「舞いあがれ!」高齢化社会の星・笠巻さんが69歳で退職 <第101回>
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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は第101回を紐解いていく。
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かっこええ飛行機できた
東大阪の町工場の技術が集まった飛行機ができました!小さな模型ですが象徴的ではあります。それぞれの工場の得意分野の技術が部品になって、それが集まってかっこいい飛行機になって、みんなの夢を乗せて空を翔ぶというイメージです。
うめづでランチしながら舞(福原遥)が打ち合わせしていると、飛行機のかっこよさに興味を引かれたほかの工場のひともさらに技術の提供を申し出ます。こうやって東大阪の町工場の結束力が強まっていきます。
でも模型飛行機はまだ空を飛びません。いつ飛ぶでしょうか。
オープンファクトリーの開催日の前に、笠巻(✳︎古舘寛治)が退職します。
笠巻は69歳(25歳で入社、44年間勤務している)なので、腰もいためたし、70歳をきっかけにしたということでしょうか。
日本の定年は90年代以降、60歳でしたが、2013年に65歳まで継続できるようになり、2021年には、定年を70歳まで継続できるように努力目標化する流れになっています。高齢化社会、まだまだ働けるようになっているのです。笠巻は65歳まで継続制度をさらに超えて働いていたことになります。IWAKURAは時代を先取りしていたんですねえ(「舞いあがれ!」はいま、2015年設定)。
最後の日、事務所に挨拶に来る廊下で、かぶっていたIWAKURA の帽子を脱ぐワンアクションが笠巻の心情を感じさせます。
事務所では花を渡して見送るだけです。よく、見送らなくていいと言うかたもいるようですから、笠巻もそうなのでしょう。
長年務めた工場を背にしてひとり歩いていくカットは撮影してほしかった気もしますが、笠巻にはまだ出番があります。
オープンファクトリーで飛行機の部品の組み立てを教える係です。最初は渋っていた、孫の正行(高田幸季)も参加することになりました。舞が娘の佐知子(吉田真由)に頼んだのです。
当日は、各工場、分かれてオープンファクトリーが行われ、舞や笠巻は、例の公園の前のビルで飛行機づくり体験を行います。
孫のほか、子供がふたり参加していますが、笠巻は孫にだけ教えています。この流れが謎。
そして、ネジをどうやって作るの?と興味を孫がもっても、工場見学の流れになってないことも謎。
勝手な想像では、工場見学をして、工場のどこかで体験学習もするものと思っていたので、公園の前の空きビルの一室で、飛行機だけ作って終わり? それともそのあと工場見学に?
舞が目指したのは住民と工場との心の壁を壊すことでした。ここで壊すことができたのは、笠巻と孫の心の壁でした。それだけでも十分、いいことではありますが。
舞はやる気で、もっとパワーアップしたオープンファクトリーをやろうと盛り上がり、次週予告では起業に向かうようです。どういう形にせよ、早く舞い上がってほしいですね。
✳︎古舘寛治さんの(たち)は土口
【朝ドラ辞典 家族の確執(かぞくのかくしつ)】ホームドラマである朝ドラ、家族がいつもうまくいってるとは限らない。なんらかの原因でうまくいかない家族もある。それをどうやって解決するかがドラマになる。
【朝ドラ辞典 引退(いんたい)】高齢化社会になってドラマでも高齢者の描き方に変化が。「べっぴんさん」では使用人が老後に冒険の旅に出る展開があった。
(文:木俣冬)
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