、舞(福原遥)は急遽五島から東大阪に戻ります。お正月休みに入るこのタイミングで、年末年始もやもやしたままだったらどうしようかと思いました。なにしろサブタイトルが「向かい風の中で」です。向かい風、うっとおしいですね。でも浩太は胃潰瘍で、一週間ほどで退院できます。

入院中の浩太は元気そうで、浩太がいつも自分の心境を記しているノートの素朴な言葉を舞が音読し「声だすな」と恥ずかしがる浩太の場面などはほっこりしました。ここで注目は、浩太も思いを言葉にして綴っていることです。貴司(赤楚衛二)朝陽(又野暁仁)のように。

浩太は明るく社交性のある人物ではありますが、それでもなお自分の夢やアイデア、ちょっとした思いをノートにたくさん書いています。思いが溢れすぎて書き出さざるを得ないのでしょう。“言葉に記す”は「舞いあがれ!」の密かな通奏低音な気がします。

浩太の病状にはとりあえずホッとしましたけれど、IWAKURAの経営危機は変わりません。舞も家の事情を知らされます。社員の給料も貯金から出している状況だそうで……(貯金いっぱいあるんですね)。たぶん、浩太の明るさは無理して元気に振る舞っているのでしょう。いつも以上に声が高く明るかったので。だからこれからも心配ごとは続くでしょう。どこかからの電話に出ない章(葵揚)の態度も気になります。

それにしても、舞はお父さんっ子。めぐみ(永作博美)と話すときより浩太と話しているときのほうがのびのびと楽しそう。朝ドラでは母と娘の絆を手厚く描くことのほうが多いので珍しいシチュエーションです。それは同性ゆえの愛憎も込みなときもあって、父と娘のほうが気楽でいられるということもあるもので、舞と浩太の形もある種のリアリティがあるように思います。

一方、父と息子の関係は難しい。リーマンショックを予言した男・悠人(横山裕)が見舞いに来ますが、浩太に手厳しいことを言ってさっさと帰ってしまいます。男性主役の朝ドラでは「エール」のように父と息子の関係も描かれることがありますが、女性主役で、父と息子をしっかり描くのは珍しい。
今後の浩太と悠人の関係も注視していきたいです。

(文:木俣冬)

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