「舞いあがれ!」柏木以下、航空学校の面々はなぜノーサイドに集まったのか<最終回>
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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は最終回となる第126回を紐解いていく。
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ハッピーフライト
2027年、コロナ禍もすっかり終わっているようで、みんなマスクをしていません。大阪万博も終わって、関西経済は活況から円熟を迎えているのでしょうか。
ABIKILUの開発した空飛ぶクルマも順調に使用されているようで、五島でも運行がはじまります。舞(福原遥)は「かささぎ」と名付けられたマシーンの初飛行の操縦を任されます。
初めての乗客は祥子(高畑淳子)。長らく五島を離れ東大阪に移住していた祥子がついに地元に戻るのです。6年のうちに車椅子生活になっていて、移動が困難そうですが、車椅子ごと乗車できて、島と島の間を快適な空の旅ができました。かささぎ祥子がかささぎに乗ったのです。
なぜ6年も、めぐみ(永作博美)が会社の引き継ぎを終えず、なかなか五島に行けなかったのか謎ですが、会社を丁寧に引き継ぎたい、めぐみも実は東大阪に未練があった、コロナ禍でいろいろ大変だった等々慮ることは可能です。
謎といえば、東大阪のノーサイドに、舞ゆかりの人々が集まって、舞の飛行の中継を見ていたことです。空先輩(新名基浩)は宮崎に帰っていたはずで、五島のほうが近いし、悠人(横山裕)と久留美(山下美月)も長崎から大阪に引っ越したのだろうかという疑問。
由良先輩(吉谷彩子)も外国から大阪に戻ってきたのだろうか。なによりも航空学校の仲間たちは、あちこち飛び回っているだろうから、五島に直行したほうがよさそう。財力もあるし。
彼らは、舞のいない東大阪にはなんの縁もありません。なのになぜ……。空さんは大学のOB会気分で来たと考えることは可能です。
ただ、ゆかりの人たちがたくさん集まって感動的ではありました。
舞がもう会えないと惜しがっていた柏木(目黒蓮)が舞のフライトを応援に現れたことも長年の胸のつかえがおりたようで良かったです。「柏木大丈夫かな」と迷子にならないか心配されているのも微笑ましかった。
柏木が五島に行って、若葉(川口春奈)と出会う、あるいはすれちがうシーンがあったらなおよかったかも。
皆がみつめるなか、舞は堂々とかささぎ号を操縦します。
思い出の灯台のうえを飛んで、島へーー。
「まもなく最初の目的地に到着します」という舞のセリフは、舞はこれまで回り道してきた末、ついに目標を叶えたのだということのようです。いろいろ挫折しながらもそこそこうまくいって見えましたが、パイロットになりたかったのだと思います。
それと、浩太(高橋克典)の夢も叶えたかったのだと。
「親父、夢かなったな」と悠人も感慨深げ。
なにわバードマン時代、人力飛行機を飛ばしたとき
「今日のためにここまで生きてきたんだと思えた」と刈谷(高杉真宙)が言ったセリフが回想で出てきましたが、最終回の舞はまさにそうだったのでしょう。
今日のためにここまで生きてきたんだ、と思うものに出会いたい、熱く胸焦がしたい。
ぐっと顔をあげて空を仰ぐ。そんな気分にさせてくれるドラマでした。
【朝ドラ辞典 最終回(さいしゅうかい)】はじまりがあれば終わりがある。半年の長いドラマの完結に、視聴者が固唾を呑んで見守る日。主人公の晩年をしんみりのこともあれば、主人公が亡くなることもあれば、主人公がまだまだこれからがんばると走っていくなど、様々なエンディングがある。
関連語:はじまり
(文:木俣冬)
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