「舞いあがれ!」舞が「あかん胸いっぱいや」、お祝いムード3色の<第82回>
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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は第82回を紐解いていく。
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うめづは名店?
第18週「親子の心」(脚本:佃良太、演出:野田雄介)のはじまりは、舞(福原遥)、貴司(赤楚衛二)、久留美(山下美月)の幼馴染3人が前進しはじめた雰囲気でした。舞は航空機部品制作がうまくいきそうで、貴司は短歌界の芥川賞を受賞、久留美は八神先生(中川大輔)と婚約、とうめづを貸し切りにしてお祝いします。そこにたまたまいた悠人(横山裕)は「いつものメンバーやん」とクールな顔をします(悠人が万札をお祝いと言ってどかんと置いていくところが生々しかった)。
【朝ドラ辞典 いつものメンバー(いつものめんばー)】朝ドラではほぼ、いつものメンバーで成り立っている。
貴司のお祝いのはずが、久留美が婚約者を連れてきたため、すっかり久留美が主役になっています。こういうことって通常だと話題泥棒な気がしますが、久留美はこれまで苦労してきたので良いのでしょう。それに3人がとても仲の良い幼馴染だから気になりません。
「あかん胸いっぱいや」と舞は喜びます。
八神は舞と貴司がつきあっていると勘違いしますが、そうではないと知ると、お医者さんを紹介すると舞に言って、久留美に叱られます。そのときの貴司の顔……。
第81回のおわり、貴司の手を思わず舞が握ったときも、貴司は微妙な表情をしていました。気づいてないのは舞だけといった感じです。こういうことは日常でもドラマでもよくありますが、舞がそれほど鈍感に思えないので、いささかもやもやするんですよね。
お医者さんを紹介しますよ、と八神が言ったとき、雪乃(くわばたりえ)もええやんという顔をします。貴司のことを人一倍心配して、短歌の勉強までしている母親が、貴司の気持ちに全然気づいてないのも皮肉であります。それこそ灯台下暗しでしょうか。
うめづのお祝い会が終わると、舞と貴司はぶらぶらと近所の公園を歩きます。最近よく出てくるようになった公園です。柏木(目黒蓮)とお別れしたのもこの場所。舞はここを通るたび胸が疼いたりしないのでしょうか。
舞の家はうめづの隣。貴司はデラシネに住んでいて、舞がすぐに家に帰るのではなく、ちょっと夜風に当たりたいからとついてきたという雰囲気なのでしょう。じゃあねとすぐに隣の家に帰れない舞に、貴司の思いはますます募るのではないでしょうか。
舞と貴司の関係に変化が訪れるのか気になりますが、今週のサブタイトルは「親子の心」なので、恋メインではないようです。
さて。八神先生がうめづを「こんなとこで」とうっかり言って、雪乃が「こんなとこはないんちゃう」と咎める一場面がありましたが、「こんなとこ」とは別に悪い意味で言ったのではなくて、思いがけない場所という意味ではないかと思ったのと、あとで舞が「どんなとこ」(久留美のどんなとこがよかったのか)と言って「こんなとこ」「どんなとこ」の響きが合っていてリズミカルだったことはさておき。
「こんなとこ」じゃなさそうなのは、店内にたくさんサインが貼ってあることです。どうやら著名人がたくさん来店する店のようなのです。一回も出てこないですけれど。たいていいつものメンバーしかいないですけれど。
(文:木俣冬)
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