続・朝ドライフ

SPECIAL

2023年03月20日

「舞いあがれ!」気の多い舞ちゃん、今度は空飛ぶクルマに心惹かれはじめる<第117回>

「舞いあがれ!」気の多い舞ちゃん、今度は空飛ぶクルマに心惹かれはじめる<第117回>


「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら

2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は第117回を紐解いていく。

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青春時代を思い出す舞

第25週「未来を信じて」(脚本:佃良太 演出:大野陽平)

「舞いあがれ!」もあと2週。ラス前をセカンドライターが描くというのも珍しいかも。よっぽど最終週に力を入れているのでしょうか。でも第25週もなかなか力が入っていると感じます。なにしろ、なにわバードマンのOB・刈谷(高杉真宙)玉本(細川岳)が現れ活躍しそうなんです。

唐突に舞(福原遥)に電話してきた刈谷。倉庫を探してくれと言い出します。「空飛ぶクルマ」の試作開発を行っているのです。

「空飛ぶクルマ」ーー最近、この単語、ネットニュースで目にしませんか。大阪万博で実用化を目指して各社が開発に勤しんでいるようです。

クレジットにあった「空飛ぶクルマ開発部分・原案」の福澤知浩さんと中井佑さんは実際に空飛ぶクルマを開発している方々です。この方たちに取材して、リアリティを高めているようです。刈谷たちの開発物語は、この原案とされた方々の物語を知ることで補完されるでしょう。「プロジェクトX」的な感じですね。ここをもっと長い時間見たかった気がしますが、あと2週間です。

クルマの形をしたものが空を飛ぶの? と思いきや、舞が斡旋した作業場にあったのはドローン。ドローンが大きくなって人を乗せる? ホワイトボードに貼ってあったのは小型飛行機のようなデザインでした。
そして、ホバークラフトみたいな物体ができあがります。こういう場面は、朝ドラには珍しく男の子も楽しいのではないでしょうか。大きな男の子も小さな男の子も。

「誰でも気軽にふだんづかいできる乗り物」ということで、

「これからは人もものも自由に空を飛び交うねん」と舞はこの楽しい話を家族に語ります。

「昔とった杵柄」という言葉があります。体験は時を経ても身体が覚えているというようなことです。カーボンですねと素材にピンと来る舞。スワン号を思い出し、青春時代、大学時代に戻ったかのようにキラキラした表情になっています。やっぱり舞は飛行機が好きなんですね。

ずーっと飛行機の夢を求め続けている刈谷と再会して、舞の昔とった杵柄が動き出しはじめたようです。こういうことってある程度の年齢を経た人には体験があるでしょう。昔の仲間に会うと、昔に戻ってしまうというような。

夜、歩を寝かせつけながら、なにわバードマン時代を思い出す舞の表情。何もかもが殴り捨てて飛行機を飛ばすことにだけ集中していた、あの輝かしい時間。いまは、いつの間にか、飛行機から遠ざかり、でも別の幸せーー結婚、子供、事業とそれなりに充実しているけれど、それはあくまでも地に足のついた生活であり、あのときの夢いっぱいの体験は別格だったのだなあと思い出す。

年をとった者がどこかに置いてきた大事なことに思いを馳せる、その表情を福原遥さんが魅力的に演じています。

世界中の、ちょっと大人になってしまった人たちの心に寄り添ってくれました。

【朝ドラ辞典 オープニング(おーぷにんぐ)】

出演者やキャストが表示されるパート。朝ドラのオープニングは歌ものとインストゥルメンタルと2パターンある。朝ドラにはじめて主題歌がついたのは、第32作「ロマンス」(1984年前期)。
第48作「ひらり」(1992年後期)でDREMES COMES TRUEの「晴れたらいいね」が起用されて以降は、誰が主題歌を歌うかも朝ドラの注目ポイントになっている。紅白歌合戦でアーティストが主題歌を歌うこともあって、それも楽しみのひとつである。

類語:主題歌、タイトルバック



(文:木俣冬)

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