ドラマ好きライターが選ぶ、2023年冬ドラマ注目作8選


どういう設定?一風変わったストーリーに期待

◾︎よしながふみの名作を全ドラマ化「大奥」


個人的に最も楽しみなのが、NHK総合で放送される「大奥」だ。2021年2月に完結したよしながふみの同名コミックを実写ドラマ化。以前にもTBSテレビを中心とした製作委員会によるプロジェクトで、全3作にわたり一部映像化されたが、全19巻を映像化するのは今回が初となる。

「大奥」は、江戸幕府3代将軍・家光の時代に若い男子のみが感染する病が流行り、男性の人口が女子の1/4にまで激減。将軍職を含め、あらゆる家業が女性から女性へと受け継がれるようになったパラレルワードを描いたSF時代劇だ。斬新な設定だが、“鬼才”としか言いようのない、よしながふみの史実と創作を織り交ぜた巧みなストーリー構成力に「こっちが本当の歴史なのでは?」と思わされるほどのリアリティがある。

現時点で実写化反対の声が少ないのは「JIN-仁-」や「義母と娘のブルース」など原作ものでヒットを飛ばしてきた森下佳子が脚本を手がけるという安心感もあるだろう。徳川吉宗役の冨永愛、加納久通役の貫地谷しほり、春日局役の斉藤由貴など、すでに発表されているだけでも解釈一致のキャスト揃いだ。時代劇に抵抗がある人も、どうか初回の放送だけでも観てみてほしい。

(2023年1月10日から毎週火曜よる10:00〜/NHK総合)


◾︎忍者夫婦の斬新なラブコメ「忍者に恋は難しい」

フジテレビ系木曜ドラマ枠で新たにスタートするのが、「忍者に恋は難しい」。フジテレビゴールデン・プライム帯ドラマで初主演を務める菜々緒がなんと、“女忍者”を演じる。前番組「silent」との温度差で風邪引きそうだ。

物語の舞台は現代だが、菜々緒演じる薬剤師の草刈蛍は古来より伝統の続く甲賀忍者の末裔で、普段は正体を隠して暮らしている。一方、鈴木伸之演じる蛍の夫もまた伊賀忍者の末裔なのだ。かつて伊賀と甲賀は敵対関係にあったが、二人はそれを知らずに結婚。だが、ラブラブなのは最初だけで夫婦仲が覚めきっていたところへ、それぞれに特殊任務が舞い込むというストーリーが展開される。

泥棒一家の娘と警察一家の息子の恋を描いた「ルパンの娘」を思い出した人もいるのではないだろうか。それもそのはず、どちらも原作が横関大の小説だからだ。今回もロミジュリ的な話ではあるが、夫婦が忍者同士だけど敵対する組織に所属するという、分かり合えそうで分かり合えない関係性が新しい。菜々緒と鈴木伸之が演じるスタイル抜群、ビジュアル最強の夫婦も観ているだけで目の保養になりそうだ。

(2023年1月5日から毎週木曜よる10:00〜/フジテレビ系)


◾︎武装集団は誰が演じる?早くも話題の櫻井翔主演「大病院占拠」


櫻井翔が2021年の「ネメシス」以来、2年ぶりの連ドラ主演を務める本作の設定もかなり尖っている。舞台は、鬼の面を被った謎の武装集団によって占拠された日本が誇る大病院。理由もわからず、医師や職員たちが人質になる。そんな中、とある事件がきっかけで休職中だった櫻井翔演じる捜査官の武蔵三郎が、人質を救うために犯人に立ち向かっていくというストーリーだ。

今回、2019年と2021年に放送された「ボイス 110緊急指令室」の制作チームが集結。110番・緊急指令室を舞台にした同作について思い起こされるのは、シーズン1と2のどちらも黒幕の存在が終盤まで伏せられていたこと。今回も人質のキャストは発表されているが、武装集団のキャストは現時点で誰一人として明かされていない。公式SNSは鬼の面で隠された彼らの写真とともに年齢や性別などのヒントをツイートしており、すでに考察が盛り上がっている状況。話題作になることは間違いない。

(2023年1月14日から毎週土曜よる10:00〜/日本テレビ系)


今回は独断と偏見で厳選した8作品を紹介したが、他にも今期は「新しい!」と感じる、設定にオリジナリティ溢れたドラマが多かった。個性がぶつかり合うシーズンになるのではないだろうか。CINEMAS+でもドラマライターが様々な作品を毎週レビューしていくので、ぜひ一緒に鑑賞を楽しんでほしい。

(文:苫とり子)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!