「星降る夜に」最終回:深夜の10年越しの涙、鈴と一星たちが手に入れたハッピーエンド

吉高由里子主演、北村匠海が共演するドラマ「星降る夜に」が2023年1月17日スタート。

本作は、恋愛ドラマの名手・大石静が紡ぐ大人のピュア・ラブストーリー。人に本音を吐けない孤独な産婦人科医・鈴(吉高)と、音のない世界で自由に生きる遺品整理士・一星(北村)。10歳差の2人が既成概念をひっくり返し、新たな価値観を見せる物語から目が離せない。

本記事では、最終回(第9話)をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「星降る夜に」最終話(第9話)レビュー

大声で泣く伴(ムロツヨシ)を抱きしめた一星(北村匠海)。駆け寄った深夜(ディーン・フジオカ)は、くしゃみを複数回伴の顔面にぶっかけてしまう。このタイミングでドジっ子すぎる~!! 

シュールな銭湯シーンにほっこり

その後、春(千葉雄大)と鈴(吉高由里子)、伴の娘・静空(戸簾愛)もふくめて銭湯へ。

男湯に4人が並ぶ図はこれまでの出来事を考えるとシュールだ。恐縮していた伴が一星の下ネタの一部を理解してしまったり、一星と春が水の掛け合いを始めて伴にかかったり、一星が「『ビーチボーイ』みたい」と懐かしのドラマ名を彷彿とさせる発言をして、伴に「『ビーチボーイズ』ですね」と訂正される。年齢からしたら当然なのだが、春の「タイトルを聞いたことはあるけど観たことはないです」というセリフにちょっとだけ衝撃を受けた。

女湯から静空が呼びかける声も聞こえ、伴もやわらかい表情に。銭湯の外で、あらためて謝罪しつつ帰っていく伴に「またね」と声をかける鈴と一星。

伴のような状況ではなくても、ワンオペで子どもを育てていて周りと交流がない人って結構な数いるのかもしれない。面倒もあるかもしれないけど、こういう”ちょっとしたつながり”で人は救われるのかもしれないなと思った。

深夜の決断、そして……

伴の出来事がひと段落し、深夜はある決意をする。10年間そのままにしてきた東京の自宅の遺品を整理してもらおうというものだ。しかも、依頼は「全処分」。10年整理できなかったのに極端だな、大丈夫なのだろうか? という気もするが、前に進むには必要なことかもしれない。

北斗(水野美紀)により友達サービスで、ポラリスの全メンバー総出で遺品整理を行うことに。鈴も同席を希望し立ち合う。

思い出の詰まった家の整理と一緒に出てくる回想は、その後どうなったか知っている状態で観るのはつらかった。

仕事中、子どもができたことをLINEで告げられ、うれしそうに「赤ちゃん」とつぶやく深夜。亡くなった妻の彩子(安達祐実)がどれだけ魅力的な人だったのか、2人がどれだけ仲のいい夫婦だったのかが痛いほど伝わってきてもらい泣きせずにはいられなかった。特に臨月になった彩子と一緒にいて「一星」という名前を思いつき、この子をいつも一番に見つけたいから、と深夜が言うシーン。あとちょっとで手に入るはずだった幸せがあんな結果になってしまったこと、見ているほうも「何で……」という気持ちでいっぱいになる。

彩子とも親友だった北斗にとっても、この家の整理はつらかった。よく3人で飲んだ家。みんなで天体観測したこともあった。星を観るのが好きだったのは、彩子だったのだ。

家の外で鈴と一緒に待つ間、彩子と赤ちゃんが亡くなったときに鈴が泣いてくれたことに救われたが、実は他の医師や病院に対する不信感は消せなかったという深夜。医者になれば、2人が亡くなった原因がわかるのではという思いがあったのだという。前回言っていた”復讐”とはそういう意味だったらしい。

だが、医者になって痛感したのは、自分の妻子が亡くなったのも、伴の妻が亡くなったのも「誰も悪くなかった」ということだったという。そして、お産が成功するたびにうれしい気持ちと妬ましい気持ちがあって、心からおめでとうと言えなかったとも。鈴が言っていた「変な顔」というのは、そういうことだったのか。

確かに、自分は妻子を亡くしているのに無事に生まれる赤ちゃんを見続けるのは、自分で決めたこととはいえある意味つらいことなのかもしれない。

そして遺品整理が完了した。からっぽの家の中で、一人ひとりのスタッフが頭を下げる。一星が「全処分とのことでしたがこれだけ……」と、初回に鈴に渡したのと同じ柄の箱に入れて渡したのは、彩子からのプレゼント。出産予定日の翌日が結婚記念日だったため、彩子がサプライズで用意していたのだ。

入っていたのは直筆の手紙と、深夜と彩子と生まれてくるはずだった一星、3人おそろいのスニーカー。これを履いていろんなところに行こうね、という叶わなかったメッセージ。

スニーカーを抱えて、深夜は初めて号泣する。この泣きの演技が叫びにも近く、ディーン・フジオカの印象からは想像していなかったものですごかった。「どうして……もっと一緒にいたかった。どうして……」「赤ちゃんを抱いて、この靴を履いて出かけたかった」

つらいけれど、深夜がやっと泣けたのはよかった。

鈴と一星と深夜は「太陽と月と地球」

北斗が話した、鈴と一星と深夜は「太陽と月と地球」だという、3人の関係性が興味深い。一列に並んだり影になったり欠けたり満ち足りしながら回り続けている、愛とか恋とか名前を付けられない、大切な存在。

ここにきてこんな言葉を残す大石静脚本、とてもいいなと感じた。こんな解釈の仕方も、この作品が伝えたかった「既成概念をひっくり返し、新たな価値観を見せる物語」のひとつなんだろうなと思う。きっと北斗と深夜と彩子にも、そんなところがあったのではなかろうか。

遺品整理を終えた深夜は、ある決断をする。マロニエを辞めて、他の病院に行きたいというのだ。鈴先生を尊敬しているから、離れないといけないという。さみしいけれど、そういうときはあるのかもしれない。

「雪宮鈴、愛してる」

一星と深夜は2人で飲んでいる。会話で2人が20も齢が離れていると出てきて、数字としては知っていたはずなのにびっくりした。お互い「好きだよ」と言い合う年の離れた男友達、すごくいい。

その後、一星と鈴は別々に空を見上げて、2人が出会った星降る夜を思い出す。LINEで会話しながら、会いたいと言い合う2人。そしていつぞや「雪宮鈴、好きだ」と言われた踏切を隔てて向かい合う。電車が通り過ぎた後に一星が告げたのは「雪宮鈴、愛してる」

鈴に好きだと伝え続けた一星が、さまざまな出来事を経て「愛してる」という気持ちになったのは、すごく自然だが予想していなくて、胸に響く。踏切の前でキスする2人、素敵だった。

そして1年後、それぞれが手に入れた”幸せ”

そしては1年後へ。後日談がとても長いが、そこが最高だった。

深夜は青森の病院に行き、たくさんの患者さんに頼りにされている。だがドジなところは変わらず、つまずいて転ぶのだった(笑)。でも、出産時に心からのおめでとうと言えるようになったように見える。

鈴と一星は一緒に住み、小さなケンカをしながらも仲はよさそう。一星のおばあちゃん・カネ(五十嵐由美子)も元気だし、春とうた(若月佑美)の子どもも生まれた。院長は相変わらず楽しそう。伊達(中村里帆)も出産し、なんとヒモだった夫の”添い寝師が異世界転生する”という小説が大ヒット、メディアミックス展開もしてうれしい悲鳴だという(そんなことある?)。蜂須賀(長井短)は変わらず推し活にまい進していた。

ポラリスは業績好調で事業を拡大。そしてなんと桜(吉柳桜良)が彼氏を連れてきた。着物を着たその男は……ピンク髪をやめ、噺家になったチャーリー(駒木根葵汰)。そんな気はしていたが、職業変更のほうが唐突で処理しきれない。

デートをする鈴と一星は、以前観に行った映画の続編を観に行く。ここで後ろの席に座っていたのが、同枠の次クール「unknown」主演の高畑充希だ(こちらの作品も楽しみだ)。映画を観て号泣しながら手話で「私犯人分かっちゃった、言っていい?」と言ってくる鈴。一星も嫌がっていたけど、途中で犯人言われるの、絶対に嫌だ。だが鈴は言ってしまう(間違っていたようだが)。

2人で夕食の買い物をしていると、なんと野菜売り場で働いていたのは伴だった。先月から働いているという。そこへランドセルを背負った静空がやってくる。あまり表情豊かではないイメージだったが、ものすごくいい笑顔をする子になっていた。やはり小さい子は、親の心境に大きく影響されるものなのだろうか。伴が新たな一歩を踏み出せて、よかった。

以前の罪滅ぼしか、鈴たちが買おうとしていた野菜に半額シールをこっそりつけてくれた伴。恐縮する鈴と、これもとネギを差し出してシールをつけるよう催促する一星が2人とも相変わらずで微笑ましい。

そしてラスト、2人で口喧嘩(手話喧嘩?)しながら準備をし、一星は自転車、鈴はバス停へ急いで向かっていった……と思ったら、また戻ってきて砂浜をバックに抱き合ってキス。「バス来ちゃうってあせっていたのに、絶対に乗れないんじゃ……!?」とツッコみたい気持ちはあるが、2人が幸せそうで何よりだ。

不穏な空気を感じつつ、最後にみんな幸せなハッピーエンドを迎えてくれて、本当によかった。
人とのつながりを大事にしながら前に進んでいきたい、そんな気持ちにさせてくれる大切な物語だった。

(文:ぐみ)


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